小誌の連載から生まれたくどうれいんと染野太朗の短歌集『恋のすべて』が、トータルビューティカンパニー「uka」とコラボレーション。時間をイメージした2種類のネイルオイル「7:15」「24:45」が、短歌集『恋のすべて』の装丁とお揃いのパッケージで登場。さらに、くどうと染野がそれぞれの香りをイメージして書き下ろした短歌の短冊が封入される。できあがったばかりの商品を前に、くどうと染野、uka代表の渡邉季穂がコラボに込めた思いを語る。

ネイルオイル自体が商品としてすごく詩に近い
──今回、ukaさんのネイルオイルと短歌集『恋のすべて』がコラボしました。編集部からの提案を受けてどう思われましたか。
染野「ドッキリかなと思いました(笑)」
くどう「Numéroの罠なんじゃないかなってね。ちょっとあまりにも願ったり叶ったりどころか、願ってもなかったような感じでびっくりで。ありがたかったです」
渡邉「こちらこそですよ。こんなきれいなパッケージができて、素敵な短歌をいただけて」
──時間をイメージしたネイルオイルに対して短歌を書き下ろすのは、大変でしたか。
染野「香りがあって、時間帯の設定もあったからイメージが膨らみやすかったです」
くどう「このネイルオイル自体が商品としてすごく詩に近いところにあるというか。だから無理やり詩のほうに引っ張ってくる必要がなかったのでやりやすい感じがありました」
渡邉「もともとはネイルオイルを1日に何回も塗ってもらうにはどうしたらいいんだろうというところで、時間をテーマにしたんです。どんな時に香りからパワーをもらいたいのか。朝は元気に1日始めるため、夕方は仕事終わりのデートの前に、とか。そのメッセージをお二人の才能というものにこんなに引き出していただけるなんて」
染野「いま、写真や絵に対して短歌を書き下ろす、というのはよく見るんですが、今回は香りがあって、時間があって、短歌があって」
くどう「より立体的なコラボレーションになりましたよね。みんなの生活の盾になってくれたらいいなみたいな思いもあり、だからなるべくいろんな人にそのままフィットするようにちょっと意識はしました」
渡邉「お二人が書き下ろしてくださった短歌は、読んだ直後に、ゾゾゾっていう、もう湧き出るような気持ちっていうか。どこかに眠らせてた感情がふわっと出たみたいな感じが本当に素敵で、豊かだと思いました」
染野「なんてうれしい感想!」
くどう「ありがとうございます!」


──「uka nail oil」の時間をイメージした定番シリーズは4種類あります。今回はそこからお二人に2種選んでもらいました。
くどう「4種類とも全然違う気持ちの上がり方だったんですよね。香りの違いによって こんなに気持ちの流れが変わるんだなと思いました。今回のコラボでは2種ということで、特にパリッと違う読み口にしてみたかったのもあり、朝の『7:15』と夜の『24:45』をセレクトしました。あと男性でも買いやすいといいなと」
染野「昨年末に編集さんから頂いて、僕も使っているんですが、やっぱり香りで気持ちが豊かになりますよね」
渡邉「ありがとうございます。手はだれもが使う、触れる。生きる道具だから、男女問わずケアしてほしいです」


ukaのネイルオイルでケアする人にこそ読んでほしい
くどう「実は私、もともとはずぼらだから、あまりハンドケアをしてこなかったんですね。今もたくさんはできてないんだけど…。でも、あるときネイルオイルとネイルカラーのセットを夫がプレゼントしてくれて。それ使うようになってから、ネイルオイルがあるとネイルをケアするようになるんだなと。ケアしたいから買うものだと思ってたんだけど、あるとやるようになるんだなと思いました。ちょっとこじつけかもしれないけど、短歌も作るようになると存在するというか…」
染野「短歌を作る頭で日常を捉えられるようになるんですよね」
くどう「そうそう! だから、今までネイルオイルになじみのなかった人もこれをきっかけに使うようになったり、短歌になじみがなかった人も意外といいもんだなって思ってもらえるといいなって」
渡邉「私、それの代表選手! 短歌は今まであまりなじみがなかったけど、おもしろい。いいコラボになりましたね」
くどう「すごく不思議なジャンルの越え方だけど、必然性があるような気もしてうれしかったです」
渡邉「みんなに『ネイルオイルについてくる短歌ってどんなの?』って聞かれるんですが、このための書きおろしだから買った人だけのお楽しみって答えてます(笑)。短歌集と一緒に広く届いてほしいです」
くどう「わあ、うれしい。ukaのもので自分をケアして、ちょっとでも上がりたいって思っている人にこそ読んでほしくて。恋真っ只中の人にもハマると思うんですけど 『恋、ね…』みたいな、恋なんて忘れかけてた、もういいかなみたいな人にも手に取ってほしいので、予期せぬ場所で出合っていただけるっていうのがすごく幸せです」

【商品情報】
uka nail oil 7:15 恋のすべて for Numero TOKYO 5mL
3,960 円
『恋のすべて』+uka nail oil 7:15 恋のすべて for Numero TOKYO set
5,830 円
uka nail oil 24:45 恋のすべて for Numero TOKYO 5mL
4,290 円
『恋のすべて』+uka nail oil 24:45 恋のすべて for Numero TOKYO set
6,160 円
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くどうれいん
1994年、岩手県盛岡市出身・在住。作家。エッセイから小説、絵本、短歌まで幅広く手掛ける。歌人としてはコスモス短歌会に所属し、2025年に第62回桐の花賞を受賞。歌集に『水中で口笛』(左右社)がある。中篇小説『氷柱の声』(講談社)で第165回芥川賞候補に。近著にエッセイ集『コーヒーにミルクを入れるような愛』(講談社)、『湯気を食べる』(オレンジページ)、小説作品集『スノードームの捨てかた』(講談社)など
染野太朗(そめの・たろう)
1977年、茨城県生まれ。大阪府在住。歌人。高校生のときに短歌結社「まひる野」に入会。第一歌集『あの日の海』(本阿弥書店)で第18回日本歌人クラブ新人賞を受賞。2015年度Eテレ『NHK短歌』選者。16年に第二歌集『人魚』(KADOKAWA)、21年に現代短歌クラシックス『あの日の海』、23年に第三歌集『初恋』(共に書肆侃侃房)を出版。短歌同人誌「外出」「西瓜」同人。「まひる野」編集委員。
渡邉季穂(わたなべ・きほ)
1965年神奈川県生まれ。ウカの代表取締役会長にしてトップネイリスト。サロンに立ちながら、雑誌や広告でも活動。美容の新しい価値観を提案するトータルビューティーカンパニーukaの代表としてサロン経営、ブランドの立ち上げから製品開発までディレクション業務を手がける。素材の美しさを引き出す“ケア”を重視した独自のネイル技術の普及に努める。
Photos:Wataru Hoshi Interview & Text:Mariko Kimbara
