みなさんこんにちは! ワインブロガーのヒマワインです。
ワインは世界中で造られていますが、そのなかでもっとも有名な産地といえば、やっぱりフランス・ボルドー地方ではないでしょうか。赤と紫の中間のような色を“ボルドー”と呼ぶことからもわかる通り、ワイン=ボルドーというイメージは強いです。
この記事では、このボルドーワインについて、ワインマーケットパーティ店長の沼田英之ソムリエに“世界一わかりやすく”解説してもらいましたよ! ワインの基本を知りたい方、ぜひ読んでくださいね。

【目次】
ボルドーワインの特徴とは?
ボルドーワインのタイプ1:スパークリングワイン(クレマン・ド・ボルドー)
ボルドーワインのタイプ2:白ワイン
ボルドーワインのタイプ3:自然派ワイン
ボルドーワインのタイプ4:格付けワイン
ボルドーワインのタイプ5:熟成したワイン
ボルドーワインのタイプ6:甘口ワイン
ボルドーワインの魅力に触れてみよう!
ボルドーワインの特徴とは?
ヒマワイン(以下、ヒマ)「さて今回は『ボルドーワイン』がテーマです」
沼田店長(以下、沼田)「いいですね! ボルドーは世界中のワインがベンチマークとしている産地。とくに『濃い赤ワイン』の代名詞となっています」
ヒマ「シャトー・ナントカ、みたいな名前のワインですよね」
沼田「シャトーはフランス語で『城』という意味ですが、シャトーと名のつく生産者は、実際にお城というか館というかを持っているんです。国がシャトー認定みたいなことをするんですね。そして、そのシャトーのなかでも格付けがあるのも特徴です」
ヒマ「『5大シャトー』と呼ばれる5つの一級シャトーを筆頭とした、5級までの全61シャトーですね」
沼田「ですね。この記事では『格付けがある』ということだけ覚えておいてください。そのほかの特徴もまとめておきましょう。こんな感じです」
【ボルドーワインの特徴】
・「格付け」がある
・生産量が多い
・古いヴィンテージ(生産年)を探しやすい
・実は白やスパークリング、甘口もある

ヒマ「うーん、たしかに」
沼田「生産量が極めて多いことで、古いヴィンテージのものも探しやすいのは大きなメリット。たとえば結婚記念日のワイン、お子さんの生まれ年のワイン、会社を作ったとか、退職したとか、そういう記念の年のワインがすごく探しやすいです」
ヒマ「プレゼントに選びやすいですね、それは」
沼田「さらに、生産量が多いことで価格も意外と安い。少し背伸びして2,000円~3000円台くらい出せば、おいしいものが選べます。そして、ボルドーワインだけでフルコースにワインを合わせられるくらい、実は赤以外のワインも充実しています」
ヒマ「白ワインにスパークリングワイン、甘口ワインに至るまで、すべてが揃っているんですよね、実は」
沼田「そうなんですよ。実際にワインを飲みながら、解説していきましょう」
ボルドーワインのタイプ1:スパークリングワイン(クレマン・ド・ボルドー)

ヒマ「まずはロゼのスパークリングワインですね」
沼田「はい。ボルドーのスパークリングワインは『クレマン・ド・ボルドー』と呼ばれますが、そのロゼタイプですね」
ヒマ「うーん、いきなりおいしいですね、これ。ボルドーのスパークリングはちょっと意外かもしれないけれど、さくらんぼみたいな果実味と、アセロラのような酸味があって、暑い日に涼しい木陰で飲みたくなるような味わいです」
沼田「ボルドーは暖かい産地なので、シャンパンなどフランスの北部で造られるスパークリングワインと比べると、そこまで酸味が強くないんです。だからこそ飲みやすかったりもするんですよね」
ヒマ「たしかに! 中華料理やエスニック料理とかと合わせたらおいしいだろうな~」
沼田「カリッと揚げた小魚にピーナッツ入りの甘酢ソースをジュワッとかけたものと合わせたら最高でしょうね。ともあれ、『ボルドーは赤だけじゃない』ってことを知ってもらえたら嬉しいですね」
ボルドーワインのタイプ2:白ワイン

