香水を重ねづけ。香りの掛け合わせを楽しもう!
「香水、なにを使っているの?」と聞かれたら、香りの偏差値が高い証拠。人とは違う唯一無二の香りを生み出す、フレグランスのレイヤリングで重ねづけの冒険を。香水評論家 平田幸子氏が香りの掛け合わせ術を指南。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2017年6月号掲載)
Part.1
同じ調香師が作った香りの合わせ技
作り手である調香師をひとつの軸として、重ね合わせる香水をセレクトする方法は、ビギナーでも分かりやすい重ね技。香料の使い方がどこか似ているから、重ねることでよりふくよかに。
Francis Kurkdjian
みずみずしい透明感を得意とする調香師フランシス・クルジャンの代表作。
地中海を散歩するようなリラックスしたイチジクの爽やかさ。フィグパフューム オーデパルファム[50ml]¥7,000/Roger & Gallet(ロジェ・ガレ)
水の清涼感を上質なライムやクールミントでモダンに表現。アクア セレスティア オードトワレ[70ml]¥20,500/Maison Francis Kurkdjian Paris(ブルーベル・ジャパン)
Sophie Labbe
調香師ソフィー・ラベが再解釈し新誕生させたブルガリ「スプレンディダ」コレクション。
マンダリンの爽やかな柑橘に、ダマスクローズの甘さが融け合って。スプレンディダ ローズ ローズ オードパルファム
サンバックジャスミンの官能性とカシミアウッドの温かいベースが奏でる女性的な包容力。同 ジャスミン ノワール オードパルファム[各50ml]各¥11,900/ともにBvlgari(ブルガリ パルファン事業部)
Part.2
同じブランドの香りをレイヤリング
歴史あるメゾンの香水は、ブランドのDNAを受け継ぎながら新しい香水が創られ続けている。また、「ジョー マローン」のように香りのレイヤリング提案をしているブランドにも注目したい。
Chanel
専属調香師オリヴィエ・ポルジュがN°5の5番目となる「N°5 ロー」を昨年発表。ローとは水を表し、ナチュラルでモダンなみずみずしい透明感が香り立つ。シャネル N°5 ロー オードゥ トワレット[50ml]¥12,000
1921年に誕生したN°5。濃密な香水を耳元や手首に“点”でつけて、センシュアルな香りを楽しんで。シャネル N°5 香水[7.5ml]¥15,000/ともにChanel(シャネル)
Jo Malone London
繊細な白い花々がオレンジブロッサムやレモンにとけ合い、爽やかで華やかなみずみずしさを咲かせる。スター マグノリア コロン[100ml]¥16,800(限定発売中)
夕方からは官能の白い花、チューベローズの香りをプラス。アンジェリカと温かいアンバーウッドで女性的な魅力を花咲かせて。コロン インテンス チューベローズ アンジェリカ[100ml]¥21,500/ともにJo Malone London(ジョー マローン ロンドン)
Part.3
日中にふさわしいベース
合わせやすいローズやフラワーノート
女性なら誰でも「ラブリーで愛らしくありたい」と想うもの。みずみずしく、フレッシュなフローラルやローズの香水は、どの香りともマッチングしやすく、後につける香りを選ばずベースになりやすい。
純白のドレスを纏ったウェディングヴェールを想わせる、透明感に溢れたピュアなフローラルノート。クリスタルブルーム サムシングピュアブルー オードパルファン[50ml]
¥7,500(限定発売中)/Jill Stuart(ジルスチュアート ビューティ)
創業者イザベル・ドナルドの生家に咲いていた、5月の終わりにたった2週間しか咲かない特別なバラを詰め込んだ香り。両手に抱えきれない花束を贈られたときのような、高揚感あるフローラル・ムスク。イジィア オードゥ パルファン[50ml]¥13,500/Sisley(シスレージャパン)
