麦のルーツを辿り“日本のパン”とは何かを問う、パーラー江古田
ワインからそれ以外へ。広がりゆくテロワールの思想から見えてくるもの。問いから始まり、私たちの生活のあり方を変えていく、最前線の動きを追った。東京・江古田のベーカリー&カフェ、パーラー江古田を訪ねて。(「ヌメロ・トウキョウ」2017年12月号掲載)
“テロワール”をめぐる冒険 06
日本の麦にテロワールはあるのか? 10年以上、国産小麦で焼き続ける「パーラー江古田」原田浩次は、その答えを探していた。生産者、品種、農法、製粉、新麦と熟成。あらゆる小麦を試した結果「パンで日本の麦のテロワールを表現することはできないかもしれない」と気づいて愕然とする。では、なぜそうなったのか。
「日本の小麦は品種改良によって個性を失ったのでは」とする彼の仮説は、最近、海外の古代品種を使って確信に近づいた。であれば「未来はある」。在来種の自家採取、混植による変異、海外の古代小麦を試みる日本の生産者も現れている。つまり、オリジンへ遡(さかのぼ)るという発想。「日本の麦のテロワールが確立されたとき、やっと世界に誇れる“日本のパン”ができる」。そのパンに会える日が、近いことを祈って。
テロワールとは?
「日本の麦のテロワールは、これから」
パーラー江古田
国産小麦によるパン約30種類のほか、ナチュラルワイン・国産チーズ・食材の販売、カフェも併設。満月の夜は18:00より「祖餐」と同様に「満月ワインバー」を開催。
住所/東京都練馬区栄町41-7
TEL/03-6324-7127
営業時間/8:30〜18:00
定休日/火(祝の場合は翌日)
(※記事中の情報は「ヌメロ・トウキョウ」2017年12月号掲載時点/一部更新)
“テロワール”をめぐる冒険
Photos : Kousuke Matsuki Text : Naoko Ikawa Supervisor : Junko Suzuki Edit:Keita Fukasawa