ヒマ「続いては白ワイン『ボルドー・ブラン(ブラン=フランス語で『白』の意)』なんて言ったりもしますね」
沼田「代表的な品種は『セミヨン』と『ソーヴィニヨン・ブラン』の2種類。どちらか片方ではなくて、両方をブレンドするのが一般的です。どちらも爽やかな品種ですが、それを穏やかな感じに仕上げるのがボルドーの白の特徴です」
ヒマ「このワインも、セミヨンが60%、ソーヴィニヨン・ブランが40%ですね。そして、2018年ヴィンテージなので少し熟成したワイン」
沼田「それでいて2,000円台で買えるのもボルドーらしさと言えるかもしれません。このワインも青リンゴのような香りがありながら、酸がタイトすぎず、まろやかさもあっておいしいですよ」
ヒマ「たしかに! パリのビストロで『白ワインください』って言ったらカラフェに入ったこれが出てきそうな味わいというか、すごく食事に合いそうな味です」
沼田「華やかすぎず、香りが強すぎない、静かな感じがしますよね。ボルドーは海沿いの土地ですから、実は白はシーフードにピッタリなんですよ。レモンを絞った生牡蠣や、カルパッチョにもいいですね」
ヒマ「いやー、想像するだけでお腹が空いてきます!」
ボルドーワインのタイプ3:自然派ワイン

沼田「続いてはボルドーの新たな潮流を見ていきましょう。女性醸造家が造る、自然派のボルドーワインです」
ヒマ「ボルドーといえば伝統的な造りをする生産者が多い土地の印象ですが、最近は自然派の造り手も増えていると聞きますね。このワインも少し濁りが見えます」
沼田「オーガニック栽培したブドウを使い、酸化防止剤もできるだけ入れないといったアプローチですね。酸化防止剤は入れないからいいってわけでは必ずしもありませんが、使いすぎていたものを減らすというイメージですね」
ヒマ「そしてこれ、果実味がしっかりあっておいしいですね! 自然派というとアルコール度数低めだったり、やや薄めのワインが多い印象ですが、これはガッシリと濃いです」
沼田「最近よくお客様にも勧めるワインなんです。ボルドーを飲んでみたい、かつ自然派ワインを飲んでみたい、という方にはピッタリです」
ヒマ「ラベルもおしゃれだし、これはいいワイン。ボルドーの自然派っていう選択肢は覚えておきたいですね」
ボルドーワインのタイプ4:格付けワイン

ヒマ「お次はすごいの来ましたね、冒頭で話題に出た『格付けワイン』」
沼田「シャトー・ブラーヌ・カントナック、ボルドーの格付け2級です。ヴィンテージは2010」
ヒマ「飲ませていただきましたが、これはちょっと問答無用で素晴らしいですね。限りなく柔らかくて、限りなく深みがあり、うっとりするような味わいです。いやーおいしすぎる。この連載をやっててよかった」
沼田「ボルドーのなかにメドックという地区があり、そこにあるマルゴー村というところで造られるワインです。マルゴー村には、シャトー・マルゴーという一級シャトーもあるので、名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか」
ヒマ「ちょっと古い話ですけど、小説や映画で話題になった『失楽園』に登場するワインですね、シャトー・マルゴー」
沼田「ですね。マルゴー村は、最近ではあまり正しい言い方とはいえないかもしれませんが、古来『女性的』と評されていて、香水のような香りがするのが特徴なんです」
ヒマ「おっしゃる通り、香りが素晴らしすぎますね。ただ、さすがは格付け2級、お値段もそれなりにしますね」

沼田「ですね。ただ、ボルドーに興味を持ったら……というよりも、ワインに興味を持たれたならば、ボルドーの格付けは一度は飲んでいただきたい。格付けシャトーは、『セカンドワイン』『サードワイン』を出していることも多いので、それを探すのもおすすめです」
ヒマ「セカンド、サードだからって品質が低いとは一概に言えませんからね」
沼田「その通りです。少し樹齢の若い区画のものだったり、全部を樽に移したあとで、長期熟成に向かないと判断された樽だけを瓶詰めしたいといった具合で、熟成させずに飲むならむしろおいしいくらいですよ」
ヒマ「たとえば2級ともなるとセカンドでも高いですけど、4級、5級のセカンドだとグッと手に取りやすいものがありますから」
ボルドーワインのタイプ5:熟成したワイン

