夏はスパークリングワインが飲みたい! でもそもそもスパークリングワインにはどんな種類があるのかご存知でしょうか? 製法や産地によってその呼び方もさまざまです。そこで、Numero.jpの連載でおなじみ、ワインマーケット・パーティ店長の沼田英之ソムリエに、ワインブロガーのヒマワインが産地ごとのおすすめを聞いてみました。

夏に飲みたいスパークリングワイン
ヒマワイン(以下、ヒマ)「今回のテーマは『夏に飲みたいスパークリングワイン』です」
沼田店長(以下、店長)「シンプルでいいですね! ウチのお店でも夏はやっぱりスパークリングワインがよく売れます」
ヒマ「夏の乾杯に泡(スパークリングワイン)は格別ですよね。BBQのときやプールサイドなどで、ワインクーラーで冷やした泡を飲むのは夏の最高の贅沢です」
店長 「そんなシチュエーションにふさわしいワインを、世界中の主要な産地から選んでみました。さっそくご紹介しましょう!」
1. プロセッコ(イタリア)

店長「まずは『プロセッコ』です。イタリア、ヴェネト州で造られるスパークリングワインのことで、実は『世界で一番売れているスパークリングワイン』でもあります。」
ヒマ「なんと、シャンパーニュより売れているわけですか!」
店長「はい、なんと年間6億本売れているそうですよ。プロセッコはシャンパーニュより価格が安いですし、味わいもわかりやすいですから、世界で人気なのも納得です。今回紹介するワインは定価2,420円ですが、ウチのお店だと2本で3,300円で売っています。」
ヒマ「シャンパーニュはどんなに安くても4,000円~5,000円くらいしてしまいますが、プロセッコは1,500~2,000円くらいで買えるのは大きな魅力ですね。」
店長「シャンパーニュの場合、瓶内二次発酵といって、瓶内で発酵させることで泡を封じ込めるんです。それに対し、プロセッコは大きなタンクのなかでその作業を行います。一度に大量に造れる分、手頃なお値段になりやすいんです。」
ヒマ「プロセッコというと、個人的には『青リンゴ』の印象なんですが、このワインの特徴は?」
店長「味わい的には甘夏のような酸味と、洋梨のようなフルーツ感が共存していますよね。泡立ちも細かいですし、プロセッコらしいコスパの良さを感じていただけるのではないかと。」
ヒマ「ナッツとか生ハムとか、火を使う必要のないつまみを用意して、キンキンに冷やしたこれと合わせたら最高ですね。ワインがあまり得意じゃないなら、オレンジジュースで割ってもおいしそう」
店長「いいですね。つまみは軟骨やタコの唐揚げにレモン絞ったのもオススメです!」
2. ソーヴィニヨン・ブランの泡(ニュージーランド)

店長「続いてはちょっと珍しいワイン。ニュージーランドを代表する品種、ソーヴィニヨン・ブランの泡です」
ヒマ「ソーヴィニヨン・ブランっていうと、グレープフルーツのような酸味と、清涼感のある青いハーブみたいな香りが特徴の品種ですよね」
店長「その通りです。そしてこのワインは、そんな品種の特徴がものすごくくっきりと出ているんです」
ヒマ「うわ、ホントだ! 青々とした芝生を思わせるような、そこにレモンを絞ったような超・さわやかな香りがグラスから爆発してきます」
店長「でしょう! あまりにもさわやかすぎて、夏におすすめというよりも、『夏に飲むしかない』という印象。今回の企画で一番最初に選んだのがこのワインなんです」
ヒマ「なんなら暑い日のお昼に、そうめんと合わせたいくらいですよ。薬味のシソやミョウガと合いそう」
店長「料理は選びませんが、ライムやスダチなど、青い柑橘を絞ってあげると相性が急上昇しますよ」
3. コルピナット(スペイン)

ヒマ「お次は……スペインワインでしょうか。スペインの泡というと『カバ』が有名ですが……」
店長「これはちょっとマニアックなのですが『コルピナット』というワイン。カバのルールよりも、より厳格な規定に基づいて造られているスパークリングワインです」
ヒマ「どのような規定があるんですか?」
店長「たとえば、ぶどうは有機栽培でないといけないとか、自社の畑で栽培されたぶどうでなければならないとか、最低18カ月以上瓶内で熟成させないといけない、などですね。」
ヒマ「18カ月熟成というと、シャンパーニュの規定(15カ月)より長い!」
店長「そうなんですよ。それだけに味わいもいいんです」
ヒマ「ほんとですね。味わい的にはあくまでもカバの延長線上に感じますが、泡が細かくて味わいに角がなく、どこか体に染み込むような旨みを感じます」
店長「リンゴのようなニュアンスもあって、とてもおいしいですよね。アンチョビやオリーブ、豚のリエットといった、少し苦味のあるおつまみと最高の相性です」
ヒマ「シャンパーニュに匹敵するこだわりの製法で、約3,500円という価格は魅力的。覚えておきたいワインだと感じました!」
4. クレマン・ダルザス(フランス)

