21世紀少女 vol.6
劇団快快/FAIFAI主宰、脚本家、演出家 北川陽子
今の気分を描き出す、未来的劇作家
フォトグラファー田口まき&小誌エディトリアルディレクター軍地彩弓がお送りする「21世紀少女」。クリエイターやアーティストなど、21世紀的な感覚を持つ新世代女子を一人ずつ紹介。今回のゲストは、劇団快快/FAIFAI主宰、脚本家、演出家の北川陽子。撮影は、彼女がよく訪れる高円寺の銭湯「小杉湯」前にて、取材は好きな本やモノが至る所に飾られた彼女の自宅にて行った。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2015年9月号掲載)
北川陽子の年表
2005年
多摩美で知り合った友達と快快を結成
2009年
初めてのヨーロッパツアー!
2010年
チューリヒシアタースペクタクルで「ZKB Patoronage Prize」受賞。賞金30,000スイスフランget!
2011〜2013年
アジア、アメリカツアー敢行
2013年
第57回岸田國士戯曲賞に『りんご』上演台本ノミネート
2015年
最新作『再生』で過去最高動員記録!
北川陽子への5つの質問
──今の日本をどう思いますか?(政治・経済・文化など総合的な意味で)
「どの時代でも完璧なことはないので、言いたいこともたくさんありますが、それはそれで…。でも、私は日本が大好きなので。快快の公演のために海外のいろんなところへツアーに行くんですけど、私だけは、どこへ行っても必ず日本に帰ってきたくなるんですよ。必ず『あー早く帰りたい!』と思う。他のメンバーは移住しちゃったり、現地の人と結婚したりしてますけど(笑)、私だけは絶対に帰ってきたいんです。日本語も好きだしなぁ」
──尊敬している人や憧れの人は誰ですか?
「多摩美時代の先生である鈴木志郎康さん。唯一の恩師です。今は病気で自宅療養中なのですが、いまも詩を書きまくってますよ。快快のメンバーは志郎康さんのことがすごく好きで、いまだにお宅に遊びに行ったりしています。先生の本には快快の詩もあるんです。全員の名前が載っていなかったりして(笑)。でもこの自然体がいい。年齢を重ねれば重ねるほど解放されていてすごく良いんですよ。最近のになればなるほど良くて。ずっと憧れです」
──今後の目標、挑戦したいことは何ですか?
「次の舞台にはロボットを出したいです。今までにあったような“ポン出し感”ではなく、もうちょっと身近な感じで。ロボットもまだ、喋る機械であって、芝居ではない。でも、AIのプログラミングで人との会話ができるようなロボットができれば…。だから、借りてきたロボットを舞台に出すのではなく、開発から一緒にやりたいんです。次の舞台は、メンバーのタイミング的にも、割とゆっくり準備を進めていきたいので。あとはドラマの脚本を書きたいですね!」
──今一番興味があること、今一番怖いと思うことは、それぞれ何ですか?
「興味のあることは、ロボットの『Pepper』。めっちゃ欲しいー! AIだから、だんだん育つのかな? 最近育てたい欲があるんですよね。自分一人で育つ時期は終わって、何かを育てながら一緒に育つ時期が来たなと思ってます。怖いのは、死ぬことくらい。死ぬのはずっと怖いまま。だから作品も『生と死』をテーマにしたりするんだと思う。母が亡くなる瞬間を見て、死ぬのってめちゃくちゃエネルギーがいることなんだとわかってから余計にそう思います」
──10年後の日本はどうなっていると思いますか?
「ロボットと暮らせていたらいいな。今はまだ高いので、もう少し値段が下がったら買おうかな。今の第1号な感じのも欲しいですけどね。空気読めなくて可愛いし(笑)。これからの10年はいよいよ、昔見ていたSFみたいな“過去未来”がやって来るような感じがしますね。過去に見ていた未来に現実が追いついてきて。テクノロジー×人間。ロボットと暮らしながら農業をやるとか。それってモロ、漫画で昔見ていたものじゃないですか。それ来ちゃうのかー!」
Photo:Maki Taguchi
Director:Sayumi Gunji
Text:Rie Hayashi