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Culture Post

21世紀少女 vol.11
古着店「サントニブンノイチ」経営者mico
アメ村×原宿系古着がつなぐ、未来の価値

フォトグラファー田口まき&小誌エディトリアルディレクター軍地彩弓がお送りする「21世紀少女」。クリエイターやアーティストなど、21世紀的な感覚を持つ新世代女子を一人ずつ紹介。今回のゲストは、古着屋「サントニブンノイチ」経営者のmico。現在、大阪、広島、原宿で計4店舗を経営、今年はさらに名古屋と福岡にも店舗をオープンするというやり手の経営者だ。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2016年3月号掲載

Photo:Maki Taguchi Director:Sayumi Gunji Text:Rie Hayashi

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軍地彩弓が読み解く
「モノが売れない時代のヒットのつくり方」

お店の名前は“サントニブンノイチ”。アメコミのキャラがあふれる店内。パステルカラーの色別に並べられた90年代風のちょいださな古着たち。ショップ名は「今っぽい2. 5次元のつもりで付けたんだけど、ちょっと間違えたみたい」とmicoは笑う。24歳にして4店舗を持つ古着屋のオーナーだ。

この仕事を始めたのは2年前。保育士だったが、大好きだった大阪アメ村の古着店が閉店したことから、自分でお店を開くことを考えた。古着の仕入れの方法も何もわからないなか、当時の彼(今では共同経営者)と一緒にオープンさせたのはアメ村の雑居ビルにある数坪の店。家賃6万円。最初の6カ月はまったく売れない日が続いた。「このままじゃ嫌だと思って、だったらやりたいことをやろう」と壁を大好きなパステルに塗って、自分の好きなアメリカ系古着だけ選んで埋めた。そこからが状況が一変。お金がないからTwitterを活用した。自分たちのスタイリングをUPするだけでなく、フォロワーが○○人に達成したら割引チケットをプレゼント!というキャンペーンでフォロワーが急増。順調に売り上げを伸ばすことになる。Twitterは100万インプレッションを記録。そして、ついに原宿店がオ−プン。「サンニブ系」と言われるアメ村×原宿の古着が話題になる。

何で今、古着が人気なのだろう?「人とかぶりたくないんです、みんな。古着って出合いだから、その分、好きな服が見つかったときのうれしさが違うから。」古着とはいえ、ここのスカジャンは¥18,000。10代、20代のコにとってはかなり高い。「アメリカで仕入れた倉庫いっぱいの古着の山から、自分自身でカワイイと思うものだけしか店に出さない。厳選して丁寧にクリーニングしているから、この価格です」。

店内にはお店のファンから贈られたスタッフの似顔絵や手紙が飾ってある。なかにはアイドル化しているスタッフまでいるという。「私にとって一番大切なのはスタッフとお客さん。この服を大好きなスタッフから買った、という価値を大切にしています。人間関係の濃さ。これが私の武器」。

どこにでもある店、どこでも買えるものではなくて、ここじゃなきゃ得られない体験。eコマースやファストファッションでは生まれない価値。この重要性を素人同然で店を始めたmicoは実体験から見つけた。24歳の経営者は柔らかくて、力強い。まだまだ未来は明るい。

the recipe of me
私の頭の中

21世紀的感覚を持った新世代の若者は、普段どんなことを考えているのだろう? そのヒントは、彼らの周りの“モノ”にもちりばめられている。micoの私物は、ほとんどがピンクやパステルカラー。その世界観がお店にも反映され“サントニブンノイチ”が出来上がっている。

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(左上から時計回りに)
1. 原宿店の壁にたくさん貼られているハートの飾り。
2.「これは絶対に誰にも渡したくないニット! 大好きなピンクだし、123(サントニブンノイチ)の数字とmicoのMが入っているんです!」
3. 販売中のオリジナル缶バッチ ¥500
4. 店内に飾られた黄色のジャケットは非売品。
5. 店内アイテムでコーディネート♡ ビッグタンク ¥7,800 (中に着た)パーカ ¥5,800 スカート ¥3,800。靴は私物でTOKYO BOPPERのもの。

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(左上から順に)
6. ファンの子からもらった色紙。「スタッフみんなのキリヌキ付きのメッセージをくれたんです♡ このほかにも、もらった色紙や絵を店内にたくさん飾っています!」
7. ネイルはパステルのリップ柄!「今はいろんなネイルサロンを転々としています」
8. 愛用のPCにもピンクやパステルカラーのステッカーがいっぱい!
9. 必需品のセルカ棒も、もちろんピンクで♡

