黒木華 × 藤間爽子インタビュー「どこか似ている、だから自然と仲良くなれた」 | Numero TOKYO
Culture / Feature

黒木華 × 藤間爽子インタビュー「どこか似ている、だから自然と仲良くなれた」

ヌメロ・トウキョウ 12月号ではギフトを大特集。ギフトとは贈る相手について想像をめぐらせること、贈り主のことを思い出すこと。3組の俳優に“ギフト”をテーマに話を聞くと、二人の関係性が見えてきた。第一弾は、2024年11月1日(金)から公開予定の映画『アイミタガイ』で、お互いに親友役を演じている黒木華と藤間爽子にインタビュー。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年12月号掲載

【藤間爽子】 ドレス ¥808,500/Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)
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──二人の出会いは?

藤間「偶然でした。下北沢のお店で別々に食事をしていたら、共通の友人がいたので、じゃあ一緒にということになって」

黒木「そうですね。みんなで一緒にワイワイという感じでした」

──初共演は2022年のドラマ『僕の姉ちゃん』で、11月公開の映画『アイミタガイ』が二回目ですよね。

藤間「華さんは俳優の大先輩なんですが、初めて会ったときも、不思議と以前からよく知っている人のような親しみを感じました」

黒木「私も初めてご一緒させていただく方は少し緊張してしまうんですが、爽ちゃんは昔からの友人のような感覚でした。芝居に対する向き合い方が似ているからなのかも。映画もドラマも好きだけど、舞台がすごく好きというところも」

──藤間さんは日本舞踊紫派藤間流の家元でもあるわけですが、黒木さんも日舞をしていたんですよね。

黒木「いやいや、私なんて少ししか習っていないので。爽ちゃんは佇まいが美しいんですよ。軽やかだけど中心に重心があって、日舞で得たものが芝居にも現れているんだと、いつも隣でうっとりしてました」

──『アイミタガイ』では、黒木さんが演じる梓と、藤間さん演じる叶海は親友同士という設定でした。

黒木「梓はウエディングプランナーでありながら、自分の結婚は積極的に考えられなくて。物事をネガティブに捉えてしまいがちなんです。そんな梓を中学の頃から叶海が引っ張ってくれた。二人の関係性の強さを感じました」

藤間「梓と叶海の性格は反対のようでいて、似ているんですよね。カメラマンの夢を追う叶海の背中を梓が押してくれたこともあって。だから、二人『アイミタガイ(相身互い)』ですよね。そういえば、この映画のために小さい頃の写真を提出したんですけど、ふと華さんの子どもの頃はどうだったんだろうとネットで検索したら、私たち、子どもの頃はすごく似ていたんですよ」

黒木「面白い!考えてみたら、友達になる人はどこか似ている人が多いかもしれない。だから自然と仲良くなったのかもしれないね」

芝居からもらった大切なもの

──もし二人がお互いにギフトを贈るとしたら何を選びますか。

黒木「爽ちゃんは夜の寝つきがいいほう?」

藤間「眠れないときもあるよ」

黒木「じゃあ、アイマスクを贈りますね。今、ハマってるの。温感と冷感も選べて光を完全に遮断するから、確実に睡眠の質が変わる気がする」

藤間「眠れるといえば、以前使っていたマットレスがイマイチで、最近、アスリート愛用の高性能マットレスに変えたんです。そしたらすごく良くて。おすすめしたい!」

黒木「あとで商品名だけ教えて」

──おすすめ健康グッズを紹介し合う感じになりましたね。これまでに感動したギフトは?

黒木「以前『るつぼ』という舞台に出演したとき、堤真一さんが、台本に登場するライラックの香りの香水をくださったんです。特別な日ではなかったけれど役作りになればと。贈り方も含めて、なんてスマートなんだと感動しました」

藤間「私は、日本舞踊の師匠が昔使っていた古い着物を流派の方が巾着やバッグにリメイクして贈ってくださったことがあって。師匠やリメイクしてくれた人の温もりを感じて、感動したプレゼントでした」

──贈り物には想いが込められますが、〝想い〟として受け取ったギフトで印象的だったものは?

黒木「2010年のNODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』で、野田秀樹さんと十八代目中村勘三郎さんの娘役を演じたんです。これは私が当時の事務所に所属するきっかけになった作品だったのですが、普段から親友同士のお二人の掛け合いを間近で見ることができた、あの時間は俳優として大切なものをいただいたと思っています。上質な大人の遊びといった感じで、噴き出すのをこらえるのに必死でした。先輩方からいただくものは、具体的な言葉でなかったとしてもとても大きいです」

藤間「私も芝居にまつわることです。芝居を始めたばかりの頃に参加したワークショップで、全てを見抜く先生に出会いました。私が抱えていたコンプレックスをズバズバ言い当てるんです。今でも私を奮い立たせてくれる強烈な一言でした」

リング ¥79,200/Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)
リング ¥79,200/Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)

──ギフトといえば「ギフテッド」という言葉もあります。二人にとって天から授けられた才能とは?

黒木「運の良さです。私はすごく運がいいと思います。人との出会いや、今こうして好きなことをやれているのも運が良かったから」

藤間「私も出会いの運には恵まれているかな。最近よく才能ってなんだろうと考えるんです。華さんに出会いの運があるのは、たぶん華さんご自身の努力で引き寄せているんだと思います。天から授けられたものというより、努力の賜物です」

黒木「だから、私たちの周りには素敵な人がたくさん集まるのかもね」

藤間「努力しているから(笑)」

黒木「でも、爽ちゃんは確実に日本舞踊の才能があるよね」

藤間「あれは続ける努力です。でもそう考えてみると、私たち、努力を続ける才能はあるかも」

黒木「確かにそれはある!それは胸を張って言えます」

『アイミタガイ』
ウエディングプランナーの梓(黒木華)は亡くなった親友の叶海(藤間爽子)に変わらずメッセージを送り続ける。同じ頃、叶海の両親はとある児童養護施設から娘宛てのカードを受け取っていた。思いがけない出会いが連鎖し、“相身互い”という助け合いの心を呼び起こしていく。

原作/中條てい
監督/草野翔吾
脚本/市井昌秀、佐々部清、草野翔吾
出演/黒木華、中村蒼、藤間爽子ほか
公式サイト/https://aimitagai.jp/

11/1(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

Photos:Takahiro Idenoshita Styling:Mayu Takahashi(Haru Kuroki), Lee Yasuka(Sawako Fujima) Hair & Makeup:Katsuhide Arai (Haru Kuroki), Shiho Sakamoto at Glassloft(Sawako Fujima) Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Mariko Kimbara, Miyu Kadota

Profile

黒木 華Haru Kuroki 1990年、大阪府生まれ。2010年、舞台『表に出ろいっ! 』でデビュー。14年、映画『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞を日本人最年少で受賞。代表作に映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16)ほか多数。現在放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』、公開中の映画『八犬伝』にも出演。
藤間 爽子Sawako Fujima 1994年、東京都生まれ。幼少時より祖母である初世家元藤間紫に師事し、7歳で歌舞伎座の初舞台を踏み、日本舞踊家に。2021年に三代目藤間紫を襲名。17年にNHK連続テレビ小説『ひよっこ』で俳優デビュー。現在公開中の映画『夏目アラタの結婚』、10月公開の映画『チャチャ』にも出演している。

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