ナタリー・ポートマンに来日インタビュー。『ミス ディオール展覧会』の魅力、そしてディオールとの日々を語る | Numero TOKYO
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ナタリー・ポートマンに来日インタビュー。『ミス ディオール展覧会』の魅力、そしてディオールとの日々を語る

7月15日まで六本木ミュージアムで開催中の『ミス ディオール展覧会 ある女性の物語』。新ミス ディオール パルファンの誕生を記念して、世界中を巡ってきたエキシビションが東京でも好評だ。この展覧会のために来日した俳優のナタリー・ポートマンに、ヌメロ・トウキョウのビューティ・エディターが対面インタビュー。本展の魅力とともに、長年にわたってアンバサダーを務めてきたディオールとの日々を話してくれた。

──アンバサダーを務めて13年。今回の『ミス ディオール展覧会』では、ナタリーさんがCMで着用された貴重なオートクチュールの数々も展示されていて圧巻でした。

「展覧会をすみずみまで見て回りましたが、すべての空間が信じられないほどアーティスティックで感動しました。私がCMで着たドレスも飾られていますが、それぞれのドレスに合わせて絵画やオブジェなどのアート作品が展示されていて、その対比も見ていて楽しかったです。(高木由利子による)ドレスの写真を鏡にプリントした作品や、(江上越による)女性たちが自由に踊っているようにもみえる抽象的なペインティングなど、女性アーティストの方々がミス ディオールを自由に表現された作品にはとても刺激を受けました」

──最後の部屋には、歴代のミス ディオールのCMが流れる部屋もありましたね。

「ディオールとの歴史が今の私を作ってくれていることを改めて感じました。いつもは自分が出演する作品を見るのはあまり得意ではないのですが(笑)。それに、70年代や80年代の貴重なCMも見られて貴重な体験でした」

──誕生から70年以上経てもなお、世界中で愛されるミス ディオールの魅力はどこにあると思いますか? 漠然とした…抽象的な質問ですが。

「抽象的な質問は大好き(笑)! そうですね、それは『なぜクリスチャン・ディオールがこのフレグランスを作ったのか』、その本質につながっていると思います。(1947年にミス ディオールが誕生した大戦後のように)辛い時代や環境に直面した中でも輝きを与えてくれる美しさへのオマージュであり、世界が抱える闇に対する“アンチドート(解毒剤)”なのかもしれません。そして、花々の美しさを祝福し、勇気ある女性たちを讃えるというコンセプトもミス ディオールは内包しています。現在も世界は依然として多くの闇や問題を抱えていますが、ミス ディオールはそこにひと筋の光を照らすような“本物”であり、“本質的”な存在なのではないでしょうか」

ジャスミンの豊かな表情を引き出したグルマンなフローラルにウッドが調和。シプレーの存在感が輝く、新たな時代を感じさせる香りだ。ミス ディオール パルファン 35ml ¥13,200・50ml ¥18,040・80ml¥23,100(80mlのみ店舗限定品)/Dior(パルファン・クリスチャン・ディオール)
ジャスミンの豊かな表情を引き出したグルマンなフローラルにウッドが調和。シプレーの存在感が輝く、新たな時代を感じさせる香りだ。ミス ディオール パルファン 35ml ¥13,200・50ml ¥18,040・80ml¥23,100(80mlのみ店舗限定品)/Dior(パルファン・クリスチャン・ディオール)

──ファッションや香りというのは大変な時代でも私たちに夢や希望をくれるものですよね。日本でも少しずつですが女性の自由は広がってきていると感じます。

「何より、日本で女性が置かれている状況が改善されてきていると聞いて喜ばしく思います。一方で、リプロダクティブ・ライツが失われるなど女性の自由や権利が制限されようとしている地域もあり、一度獲得した自由や権利が剥奪されるなどということは、非常に残念です。今、私たちは本当に厳しい時期を迎えていると思います。女性が直面している問題は山積みで、戦っていくのは本当に大変なことです。そして、すべての問題の中で一番最初にくるのは“地球環境”です。地球がなければ、すべてがなくなってしまうのですから。私たちは日々多くの問題に直面していますが、ファッションや香りは私たちに光と勇気をくれるものだと、常日頃から感じています」

──最後に。久しぶりの来日となりましたが、日本という国をどう感じていますか?

「日本はいつ訪れても大好きな国です。12歳で映画『レオン』のキャンペーンで訪れて以来、高校時代、そして仕事やプライベートで数えきれないほど訪れています。日本の文化が大事にしている、細部へのこだわりや、美しさを愛する姿勢にはいつも感動します。美しさは、正しい行動や物事にこそ存在するものです。お金を儲けることや物を増やすことばかりの、利益優先の考え方とは正反対だと感じます。今まで日本各地を訪れましたが、今いちばん行きたいのは直島。アートピースの数々を見に行きたいですね」


「ミス ディオール展覧会 ある女性の物語」
新 ミス ディオール パルファンの誕生を記念して、ディオールが受け継ぐクチュール作品やアーカイブ コレクションに加え、井田幸昌やサビーヌ・マルセリス、荒神明香、江上越ら、国際的に活躍するアーティストたちのアート作品を展示する。会場内のカフェやブティックに加え、会期に合わせてディオール公式オンラインブティック内に「バーチャル ミュージアム ブティック」も展開。

なお、予約・入場・会場内での製品購入には、スマートフォンからディオールビューティー公式LINEアカウントへのお友達追加とLINEコネクトが必要。詳細は公式サイトを参照のこと。

会期/2024年6月16日(日)〜7月15日(月・祝)
会場/六本木ミュージアム 東京都港区六本木5-6-20
時間/10:00〜21:00 ※最終入場20:00
料金/無料
URL/https://www.dior.com/ja_jp/beauty/miss-dior-exhibition.html



Photos : Yuto Kudo(Natalie Portman), Daici Ano for Parfums Christian Dior Interview & Text : Naho Sasaki

Profile

佐々木奈歩Naho Sasaki コントリビューティング・ビューティ・エディター。アメリカ・サンノゼ育ち、慶応義塾大学法学部卒。『VOGUE JAPAN』『FIGARO japon』などの美容エディターを経て、2009年フリーランスに。モードなビューティ記事づくりを得意とし、ファッション誌や美容誌で執筆・編集をするほか、広告制作やビジュアルディレクションなどでも活躍中。80sミュージックを聴きながらコスメ部屋にこもるのが幸せ、という“オタク“気質。二児の母。

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