
発売直後から大きな反響を呼んだ、タナカ ダイスケ(tanakadaisuke)と『美少女戦士セーラームーン』のコラボレーションコレクション。
幼い頃から作品の世界に魅了されてきたデザイナー・田中大資が、その記憶や憧れをもとに、深いリスペクトを込めて形にした本コレクション。作中に登場する印象的なモチーフを、ブランドならではの繊細な刺繍やビーズワークで表現し、『美少女戦士セーラームーン』の世界観とタナカ ダイスケらしい装飾美が響き合う。
長年愛し続けてきた作品とどのように向き合い、自身のクリエイションへと昇華したのか。制作の背景について田中大資に話を聞いた。

——幼い頃から『美少女戦士セーラームーン』に魅了されていたとのことですが、ご自身にとってどのような存在だったのでしょうか。
「幼稚園の頃に見ていた、記憶に残っている最初のアニメです。僕にとっては本当に“一歩目”のような存在ですね。プリンセス・セレニティのドレスだったり、戦士たちのコスチュームだったり、今でもすごく印象に残っています」
——当時から、洋服やデザインに惹かれていたのですね。
「落書きをする時も、プリンセス・セレニティのドレスやうさぎちゃんの髪型ばかり描いていた記憶があります。その頃に受けた影響は、現在のブランドにも繋がっていて。今改めて原作を見返してみると、『自分はこれが好きだったんだな』とか、『この装飾、自分もやっているな』とか、気づかされることが多いです。無意識のうちに影響を受けていた部分はたくさんあると思います」

——今回のコラボレーションは、田中さんからアプローチをして実現したのですか?
「はい。当時の『なかよし』の付録の便箋を探してきて、原作者の武内直子先生へ手紙を書きました。『幼い時にアニメを見て影響を受けてデザイナーになりました』ということと、『何か一緒にものづくりがしたいです』という想いを書いたんです。ありがたいことにすぐにお返事をいただき、快く引き受けてくださいました。原作とコラボレーションしているブランドを見ると、自分の前には大きなブランドがたくさん並んでいたので、正直すごくドキドキしていました」

——今回のコレクションを制作するにあたって、原作とどのように向き合いましたか?
「最初のプレゼンでは、『こういうものを作りたい』という提案を自分でまとめていました。原作の絵を自分なりにトリミングしながらイメージを組み立てていって、その後は原作側からの希望やアドバイスをいただきながら制作を進めていきました。僕自身もアニメの印象が強かったのですが、原作を見返してみるとグラデーションや光の表現が本当に美しくて。その繊細さに改めて驚かされました。先生の絵って、一枚絵でありながらスパンコールが重ねられていたり、さまざまなギミックが散りばめられているんです。そうした魅力に対して、何かもうひとつ、自分らしい表現を重ねられないかと模索していました」
——それが今回の刺繍やビーズによる表現につながっているんですね。
「そうですね。原作をプリントしたTシャツに刺繍やビーズを重ねたり、クリスタルの装飾をあしらったアクセサリーを制作しました。きっと武内先生もキラキラしたものがお好きだと思ったんです。だからこそ、自分のブランドらしいディテールで取り入れることを一番に意識して、よりきらめきを加えたデザインに仕上げました」
ビジューの装飾を加えた限定Tシャツやセーラームーンが髪に付けている装飾を表現したクリスタルヘアクリップのほか、タナカダイスケの定番アイテムである「ビジュー エイド」やヘアリボンもセーラームーン仕様になって登場した。
——落ち着いたカラートーンも印象的でした。
「僕も今年34歳になるのですが、『美少女戦士セーラームーン』は3つ上の姉と一緒に見て育った作品なんです。だから今回は、当時夢中になっていた自分たちが、大人になった今も自然に身につけたいと思えるものを制作しました。Sailor Moon Storeにも、もちろんかわいいアイテムがたくさんあります。さらにそこに『こういうものがあったらうれしいな』という視点を提案に織り込みました」

——憧れていた『美少女戦士セーラームーン』の世界を、ご自身のクリエイションに落とし込んでみて、改めて感じたことを教えてください。
「色使いが本当に絶妙だなと思いました。一見すると“かわいい”で終わるのですが、実際にそのグラデーションや色彩を拾っていこうとするとすごく難易度が高くて。ぴったりの色のビーズや素材がなかったり、水色ひとつ取っても『このキャラクターの水色はこっちかな……』と考えながら選んでいました。それを自分なりの刺繍やビーズで表現していく作業は大変でしたが、とても楽しかったですね。改めて武内先生の表現の繊細さや奥深さを実感しましたし、憧れていた世界に、今の自分なりの表現で向き合えたことが何より嬉しかったです」
Interview & Text: Makoto Matsuoka




