Life / Feature
「私は常に、常識を疑っていたい。常に変化していたい。そう思うから、旅は重要なんです」──。自著『The Lifestylist』 でそう語る大田由香梨は、まとまった休みができると必ず旅に出るという。仕事で都市に行くことが多いぶん、プライベートでは真逆の世界へ。モンゴル、ケニア、ボリビア、タイ…etc。思いつくまま、導かれるままに訪れた異国の地で彼女が見たもの、感じたこととは?
知らない世界を知ること
──旅に出るときは何を求めて行き先を決めますか?
「仕事ではニューヨークやロンドン、ロサンゼルスなど都市に行くことが多いし、普段から刺激を受けることが多いぶん、プライベートでは疲れたアンテナを休ませるためにも自然の多い場所を選びます。もともと昔から一人旅をしたり、友達と一緒にヒッチハイクをしたりしていたので、そういう体験型の旅が好きなんです。一人旅だと気に入った場所に何時間でもいられるし、感受性も豊かになりますよね。それが好きで2、3週間の休みができると必ず旅に出ています。でもここって決めてスケジュールをびっしり組むような旅ではなくふと思いついて行く感じ。
モンゴルに行ったときも出発の1週間前に急に思い立って行ったくらいでした。なので、下調べとかもあまりしないですね。出発前に空港でモンゴルの指差し会話帳と地球の歩き方を買って、飛行機の中で読んでいたくらいでした」
──普段の生活と対局の場所に行きたくなるのはご自身のライフスタイルにも似ていますね。
「そうですね。一つの世界だけではなく、その反対側の世界も知っているというのが大事だと思うんです。ラグジュアリーも好きだし、何もない大自然も好きなので。両方を知っていることで生み出せるものがあると思うんですよね。両方とも私にとっては違う種類の刺激であり、大切なものです」
伝統と革新が入り交じるチェンマイ
──最近ではタイのチェンマイに行かれたとか?
「ファッション業界で長く一緒に仕事をした友人が、去年、東京でのキャリアも住まいも捨てて一人チェンマイに移住したので、その彼女に会いに行ったんです」
──街の雰囲気はどうでした?
「もともとタイはすごく好きな場所なんですが、チェンマイは今回が初めてでした。行ってみたら意外と都会で。建物もかっこいいし、カルチャーも育ってる。インダストリアルなホテルやカフェもあってすごくセンスのいい街でした。仕事におけるインスピレーションをたくさんもらいました」
──何が印象的でした?
「お寺が街のいたるところにあるんですが、どれも本当に美しくて。あとは国民一人一人の精神性が高いこと。食事は、ホテルのレストランからストリートの一杯120円くらいで食べられる屋台も行きましたが、どこに行ってもみんな手を合わせて優しい笑顔で挨拶してくれるんです。穏やかな人が多くて素敵な国だと思いました。
最近ではオーガニックのお店がたくさん増えたみたいで、洗練された雰囲気がありました。ビーガンカフェは困らないくらいあるし、メディテーションやヨガをやっている欧米人がカフェに集まっていたりして。自然や伝統を尊重しながらいい具合に都市化されていました」
大田由香梨「変化を求めて旅に出る」
“ライフスタイリスト”の名にふさわしく、衣食住の全てをコーディネートするマルチな才能の持ち主、大田由香梨に聞く。
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Photos:Yuji Numba(Portrait), Yukari Ota
Text:Mari Higure
Edit:Yukiko Shinmura, Kefa Cheong
Profile
大田由香梨(Yukari Ota)ライフスタイリスト。雑誌や広告を中心にスタイリストとして活躍をしながら、2011年に自身がプロデュースするカフェ・レストラン「ORGANIC TABLE BY LAPAZ」を外苑前にオープン。ファッションに加え、店舗内装やフードのディレクションもスタートし、“衣食住”すべてのスタイリングを行うことで活躍の幅を広げる。14、15年はグローバルファッションコミュニティ「FARFETCH」のスタイルアンバサダーも務めた。16年著書『THE LIFESTYLIST』発売予定。Instagram @otayukari