21世紀少女 vol.8
作詞家 中村彼方
ダウンロードするように時代を描く作詞家
フォトグラファー田口まき&小誌エディトリアルディレクター軍地彩弓がお送りする「21世紀少女」。クリエイターやアーティストなど、21世紀的な感覚を持つ新世代女子を一人ずつ紹介。今回のゲストは、女子の心をつかむ歌詞を生み出す、作詞家の中村彼方。イヤホンで曲を聴きながらiPadでさらさらと歌詞を書く彼女がよく作業をするという渋谷の「cafe croix」で撮影取材を行った。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2015年11月号掲載)
中村彼方の年表
1996年 13歳
歌詞に興味を持ち始める
2000年 17歳
フランスへ留学
2009年 26歳
作詞家としてデビュー
2010年 27歳
少女時代「Gee」の日本語訳詞を手がける
2015年 32歳
絵本アプリ「てのひらの星」をリリース
中村彼方への5つの質問
──今の日本をどう思いますか?(政治・経済・文化など総合的な意味で)
「日本全体が病んでいる気はします。ネガティブな人が多いかな。日本の良いところが悪い方向に働いていると思います。良いモノがあったとしても、足を引っ張って無理やり足並みを揃えるような…。『思いやり』で、相手に合わせたり、相手のことを考えて遠慮するのは良い文化だったはずなのに、その形式だけが残ってしまっている気がするんです。だから私は、ポジティブな歌詞を書くんです。いつの時代もそうだけれど、今この瞬間が未来を変えていくので」
──尊敬している人や憧れの人は誰ですか?
「私の勝手な持論をいうとですね… 尊敬している人がいる限り、その人を超えられないんです。なので、誰も尊敬しないようにしています。もちろん、素晴らしい人たちはたくさんいらっしゃいます。いま大好きな、戦国武将の齋藤道三とか(笑)格好いいな、とは思うけれど、それは尊敬や憧れではない。憧れちゃうとやっぱり、その人に憧れる自分でしかいられない。天井を自分で作ってしまうようなことはしません。質問に答えられず申し訳ありません(笑)」
──今後の目標、挑戦したいことは何ですか?
「いつかテーマパークを作りたいんです。とにかく楽しくて夢がいっぱいなテーマパークを。でも、それは人に何かを与えるのが目的ではなくて、自分のためですね。自分の好きな店を置いて、自分の好きなように楽しめる。荷物の多いことが嫌いな私が手ぶらで歩けて、店の商品も全部ツケでOK!とか(笑)。そこには大好きな人たちもいて、知らない人でも楽しみたい人は誰でも来ていいし、私も自由に楽しんでます!みたいな(笑)」
──今一番興味があること、今一番怖いと思うことは、それぞれ何ですか?
「何にでも興味があります。好奇心は超旺盛で、何でも知りたい。今は世界をもっと知りたいので、ピラミッドとかマチュピチュとか、遺跡系に行きたいです。怖いことは… ぶっちゃけ何もないです。別に死ぬのも怖くない。死ぬときは死ぬし、それが今じゃない、という自信もあるから。歌詞が出てこなくなるかもしれない、という怖さもないです。仮にそうなったら、別のことをやればいいかな。それはそれで意味があってそうなっていると思うので」
──10年後の日本はどうなっていると思いますか?
「影響力のある人がいっぱい出てくる気がします。今の子どもたちにとってはネット社会が当たり前だから、成長過程で自ら何にでも影響を受けられますよね。彼らはその中で、自分に必要なモノ、ポジティブなモノを取捨選択していくと思います。だから、すごく強い主張を持った若者がたくさん出てくるんじゃないかな。戦国時代っぽくなるかも(笑)。血は流さないけれど、各地で武将みたいな人が出てきて…。これはもう完全に妄想ですね(笑)。そうなったら面白そう!」
Photo:Maki Taguchi
Director:Sayumi Gunji
Text:Rie Hayashi