【マカオ旅・前編】ヴェルサーチェにカールも! ファッションブランドの新ホテルで没入体験
これまでカジノをイメージする人も多かったマカオが、新しい魅力を携え、生まれ変わりつつある。そこで、西洋と東洋が融合した極上体験が叶うマカオ旅を2回にわたりレポート! 前編は昨年から続けてオープンし話題を呼んでいる、ヴェルサーチェとカール・ラガーフェルド、偉大なデザイナーによるラグジュアリーホテルを案内する。
マカオが誇る世界遺産と美食に、さらなる魅力が!
現在マカオは中国の特別行政区であり、今年はポルトガル領からの返還25周年を迎える。その歴史を今に伝える街並み「マカオ歴史市街地区」は世界遺産に登録。2017年には独特の食文化が「ユネスコ食文化創造都市」にも認定されている。
世界遺産と美食が旅の大きなコンテンツであるマカオで、さらにユニークで贅沢な体験が可能に! それがファッションデザイナーのセンスに没入できるラグジュアリーホテルの誕生だ。
両ホテルは創業60年のSJMリゾーツが運営する、コタイ地区の「グランド・リスボア・パレス・リゾート・マカオ」内。3つのホテルが、広大な敷地の中央にある1,048㎡もの美しいイタリア式庭園「ジャルディムセグレト」を囲むように建てられている。「パラッツォ・ヴェルサーチェ マカオ」は今年3月24日、「ザ・カール・ラガーフェルド・マカオ」は先駆けて2023年6月に開業。
日本からマカオへはどうアクセスする?
マカオへは成田からマカオ航空の直行便で4時間ほどで、2024年5月現在、週6便が運航。両ホテルはマカオ国際空港から車で5分の距離にあり、抜群のアクセス。ほかに香港とマカオを結ぶ世界最長の港珠澳大橋の開通により、羽田から香港経由でも入国可能。8月31日までこの橋を利用するダイレクトバスの片道料金が、フリーになるキャンペーンも実施されている。
Palazzo Versace Macau
パラッツォ・ヴェルサーチェ マカオ
ヴェルサーチェらしい唯一無二の空間
「パラッツォ・ヴェルサーチェ」は世界初のファッションブランドによるホテルとして知られ、現在はドバイと、今回アジアで初めてオープンしたマカオのみ。オープニングパーティにはドナテラ・ヴェルサーチェ自身もマカオ入り。アジアンセレブも多数招かれ、グラミー受賞のR&Bシンガー、ジョン・レジェンドのライブで華やかに祝した。
最大の魅力はヴェルサーチェの世界観を余すところなく堪能できる、ブランドのコードに満ちた空間。まずメドゥーサをあしらった宮殿のような外観からいきなり非日常へ。ロビーに足を踏み入れると、ヴェルサーチェのミラノの邸宅兼アトリエをモチーフにした、手作業による8万個ものエナメルのモザイクタイルが出迎えてくれる。館内には中国では不老長寿の象徴とされる菊をモチーフにした装飾もあり、落ち着いた華やかさを演出。
12階建てタワーの客室とスイートは全271室。パブリックスペースや客室はヴェルサーチェ・ホームのテキスタイルをはじめ、家具やリネンなど、すべてヴェルサーチェによるデザイン。部屋ごとにデザインは異なるが、イタリアンエレガンスを感じさせる鮮やかな色彩に心躍る。
そしてモザイク装飾を施したバス&シャワーブースが、癒しの時間を特別なものに。客室の入口からバスルームの蛇口、アメニティまで、ヴェルサーチェのアイコン、メドゥーサが各所にあしらわれ、没入感を高めてくれる。
朝食はインルームダイニングのみなので、庭園を眺めつつ、ヴェルサーチェの贅沢空間で優雅に。コンチネンタル、ウェルネス、チャイニーズ以外に、マカオ名物、バター入りパイナップルバンやターキーハム入りマカロニスープなどをセットしたマカネーゼ ブレックファーストも提供している。
イタリア料理界の巨匠の美食を堪能
ホテル内にはレストランが2店舗。ミシュラン三つ星獲得経験もある、アマルフィ海岸エリアの名店「ドン アルフォンソ1890」がメインダイニング。ファームトゥテーブルのガストロノミーとして、90年代からイタリア料理界を牽引してきたマエストロの味を継ぐ美食を、マカオで堪能することができる。
ピエモンテ料理、仔牛とマグロのタルタル ツナソース、イタリア流魚介のトマトと赤ワインのスープ=カチュッコのソースでいただくショートパスタ、パッケリなど、本場さながらの味わい。選んだ豆を目の前で挽いて、豆に合わせた抽出方法で提供してくれる食後のコーヒーワゴンも嬉しいサービスだ。
