愛からはじまる人と装いの展覧会 「LOVE ファッション—私を着がえるとき」展@京都国立近代美術館
Art / Feature

愛からはじまる人と装いの展覧会 「LOVE ファッション—私を着がえるとき」展@京都国立近代美術館

自由ゆえか宿命か、服なしでは生きていけない私たち。そこにあるのは尽きせぬ欲望——憧れ、自己愛、偏愛 etc.。これら心の働きで、人と装いの関係を深掘りしたらどうなるか。「LOVE」から始まるファッション展。その展望やいかに。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年10月号掲載)

出展予定の衣服およびアート作品より。コム デ ギャルソン(川久保玲)2020年春夏 撮影:来田猛 © 京都服飾文化研究財団
出展予定の衣服およびアート作品より。コム デ ギャルソン(川久保玲)2020年春夏 撮影:来田猛 © 京都服飾文化研究財団

人はなぜ服を着るのか——実に難しい問題だ。ファッションは人間固有の営みであり、心理や価値観と深く結び付いたものだから。ではその根源を、“愛”と定義するのはどうだろう。

横山奈美『LOVE』2018年 豊田市美術館蔵 © YOKOYAMA Nami, 2024
横山奈美『LOVE』2018年 豊田市美術館蔵 © YOKOYAMA Nami, 2024

恋愛に自己愛、愛欲に友愛、愛ゆえの葛藤に至るまで。社会的動物である人間はそれら愛に動かされ、服を着た己の姿を作り上げてきた。例えば、お気に入りの服を着たい、あの人のようになりたい、ありのままでいたい、我を忘れて華やぎたい……というように。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)1775 年(テキスタイル 1760 年代) 撮影:畠山崇 © 京都服飾文化研究財団
ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)1775 年(テキスタイル 1760 年代) 撮影:畠山崇 © 京都服飾文化研究財団

古くは王侯貴族の権威の象徵、時を経て人々を既成概念から解放し、美や自由の基準さえ塗り替えてきた装いの歴史。その流れをたどり、今を生きる人間の姿に光を当てる。さらには衣服とアートを対置して、愛の根源たる“私”の存在を問い直す。

ゴルチエ パリ バイ サカイ 2021年秋冬 撮影:守屋友樹 © 京都服飾文化研究財団
ゴルチエ パリ バイ サカイ 2021年秋冬 撮影:守屋友樹 © 京都服飾文化研究財団

ロエベ(ジョナサン・アンダーソン)2022年秋冬 撮影:来田猛 © 京都服飾文化研究財団
ロエベ(ジョナサン・アンダーソン)2022年秋冬 撮影:来田猛 © 京都服飾文化研究財団

AKI INOMATA『やどかりに「やど」をわたしてみる ‒Border‒』2010/2019年  京都国立近代美術館蔵 © AKI INOMATA
AKI INOMATA『やどかりに「やど」をわたしてみる ‒Border‒』2010/2019年 京都国立近代美術館蔵 © AKI INOMATA

京都服飾文化研究財団(KCI)の衣装コレクションを中心に、AKI INOMATA、ヴォルフガング・ティルマンス、シルヴィ・フルーリー、小谷元彦横山奈美ら、現代アーティストの作品で構成される展覧会。
情熱や欲望、葛藤に矛盾……「LOVE」とファッション、その秘密の花園があなたをそっと手招きする。

「LOVE ファッション—私を着がえるとき」
“着ること”の面白さや奥深さを再認識する展覧会。京都での開催を皮切りとして熊本、東京にも巡回予定。

会期/2024年9月13日(金)〜11月24日(日)
会場/京都国立近代美術館
住所/京都市左京区岡崎円勝寺町 岡崎公園内
TEL/075-761-4111
URL/www.kci.or.jp/love/
※最新情報はサイトを参照のこと。

Edit & Text : Keita Fukasawa

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