沼田「赤ワインの最後は、ボルドーならではの熟成の魅力をお伝えしたいので、シャトー・ネナンの2005年ヴィンテージをご用意しました」
ヒマ「これは『メルロー』という品種が主体なんですね」
沼田「そうですね、ボルドーでは『カベルネ・ソーヴィニヨン』と『メルロー』が赤ワインの二大品種ですが、これはメルローが主体。メルローは、それを入り口にワインの魅力にハマる人が多くいるくらい、柔らかくて果実味を感じられる素晴らしい品種なんです」
ヒマ「前のシャトー・ブラーヌ・カントナックがカベルネ・ソーヴィニヨン主体、こちらのシャトー・ネナンがメルロー主体。この品種の違いを楽しめるのもボルドーワインの良さですね」
沼田「品種の違い、熟成の長さ、ヴィンテージによる違い……ボルドーを飲むだけで、ワインの楽しさを十分に味わうことができますよ」
ヒマ「そしてこのワインがまたすごい。香りが良くて、20年熟成だけに角が丸くて素晴らしく優美です。おいしいなあ」
沼田「肉にプラムなどの果物を使ったソースを合わせた料理に合いそうですね。鴨のオレンジソースなんかにもピッタリだと思います」
ヒマ「2005年生まれのお子さんがいる方なら、お誕生日などに奮発してこのワインを一緒に飲んだら、一生の思い出になりそうですよね」
沼田「家族で飲んで、あなたが生まれた年はこんな年だったんだよ、なんて話をする。ワインが演出できる最高の時間のひとつではないでしょうか」
ボルドーワインのタイプ6:甘口ワイン

ヒマ「いよいよ最後の1本。世界最高の甘口ワインとも言われる『シャトー・ディケム』ですね」
沼田「はい。長期熟成が可能なボルドーワインにあって、超・長期熟成可能で、100年は持つと言われるワイン。1本のぶどうの樹から1杯分しかとれないというほど、贅沢な造りをしています」
ヒマ「味わいもすごい。異様なまでの雑味のなさというか、自然界に存在する植物を発酵させた液体がなんでこんなにクリアになるんだっていう、溶かした黄金のようななめらかさです」
沼田「トロピカルフルーツやマンゴー、マンゴーといっても『とても良いマンゴー』の風味、はちみつのような甘さ……2019とまだ若いヴィンテージですが、すでに素晴らしいの一言ですね。同時にこれから何十年も熟成し、また違う表情を見せてくれるはずです」
ヒマ「ボルドーでは『ソーテルヌ地区』が甘口ワインの名産地。シャトー・ディケムはその『特別第一級』なわけですけど、なにがすごいって特別第一級に認定されているのはシャトー・ディケムだけ(笑)」
沼田「とはいえソーテルヌ地区の甘口ワインは、シャトー・ディケム以外にもおいしいものがたくさんあります。なかには2,000円台、3,000円台のものもありますから、ぜひワインショップで探してみてもらいたいですね」
ボルドーワインの魅力に触れてみよう!

ヒマ「いやー、今回はボルドーワインの魅力を堪能し尽くした感があります。生産量が多いボルドーワインは安価でも高品質だし、高いものは値段相応においしい。そして、自然派ボルドーの味わいもとても印象的でした」
沼田「ワインマニアの間では格付けシャトーとか、高級ワインの話題が出がちな産地ですが、こうして多様性だったり、アベレージの高さに着目してみるのも面白いですよね」
ヒマ「はい、個人的にももっといろいろなタイプのボルドーワインを飲みたいな! と改めて思いました。ボルドーワインの難点は、ラベルがわかりにくいところ。シャトー・ナントカとかフランス語で書かれてもわかんない(笑)。なので、沼田さんのようなソムリエや、ショップの店員さんに聞くのがいいでしょうね」
沼田「はい。予算はいくらか、赤か白か、辛口か、甘口かなど、なんとなくの方向性を教えてもらえれば、きっとおいしいボルドーワインをご紹介できると思います。知れば知るほど楽しい産地でもあるので、コンビニで買うのもアリですが、機会があればぜひ専門店にも足を運んでみてくださいね」
ワインマーケット パーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00〜20:00
TEL/03-5424-2580
winemart.jp
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