もう一店舗の「ラ・スカラ・デル・パラッツォ」は、チアフルなカラーリングで遊び心あふれるインテリア。アフタヌーンティーやアペリティーヴォなど軽い食事に最適。
その場でクリームをセットしてくれる、出来立てのカンノーロを味わうこともできる。もちろんテーブルウェアはヴェルサーチェブランド。今年30周年を迎える、1879年創業のドイツ磁器の老舗、ローゼンタールとのコラボレーションによるもので、リゾート内のショップで購入も可能。
ハマムを取り入れたウェルネスなスパ体験
こちらのスパのシグネチャーボディトリートメント「メディテラニアン ハマム リチュアル」は、トルコ風ハマムのヴェルサーチェ流。ジャグジーやサウナでリラックスした後、スチームルームで地中海のシーソルトやオリーブの種によりスクラブ後、オーガニックのハーブオイルマッサージへ。地中海式のホリスティックな先進コスメ、FRAME COSMETICを使用している。
またスパには屋内外のプールを併設。全長27mにも及ぶプールにも、ドラゴンとメドゥーサが描かれたモザイクが。こちらは4代にわたり職人技を継承するミラノの老舗、ファンティーニ・モザイチが手掛けている。奥にはコージーなバーエリアもあり、リラックスして過ごすことができる。
The Karl Lagerfeld Macau
ザ・カール・ラガーフェルド・マカオ
モード界のレジェンドが残した財産
シャネル、フェンディなど名だたるラグジュアリーブランドでクリエイティブディレクターを務め、2019年に85歳で逝去したモード界の皇帝、カール・ラガーフェルド。圧倒的なクリエイティビティは、今なお記憶に残るものばかり。彼は生前、5年以上にわたり、SJMリゾーツとホテル計画を進めていたのだという。そんなレジェンドが世界で初めて、そして唯一、自ら建築要素からインテリアデザインまでエスプリを注いだのが「ザ・カール・ラガーフェルド・マカオ」だ。
こちらも12階建てタワーの客室とスイートは全271室でスパやプールも完備。中国の美学に西洋のアールデコ様式を融合したシノワズリなムードで、黒とゴールドを基調にしたコンテンポラリーなデザイン。カール・カラーフェルドの横顔をシャドーアイコンが、各所に印象的に使われている。アシンメトリーなチェーンのシャンデリアや、ゴールドバスルームなど、随所に彼らしい大胆でロックなエッセンスが。
窓に記された、彼のサインと名言“Embrace the present and invent the future(現在を受け入れて、未来を創造する)”からも類まれな才能の一端が伝わる。
ロビーフロアには、彼のパリのアトリエのライブラリーをイメージした「ザ ブック ラウンジ」を展開。カール秘蔵のヴィジュアルブックが4000冊も並べられているなかで、感性を刺激されながらワインやお茶をいただける。本を横にして並べたディスプレイも彼が好んだ方法なのだという。
イノベイティブな一皿にも創造な魂が息づいて
こちらのメインダイニングは、マカオの歴史を現代に昇華したポルトガルのガストロノミー「メサ バイ ホセアヴィレス」。スペインの「エル・ブジ」で研鑽を積み、リスボンの「ベルカント」ではポルトガル初のミシュランスターを獲得した腕前を持つ、ジョゼ・アヴィレスが手がける。パリのカールの自宅天窓をイメージし、デジタルな星空を眺められる幻想的な空間で、素材を生かしたイノベイティブな料理が提供される。
リスボンの名所をイメージしたカクテルや、スモークしたポルトガルソーセージ「ファリネイラ」と金の卵黄の前菜、「ペリペリ」チキンなど、カールのクリエイティブなDNAを食事でも感じることができる。
旅は思いがけない発見が醍醐味。ショートトリップも可能なマカオで、ファッションデザイナーの世界観への没入体験。クリエイティビティを喚起する、新しいマカオの旅のカタチになりそうだ。後編ではマカオの街歩きなど、また違った角度で魅力をお届け。お楽しみに!
パラッツォ・ヴェルサーチェ マカオ
Palazzo Versace Macau
ザ・カール・ラガーフェルド・マカオ
The Karl Lagerfeld Macau
Edit & Text:Hiroko Koizumi