Numero TOKYOおすすめの2018年8月の本
あまたある新刊本の中から、ヌメロ・トウキョウがとっておきの3冊をご紹介。
『戦時の音楽』
著者/レベッカ・マカーイ
訳者/藤井光
価格/¥2,000
発行/新潮社
幻想と歴史が響き合う、名手による初短編集
短編の名手である著者が13年間にわたり執筆した多様な短編・掌編を収録した本書。「戦争」などの厄災に翻弄される市井の人々と、彼らの中で守られてきた「音楽」。2つの通奏低音でつながる17作が奏でるハーモニーは、驚異的な美しさと慈愛に満ちている。
『ギケイキ② 奈落への飛翔』
著者/町田康
価格/¥1,700
発行/河出書房新社
古典を当代風にリミックスした新『義経記』
著者ならではの超絶文体で『義経記』を現代に蘇らせたシリーズ第2幕。頼朝と再会し、平家を滅亡させる義経。だが嫉妬した関東武士の「鎌倉への告げ口作戦」により頼朝に追われる身となる。軽妙洒脱な語りと怒涛の展開に思わず引き込まれる、新感覚大河小説。
『うなぎばか』
著者/倉田タカシ
価格/¥1,400
発行/早川書房
近い未来に起こり得る5つの“うなぎ協奏曲”
魚を守るうなぎ型ロボ、「土用の丑の日」広告を阻止すべく江戸時代へとタイムスリップする青年など、うなぎ絶滅後の人類を5つの視点で描いた連作短編集。うなぎのいない未来を通して人間の価値観に潜む矛盾や不条理をあぶり出す、味わい深い珠玉のSF作品。
Text:Miki Hayashi Edit:Sayaka Ito