1980~90年代に頭角を現し、人々の目を釘付けにした時代の寵児――ロバート・ロンゴ。ニューオーダーのミュージックビデオなど、映像作品でも知られるその人が、日本で約30年ぶりの個展に臨む。深遠なる陰影で描き出す、激流の時代の象徴とは。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年6月号掲載)


ロバート・ロンゴ(1953年、アメリカ・ニューヨーク生まれ)。その名前は数々の伝説に彩られている。77年のグループ展「Pictures」で脚光を浴び、シンディ・シャーマン、リチャード・プリンスらと共に「ピクチャーズ・ジェネレーション」と称された。テレビや広告にあふれる複製可能なイメージを引用し、消費社会の欲望を描き出す時代の寵児。なかでも81年発表の「Men in the Cities」は、激しく体をくねらせるスーツ姿の男性らを木炭で描いた象徴的シリーズ。このイメージに熱狂的かつ表層的ともいえる反応を見せたのが、バブル前夜の日本だった。圧倒的な筆致によるモノクロームの人物像とそのポージングが、広告やファッションの表現で多くの追随を生むほどに、スタイリッシュに見えたのだ。


以後、ロンゴは立体作品や映画など、表現手法を拡大。近年はインターネットをはじめ、メディアとイメージへの関心をさらに深めてきたという。今回、約30年ぶりの日本での個展に向けて、両国の文化にまたがる象徴を探求。人物や自然をモチーフに、木炭ドローイングや彫刻作品を発表する。“渦潮(うずしお)の中の天使たち”を意味するタイトルは、哲学者ヴァルター・ベンヤミンの言葉「歴史の天使」からの引用か。激流いや増す時代のなか、イメージの深遠に思いを馳せたい。
ロバート・ロンゴ:「Angels of the Maelstrom」
圧倒的画力と壮大なスケールの作品で知られるアーティスト。日米間の文化的影響や自身の作品形成への関与を考察する、約30年ぶりの日本での個展。最新情報はサイトを参照のこと。
会期/4月16日(木)~6月17日(水)
会場/Pace ギャラリー
住所/東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA1-2階
URL/www.pacegallery.com/
Edit & Text : Keita Fukasawa
