オアシスでミシュランシェフの味も堪能。ドバイの1泊2日砂漠ツアーを体験 | Numero TOKYO
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オアシスでミシュランシェフの味も堪能。ドバイの1泊2日砂漠ツアーを体験

高層ビルが立ち並ぶ、アラブ首長国連邦(以下、UAE)の大都会ドバイ。中心部から車で1時間ほど走ると砂漠が広がるため、ドバイの旅のオプションとして砂漠ツアー、いわゆるデザートサファリを検討する人も多いだろう。アクセスが良いため日帰りツアーでサクッと砂漠を楽しむこともできるが、時間があれば砂漠でアラビアンナイトを過ごし、熱気球に乗って美しいサンライズを拝むのもおすすめだ。今回はそんな1泊2日のデザートサファリを体験してきたので、時系列で紹介していきたい。

【1日目15:30】ドバイ市内のホテルピックアップ→砂漠へ移動し車を乗り換える

今回私が利用したのが「Platinum Heritage(プラチナム・ヘリテージ)」のデザートサファリ。日帰りの場合も、宿泊ありの場合もドバイ市内のホテルまで車で14:00~16:30(季節により異なる)ごろにピックアップに来てくれる。

1時間半ほど車に揺られ砂漠の中継地点に着いたら、大きな荷物は車に置いたまま下車。ミネラルウォーター入りのボトルを受け取り、好きな色のスカーフを頭に巻いてもらい、デザートサファリの準備を整える。

【1日目16:30】ランドローバーでエキサイティングな砂漠ドライブ

ここからヴィンテージのランドローバーに乗り換えて、約60分間の砂漠のドライブがスタート。今回ツアーのガイド兼ドライバーを務めてくれたのは、南アフリカ出身の男性。ネイチャーガイドの仕事がしたいと数年前にドバイへ移住し、この仕事をしているという。

デザートドライブは、参加者のニーズに応じてジェットコースターのようなエキサイティングな運転、酔いづらい穏やかな運転など調整してくれる。オープンエアのランドローバーに乗り込み、360度大パノラマで広がる砂漠地帯を、適度な疾走感で走行していると、ハリウッドスターにでもなったような気分だ。最後は開けた砂漠地帯で停車し、記念撮影タイムもある。

今回エクストリームな運転ではなかったものの、遮るものがなく乾燥した砂漠地帯でのドライブだったので、顔中に砂が飛んできた。アラブに住むイスラム教徒の人々が、頭にヒジャブを巻くのは日差しから皮膚を守るだけでなく、砂からも守る意味があったのだなと実感するドライブであった。

【1日目17:30】アラビックコーヒーとデーツ片手に、サンセットとファルコンショーを鑑賞

砂漠ドライブが終わったら、ファルコンショーが行われる開けた場所に移動する。まずは、温かいアラビックコーヒーやチャイ、デーツでアラブ流のおもてなし。ローテブルとクッションが配置されたシートに座り、サンセットをバックにファルコンショーを楽しんだ。

アラブの遊牧民族であるベドウィンの間では、昔から食料の確保のために、鷹狩りを行ってきた歴史がある。UAEの国鳥もファルコンであり、鷹狩りは王族や貴族の嗜みでもあるそうだ。ちなみにアラブ諸国のエアラインでは、ファルコンの搭乗も認められているとか。それほどアラブの人々の生活に根差した鳥であるという話を聞きながら、鷹狩りの様子を見学した。

【1日目18:30】べドウィンのキャンプサイトでディナー&アラビアンナイトを満喫

ファルコンショーの後は車で移動し、べドウィンの暮らしを再現したキャンプサイトでディナータイムだ。ここでもまずアラビックコーヒーとデーツでおもてなしされる。

ランプに照らされたべドウィンのキャンプサイトには、食事をいただくテーブル席や、カーペットで寛げるシート席のほか、ヘナタトゥーが体験できるエリアなどが用意されている。

キャンプサイトには調理場もあり、オープンキッチンスタイルでアラブ料理の調理風景を眺められるのも興味深い。

ディナーはアラブの伝統料理をメインとした4コースだ。ミントのサラダやザクロ入りのナスのタルタル、フムスなどの前菜や、焼きたてのパンなどがテーブルサーブされた。ドリンクにはチャイやジュースのほか、ラクダのミルクもあり初挑戦。味わいは、ほんのりラム肉のような香りと味がするミルクという印象だ。

前菜やドリンクを楽しんでいると、アラブ伝統音楽のライブ演奏がスタート。ダンスショーも行われ、一緒になって踊りを楽しむ人々の姿も見られた。夜の砂漠で、料理を囲み、歌と踊りで人々が宴を楽しむ。伝統的な文化体験のため、お酒はない(イスラム教徒中心のドバイでは、ホテルや一部のレストラン以外酒類提供がないが、モールでアルコール販売もスタートするなど状況が変化している)が、リアルなアラビアンナイトに酔いしれてしまった。

ショーがひと段落すると、メイン料理やデザートがビュッフェ形式で登場。カレーやビリヤニのようなスパイスが利いた料理に加え、ラクダのシチューなど、アラブならではの出来立て料理が揃う。前菜からメインまでほぼ手作りしているというのもあるが、どれもとてもおいしくて、長い歴史によって育まれてきたアラブ料理のレベルの高さを感じた。

食後はキャンプサイト脇で行われていた、5~10分ほどのラクダ乗りも体験。ラクダは意外にも足が長く、乗るときと降りるときが少々エキサイティングで、乗っている間も適度に揺れるのが面白かった。

