西陣織の細尾が生み出す 布の未来展 @YCAM
京都を代表する伝統工芸西陣織の老舗・細尾が、最新テクノロジーで作り出した“これからの布”にまつわる展覧会を開催。山口情報芸術センター「YCAM」で12月9日よりスタートする。
元禄元年(1688年)創業、確かな技術で伝統を継承しながらも革新的なテキスタイルを生み出しつづける西陣織の細尾が、日本有数のメディアアート拠点YCAMと共同で進めてきた布の研究開発成果を展示。古代から人間の生活に必要不可欠な”布”を、現代の素材と技術によって解き明かそうとする試みとなっている。
細尾とYCAMが中心となって進められたこのプロジェクトは、慶応義塾大学の筧康明研究室、アーティストでありプログラマーの古舘健とともに2015年から研究開発が行われてきたもの。コンピュータープログラムや新しい素材を取り入れることで、まったく新しい布の機能や意味を追求してきた。その成果として、西陣織の卓越した織機技術だからこそ実現した新作の布を公開する。
また、これまで続いてきた布の歴史をたどる展示も見逃せない。美術家・吉田真一郎によって収集された大麻布郡を、微細な変化が美しい「白」一色で構成。古代から作られ、日本人にとって身近な布の一つであった大麻布に注目することによって、日本人の文化や民俗の固有性と深い関わりを示している。
展覧会の名前にもなっている「デミウルゴス」とは、古代ギリシアの哲学者・プラトンの『ティマイオス』に登場する世界の創造主のこと。人と万物との関わりを形づくるデミウルゴスとしての布に焦点をあてた本展で、布との新しい出合いを楽しんでみては。
「布のデミウルゴス―人類にとって布とは何か?」
会期/2017年12月9日(土)〜2018年3月11日(日)
会場/山口情報芸術センター [YCAM]
住所/山口県山口市中園町7-7
入場料/無料
時間/10:00〜19:00
休館/火曜日、年末年始
※火曜日が祝日の場合は翌日
TEL/083-901-2222
URL/www.ycam.jp/events/2017/hosoo/
Text : Manami Abe