20世紀初めに活躍した女性航空師アメリア・イアハートをテーマにした香りは、椿の葉やヴィオレット、トルコローズの勇気に満ちた花の香り。コレクション・メタル カメリア・インターピッド コロン・アブソリュ[100ml]¥32,000/Atelier Cologne(フォルテ)
温かみのある鮮やかなピンクの花々でムスクを包み込んだような、ほかにはないローズの香り。遊び心とカジュアルなエレガンスを感じさせる。フォーハー フルール ムスク オードパルファム[100ml]¥15,400/Narciso Rodriguez(ブルーベル・ジャパン)
光や水、透明感がテーマの軽さのある香り
光や水、空気のような透明感をテーマにした香りは、特に朝の澄みきった空気のなかでつけてほしいフレグランス。肌に直接つけると、1時間ぐらいでセカンドスキンのように肌に馴染み、自分だけの香りへと変化する。
“水のほとりで”という名の香水は、クロード・モネの“睡蓮”からインスピレーションを得て、ビターオレンジ、ベルガモットなどが、揺らめくなめらかな水面を表現。オ ボード ロー オーデコロン[100ml]¥17,000/L’Artisan Parfumeur(ブルーベル・ジャパン)
光が当たって間接的に照らし出される繊細な木漏れ日の美しさを、淡く柔らかい桜の花の香りで表現。しっとりとした空気にとけゆく、儚げな香り立ちはとっても日本的。Komorebi〈コモレビ〉[100ml]¥30,300/Fueguia 1833(フエギア 1833 東京本店)
春のうららかな日にドビュッシーの『月の光』を聞いたとき、クリエーションされた溢れる光に包まれるような香り。金木犀や桜の花びらなどが運ぶ幸福感をキーノートに、エアリーなハーモニーを奏でる。ラ・ヌベル・リュンヌ オードパルファム[各30ml]¥10,500/Dawn Perfume(デュード)
雨の日には“雨”をテーマにした香水をチョイスして、天気で香りを楽しむのも一つの手。雨のみずみずしさや湿度をスズラン、スイカズラ、ガーデニアで見事に表現した石鹸みたいな香り。レイン オードパルファム[各30ml]¥10,500/Dawn Perfume(デュード)
Part.4
夕刻に重ねる香り
官能的なスパイシー、ウッディー、オリエンタル…
日中に選んだ香りの上には、スパイシーやウッディー、オリエンタル、ムスクなどの香料がたくさん使用された、少し主張ある個性的な香りを重ねると気分も一新し、より豊かな香りでエモーショナルな気分を楽しめる。
シェイクスピアが描いたオテロの究極の愛を嗅覚で解釈。フルーティなのにホットでスパイシー…この大胆なコントラストは官能に溢れ情熱的。重く深い沈香が最後に香り、オテロの魂を表現。オテロ オードパルファム[100ml]¥19,800/Il Profvmo(CVLコスメティックス・ジャパン)
酔いしれるレザーの香り立ちに破壊的なチュベローズが加わり、麻薬のように陶酔する香りを完成。ワイルドなのに包容力があって、優しく虜になる香り。アジャタイ オードパルファン[100ml]¥21,000/The Different Company(フォルテ)
スパイス、レザー、フローラルの香りを融合させたスエードアコードを基調に。官能性と夜を感じさせるフレグランスで、自分のなかの秘めた甘い情熱を香りで表して。エンディミオン コンサントレ[100ml]¥23,200/Penhaligon’s(ブルーベル・ジャパン)
温かな光とオリエンタルな香調。柔らかで魅惑的、エロティックなニュアンスを持つベロアの風合いを香りで体現。ル ヴェスティエール デ パルファム ニュイ ベロア[125ml]¥39,000(店舗限定発売)/Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン・パルファム)
Photo : Shinmei, Yuji Namba(Cutout Photos)
Prop Styling : Mafumi Shimada
Supervise : Sachiko Hirata
Edit & Text : Hisako Yamazaki