【1日目22:00】石造りの客室のベッドで就寝

宿泊をする場合は、キャンプサイト内にある石造りの部屋に泊まれる。室内にはベッドが用意されているが、トイレやシャワールームはないので、キャンプサイト内にある共用トイレやシャワーを使う。室内に電気も通っているが、夜の10時にはキャンプサイトが消灯、コンセントの電気も使えなくなるので、充電などはそれまでに済ませておくといいだろう。

【2日目5:00】起床、熱気球ツアーへ移動。ドローンショーでおもてなし

朝は5時起きで準備を済ませ、キャンプサイトを出発。提携するHero Balloon Flights(ヒーロー・バルーン・フライツ)による熱気球ツアー「シグネチャー・エクスペリエンス」へ向かった。ちょうど夜明け前のタイミングだったので、車で通り過ぎたモスクからイスラム教の礼拝時間の呼びかけである「アザーン」が聞こえてきた。1日の始まりを告げるアザーンに「これがアラブの夜明けなのだな」と異国情緒をかき立てられる。

集合場所では、アラビックコーヒーとデーツでもてなされた。その後夜明け前の暗がりで何が行われるのかと思ったら、熱気球ツアーにちなんだドローンショーがスタート。ラクダの形に光ったり、熱気球の形になったり、文字を描いたりと、ドローンが配列を変えて空を彩った。サプライジングなおもてなしで、熱気球遊覧への気持ちもさらに高まる。

【2日目6:00】熱気球で砂漠のサンライズを拝み、大自然のパワーをもらう

今回搭乗したのは16人乗りの熱気球。搭乗前には熟練のパイロットにより、熱気球の乗り方、セーフティベルトのつけ方、着陸時の安全な体勢についてなどのレクチャーを受けた。初めての熱気球でまず驚いたのは搭乗の方法。バルーン部分に火を送りながら浮きかけている熱気球を、バスケット部分をスタッフがロープで抑えている状況の中、スピーディーに乗り込んでいく。機動性の高さが重要なので、熱気球に乗る場合は動きやすいパンツやスニーカースタイルがベストだ。

全員が乗り込んだら、パイロットが気球にバーナーでゴーゴーと火を送り続け、地上4,000フィート(約1.2km)まで浮上していく。空へと上がっていくと、ちょうど地平線の向こうから太陽が上がってきた。真っ暗闇の砂漠から青白く空色が変化し、太陽が顔を覗かせると茜色とブルーのグラデーションが美しい世界へと変わっていく。

遊覧していると、私たち以外にもサンライズのタイミングでたくさんの熱気球が砂漠から飛び立っていく様子も見えた。

遊覧では砂漠の集落の上も飛び、空の上からドバイの大地のさまざまな風景が見られる。

途中、野生のアラビアンオリックスやガゼルの群れにも出会った。着陸の際は3回ほどの衝撃がある。パイロットの指示に従い、教わった体勢で着陸に挑むのだが、少々エキサイティング。最終的には背中が地面に沿う体勢となり、熱気球のバスケットから降りる。

ちなみに熱気球にはファルコンも乗り込んでおり、空の上でもファルコンショーを披露してくれた。

【2日目7:30】砂漠のオアシスでミシュランスターシェフの朝食を堪能

熱気球での遊覧を終えたら、車で移動し朝食へ。会場となるロイヤルデザートリトリートは、砂漠の湖畔(といっても人工)に設けられたまさにオアシスで、蜃気楼を見ているかのような景色が広がっていた。

しかもエントランスではウェルカムスパークリング(ノンアルコール)のおもてなし。ラグジュアリーなサービスと設えに、気分が高揚した。

料理を手掛けているのは、ミシュランスターシェフ。朝食はパッションフルーツとターメリックのウェルカムドリンク、フレッシュなフルーツにチーズのアソート、焼きたてパンの盛り合わせ、地元産のハチミツやジャムに加え、Air、Earth、Fire、Waterの要素からインスピレーションを得た選べるメインディッシュと卵料理、コーヒーや紅茶が付く。

今回私が選んだのは砂漠のオアシスからインスピレーションを得た、Waterがコンセプトのメイン。カニとロブスターを細かく刻んで合わせ、マンゴーやクリーム、グレープフルーツ、キャビアをトッピングした一品だ。物資が限られる砂漠にいながら、高級食材を使った、繊細な盛りつけの作り立ての料理をいただくという、この上ない贅沢なモーニングに感嘆してしまう。

朝食タイムにも、ラクダ乗り体験が行われていた。夜のラクダ乗りもいいが、明るい時間のライドもまた違った砂漠の景色が見渡せて良さそうだ。

【2日目9:00】砂漠を出発し、ドバイ市内のホテルへ

ゆったりと優雅な朝食を楽しんだら、車でドバイ市内へ送迎してもらえる。最初から最後まで、なんともエクスクルーシブな体験であった。

ドバイを訪れるならば、やはり手つかずのデザートサファリや、べドウィンの暮らしを体験したいところ。予算や滞在期間に応じてさまざまなデザートサファリツアーが用意されているので、ドバイ旅の行程にぜひ組み込んでみてはいかがだろうか。

「Platinum Heritage Dubai」Overnight Desert Safari+熱気球フライト付き
料金/大人2,940AED~、子供(5−11歳)2,245AED~
*熱気球フライトなしの場合、一人AED1,095〜、子供AED895〜。
URL/https://uae.platinum-heritage.com/heritage-safari

 

 

Photos & Text:Riho Nakamori

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