ヒマ「続いては『クレマン』ですね。」
店長「クレマンとはフランス語で『クリーム』の意味。シャンパーニュよりもガス圧の低い柔らかな泡が特徴で、フランス各地で造られる人気のスパークリングワインです。」
ヒマ「これはアルザス地方のものですか。」
店長「先日フランスに行った際に、いろんな方に『シャンパーニュがなかったら、乾杯になにを飲む?』って聞いて回ったんです。そうしたら、一番多く返ってきた答えが『クレマン・ダルザス』だったんです。」
ヒマ「へー! それは面白い」
店長「なんでもフランス人の半分以上はそう答えるみたいですよ。シャンパーニュよりも飲みやすく感じる人も多いのではないでしょうか」
ヒマ「アルザスのワインは、スパークリングに限らず果実味と酸味のバランスがよく、飲みやすい物が多いですよね。このワインもハチミツレモンのような雰囲気があって、スイスイ入ってきます」
店長「お料理もなんでも合わせやすいですよね。乾杯で飲んで、そのままずっとテーブルに置いておけるというか。ボイルしたアスパラガスに卵黄と溶かしバター、レモン汁で作るオランデーズソースと合わせたりしたら最高です」
5. シュラムスバーグ(アメリカ・カリフォルニア)

ヒマ「続いてはカリフォルニアのスパークリングワイン」
店長「『シュラムスバーグ』という造り手さんなんですが、ここは大統領の晩餐会などでも乾杯で使われるようなワインです」
ヒマ「ザ・定番的な。これはここまで飲んできたものとは打って変わって、“超・本格的”という味わいですね」
店長「そうですね。いわばシャンパーニュに近い味わいがある。実際、シャンパーニュと同じようにリザーヴワイン(ワイナリー内で寝かせた古酒)をブレンドしているようです」
ヒマ「それもあって、かなり深みや奥行きがあります。ちょっと樽のニュアンスもありますね」
店長「『33rdボトリング』とラベルにあるので、33回目の醸造なんでしょうね。33歳になる方へのプレゼントや、結婚・設立の33周年といった記念日にもいいですね」
ヒマ「同じ値段のシャンパーニュと比較しても、頭ひとつ抜け出そうな味わいです」
6. ゼクト(ドイツ)

店長「次はドイツのスパークリングワイン『ゼクト』です。品種はムスカート。日本でいうところの“マスカット”ですね」
ヒマ「飲んでビックリ、本当に生で食べるマスカットそのままの味と香りがしますよ!」
店長「長野県のぶどう園で、ぶどうを丸かじりしたような印象すら受けますよね。造っているのはドイツ・バーデン地方のトップ生産者ですが……」
ヒマ「なんていうか、子どものころ『ワインってこういう味がするのかな?』と想像した通りの味という印象です」
店長「ワインというのは、基本的にはぶどうの果実そのものの味はしないもの。そこに妙味というか面白さがあるので、このようにぶどうの味がストレートにするものは珍しいですね。ただ、価格もそれなりにするだけあって、必ずしもジュースっぽいわけではなく、ワイン的な深みもしっかりと感じさせるのがさすがです」
ヒマ「これはもう、ナイトプールで飲んだら最高! という一杯。ふだんワインを飲み慣れていない方に振る舞うのにもベストではないでしょうか」
店長「アボカドをディップしたトルティーヤなどつまみながら、夏を満喫してもらいたいですね」
7. MCC(南アフリカ)

店長「いよいよ最後の1本は、南アフリカの『MCC』を選んでみました」
ヒマ「『MCC』ってなんでしたっけ?」
店長「メソッド・キャップ・クラシックの略称です。シャンパーニュと同じ方式で造られているってことを示しているんですよ。このワインは、なんと92カ月も瓶内熟成しているというロゼスパークリングです」
ヒマ「92カ月!? ということは、8年近く熟成しているということですか……! しかもそれで5,000円を切る価格というのが驚異的です」
店長「シャンパーニュでこの熟成期間だったら、確実に10,000円は超えてくるでしょうからね」
ヒマ「味わい的には、長い熟成期間を経ているだけに複雑な香りと複雑な味わいがします。私は今日買って帰りたいくらい好みの味。一方で、普段ワインを飲まない人には難解に感じちゃうおそれもありますかね」
店長「お酒を飲み慣れている人なら『良いものだ』ということは伝わると思いますが、たしかにわかりやすさでいえば、他の6本のほうがいいかもしれませんね」
ヒマ「逆にいうと、ワイン好きの方には相当おすすめということ。この価格で熟成感まで楽しめてしまうのは破格です!」
8. まとめ

店長「というわけで、夏におすすめのスパークリングワイン7本でした。世界中の有名なスパークリングワインを集めてみたので、ワインのことを深く知りたい人にもおすすめです」
ヒマ「たしかに! そしてあえてシャンパーニュは選ばなかった感じですかね」
店長「そうですね、シャンパーニュは夏じゃなくても、一年中おいしいですから(笑)。イタリアのフランチャコルタ、イギリスのイングリッシュスパークリングといったシャンパーニュに似た味わいのワインも、今回はあえて外して選んでみました」
ヒマ「個人的には、最初に飲んだ『プロセッコ』や、2番目に飲んだ『ソーヴィニヨン・ブラン』、そしてマスカットの味わいの『ゼクト』あたりは、ワインを普段飲まない人にこそ飲んでもらいたいと感じました」
店長「とてもわかりやすい味わいですからね」
ヒマ「『カリフォルニアのスパークリング』や南アフリカの『MCC』はかなり本格的な味わいで、ワイン好きにおすすめ。『コルピナット』と『クレマン・ダルザス』はその中間という印象です」
店長「そうですね。そのあたりはお好みで選んでもらえるといいのではと思います」
ヒマ「お休みの日に昼から飲むもよし、プールサイドやBBQの友に良し、蒸し暑い夜に暑気払いで飲むもよい。夏はやっぱり、“泡”ですね!」
ワインマーケット パーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00〜20:00
TEL/03-5424-2580
URL/winemart.jp
Photos & Text:Hima_Wine
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