女性が自分のカラダについて考えた1日
「I SELECT SHOP by I LADY.」
国際協力NGOジョイセフが、国際女性デーである10月11日(火)にワークショップ「I SELECT SHOP by I LADY.」を開催。20代の大学生たちが中心となって、同世代の若者と一緒に「SRHR(セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ=性と生殖に関する健康と権利)について改めて考える1日となった。
SRHR(セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ=性と生殖に関する健康と権利)とは、「月経」「恋愛」「セックス」「性感染症」「避妊」「妊娠」「中絶」「出産」「不妊」「婦人科疾患」など、一生を通じて経験する性と生殖にまつわる全てのこと。歴史を見ると、女性にその決定権がない時代が長く続いたが、1994年国際人口開発会議(ICPD)にて提唱され、翌1995年の第4回世界女性会議(北京会議)で、すべてのカップルと個人がもつ人権の一部だと採択文書に明記された。
日本での望まぬ妊娠の中絶は年間17万件以上
オープニングトークでは、「I LADY.」発起人の小野美智代さんが、「選択すること」の重要性を強調。「日本では望まない妊娠で中絶する件数は年間17万件以上(※1)。また、性感染症で悩む女性も増えています。子宮頸癌で亡くなる女性は年間で約3,000人に上ります(※2)。まず日本の若い女性、男性にSRHRを自分の問題として認識してもらいたい。日本の一人ひとりのSRHRへの意識が変わって、自分で『選択』し、自分の人生を自分で決められるようになることで、いつか世界がよくなると信じています」。医療は進んでいるにも関わらず、インターネット上の情報が氾濫する日本。SRHRにまつわることを「自分で選ぶ」体験をしてほしいと伝えた。
(※1)平成27年度衛生行政報告例の概況(厚生労働省)
(※2)人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部編)1958-2015年
Q 避妊アイテム。誰が用意する?
体験型ワークショップでは、セレクトショップのような雰囲気の会場で、ショッピング形式で行われた。参加者は買い物かごを手に、SRHRにまつわる問いを記したボードの前で、自分の考えに近いカードを選択。例えば「避妊アイテム。誰が用意する?」という問いには、「自分」「パートナー」「2人とも」「話し合って決める」「その他」というカードからひとつ選ぶ。他にも「望まない妊娠を防ぐために。あなたの対処法は?」「恋人といい関係でいるためには?」「気分がのらない日に相手がしたがっている。どうする?」という問いが用意された。
体験型ワークショップのファシリテーター、慶應大学大学院生で、I LADYアクティビストとして活動する新居日南恵さん。
ワークショップ参加者からは「日常では考えてもみなかった質問があって、意外と自分のことを何も考えていなかったんだとわかりました。これからもっと自分のことを考えたい」「『自分はこうだ』と決めつけていたけれど、『この選択肢でもいいんだ』って、新しい視点が増えました」との声が上がった。
「I LADY.セッション」で講師を務めた聖心女子大学4年で、「Torch for girls」代表の櫻井彩乃さん。
続く「I LADY.セッション」では、参加者同士で「恋バナ」を話す時間を設け、その後、学生によくある恋愛のやりとりをモデルケースに、恋愛の中にひそむデートDVの問題を取り上げSRHRの課題について解説した。
日常会話ではなかなか恥ずかしかったりタブー視されていて話題にしにくい「性」をテーマにしながらも、同世代の共感を呼び理解が深まったようだ。「知らなかったことがたくさんあった」「自分が考えたこともない選択肢があった」などの参加者の意見も多く、今後も「I LADY.」キャンペーンと共に、「I SELECT SHOP」を各地で展開していく予定だという。
自分らしい人生を自分で選ぶために考えたい「SRHR」。今回のイベントをヒントに、自分に向き合ってみよう。
I LADY.
URL/http://ilady.world/
Text:Miho Matsuda