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(左上から時計回りに)
10. サントニブンノイチらしい原宿店の店内一角。
11. 今日の私服♡ ブルー系を着ることも多いそう。
12.家に置いているハートグッズ。「恋愛運が上がる気がして♡」
13. 今回の取材のために持ってきてくれた「大事なものたち」。「私物はほとんどピンクなんです!家もめっちゃピンク!」。スーツケースは楽天で購入。

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(左から順に)
14. 店内アイテムでコーディネート♡2 スウェット ¥4,800 スカート ¥4,500 ワンちゃんバッグ 私物(パンクケイクにて購入)
15.「白×赤も好き♡」DJをするときに使うヘッドフォンは、audio-technicaのもの。

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micoの年表

2010年 18歳
地元・山口県の高校を卒業後、関西の短期大学に入学

2012年 20歳
卒業後、保育士に。大阪アメ村の古着屋に通い始める

2013年 21歳
保育士を辞め、3月21日に大阪1号店を立ち上げる

2014年 22歳
4月に系列店の『ニブンノイチ』がオープン

2015年 23歳
4月の原宿店オープンをきっかけに大阪から上京

micoへの5つの質問

──今の日本をどう思いますか?(政治・経済・文化など総合的な意味で)

「難しいですね。日本を嫌いになったことがないから…。単純に、好き!(笑)。最近知り合いも増えてきて、すっごく楽しいんです。日本の人たちっていまみんなフレンドリーじゃないですか? 東京でも大阪でも、みんな気さくに話しかけてくれるし…。フレンドリーで自由な国になってきた気がします。私の中では。初めて会ったときから仲良し!友達の友達はみんな友達!みたいな(笑)。SNSの影響もあるのかな?」

──尊敬している人や憧れの人は誰ですか?

「今日お話しして、軍地さんになりました! 取材を受ける立場なのに、お話の中でアドバイスをたくさんいただいて。もう次元が違う気がします…!古着屋として憧れなのは、大阪・アメ村の古着屋『TANEO』オーナーのERUさん。子どもが一人いるのに自分の道をガンと突き進んでいる感じがすごく格好よくて。息子さんもめっちゃおしゃれなんですよ。子育てもして、海外にも行ってバリバリ働いて…。10年後くらいにはこんな感じになっていたいな」

──今後の目標、挑戦したいことは何ですか?

「一番の目標は、古着が好きな人を一人でも多く増やすこと。サントニブンノイチとしては、全国区になりたい気持ちもあるけど、それよりも、古着の文化の第一線にいられたらな、と思います。『古着といえばサントニブンノイチ』と思ってもらえるようになりたい。若い子たちの初めての古着店がココだったらいいな。今も、北海道から沖縄まで、いろんな地方からお客さんが来てくれます。修学旅行の自由時間にも来てくれたりして、そのたびに本当にうれしくなります!」

──今一番興味があること、今一番怖いと思うことは、それぞれ何ですか?

「怖いことは、お店の子が卒業していくこと。自分の道に進むことは応援したいんですけど、それが寂しくて…。お母さんとか先生ってこんな気持ちなんだろうなって(笑)。卒業後は例えば、お医者さんになったり、タレントになったり。『ほりえりく』という有名なYouTuberも、うちの卒業生です。興味があることは HIP HOP。ずっと無縁だと思ってたんですけど、原宿店の一階下のお店でよく流れていて、なんかイケてる!と思って聴くようになりました(笑)」

──10年後の日本はどうなっていると思いますか?

「古着が好きな人が、たくさんいてくれてるといいな。10年後も絶対に古着屋さんをやってたいし。そのためにも、今と変わらず、ずっと、古着好きのスタッフを集めて、バイイングの服も集めて、自分磨きも頑張って…。それに、10年後には、古着屋を続けながら服飾学校の先生にもなりたいんです。古着だけじゃなくて服の楽しさを伝えられるようになっていたいな。どんな形で、とかは、まだ全然想像つかないけど(笑)」

Profile

mico 大阪アメリカ村発の古着屋『サントニブンノイチ』オーナー。ありそうでなかったものを追求し、現在では大阪、原宿、広島に計4店舗を経営、今年は名古屋と福岡にもオープン予定。モデル、DJとしても活動中。

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