ソムリエ店長がそっと教える「ロゼワイン」のちょっとマニアックな基本
こんにちは、ワインブロガーのヒマワインです! さてみなさんはロゼワインは飲みますか? 正直あまり飲まないかな〜という方も多いかもしれません。
ただ、実はロゼはアメリカやヨーロッパでは大人気! 「日本でだけ流行っていない」なんて言われ方もするんです。
ピンクの液体はテーブルにあるだけで絵になりますよね。そしてもちろん、見た目だけじゃなく味もおいしい。
というわけで、知れば知るほど魅力的なロゼワインについて、都内最大級のワインショップ、ワインマーケット・パーティ店長でソムリエの沼田英之さんに聞いてきましたので、以下私と沼田店長の一問一答形式でお届けします!
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【目次】
1. ロゼワインの魅力とは
2. 【基本のロゼ】ドメーヌ・バール「マルサネ・ロゼ 2021」
3. 【基本のロゼ】ベリンジャー「カリフォルニア ホワイト・ジンファンデル」
4. 【すっぱいロゼ】ラングマン「シルヒャー ホッホグレイル レゼルヴ2018
5. 【中欧のロゼ】パーツァイ「ピノ・ノワール ロゼ 2021」
6. 【中国のロゼ】シャトー・ナイン・ピークス「ピンカー ロゼ 2021」
7. 【セレブが愛するロゼ】ウォルファー・エステート「ロゼ 2021」
8. 【“最初で最後”のロゼ】レアム・セラーズ「プレシャス・ツイン・ロゼ ナパ・ヴァレー2020」
9. 【しゅわしゅわ泡】ヴァイングート・レート「マイ・ディア ペットナット2021」
10. ついに来るか!? ロゼワインブーム
ロゼワインの魅力とは
ヒマワイン(以下、ヒマ)「赤ワイン用のブドウ品種を使って、白ワイン的な製法で作るのがロゼワイン。今日はその魅力を教えていただきたいです!」
沼田店長(以下、店長)「わかりました。いまヒマさんがおっしゃった製法からもわかる通り、ロゼの魅力は白と赤の『間』の魅力だと私は思います」
ヒマ「というと?」
店長「白だとちょっと軽すぎるし、赤はちょっと重すぎる。ワインは飲みたいけど、お酒とじっくり向き合いたい気分じゃない。そんなときにロゼはピッタリなんですよ」
ヒマ「ああ、たしかにそういうときあります!」
店長「そして、南仏が代表的ですが、ロゼの産地ではロゼを水代わりに飲むみたいなところがあります。軽快さというか、するする飲めちゃうのも魅力です」
ヒマ「軽くてジューシーなものが多いですもんね。ワインって品種とかヴィンテージとか、難しい印象を持たれがちですが、いい意味でロゼにはそれがない気もします」
店長「そうそう。難しい顔をしてロゼを飲む人はいませんからね」
ヒマ「ランチにロゼ、予定のない休日の午後にロゼなんて最高です。そしてなんといっても色ですよね」
店長「通常、ワインのボトルは紫外線から守るために色付きのボトルを使います。でもロゼのボトルは大概が透明」
ヒマ「SNSで映えるわけですよ、この透明なボトルに入れられたピンクの液体が」
店長「これ、色合いで味の方向性を予想することもできるんですよ」
ヒマ「えっ、そうなんですか?」
店長「はい。単純に、色が薄ければ薄いほど白ワイン的、濃ければ濃いほど赤ワイン的な味わいになります。ロゼは食事を選ばない万能タイプですが、がっつりお肉と合わせるならば、色が濃いめを選ぶと外さないと思います」
ヒマ「沼田店長はロゼをなにに合わせますか?」
店長「鉄板は餃子です。餃子を食べるときはロゼで間違いない」
ヒマ「肉料理ではあるけれど、野菜の要素もあるし、赤!って感じでもないですもんね、餃子は」
店長「そう、意外と合わせるのが難しいんですが、ロゼはピタリと合うんです。ラー油との相性も素晴らしい」
ヒマ「エスニックなんかもいいですよね、ロゼ」
店長「間違いないですね。あと揚げ物とも相性がいいですよ。菜の花のフリットにロゼなんていうのは、春の最高のペアリングです」
ヒマ「いいですね〜、では、具体的にどんなワインがおすすめか、教えてください!」
【基本のロゼ】ドメーヌ・バール「マルサネ・ロゼ 2021」
店長「まずはフランスのワインをご紹介します。ドメーヌ・バールの『マルサネ・ロゼ 2021』です」
ヒマ「マルサネっていうのは地名ですね。フランス・ブルゴーニュ地方のワイン」
店長「マルサネはブルゴーニュのなかでも北にあります。そのため昔はブルゴーニュを代表する赤ワイン用ブドウ品種であるピノ・ノワールを十分に濃く造れなかったんです。そこで現地の生産者が頑張ってロゼを追求しはじめた結果、今やマルサネといえばロゼ、というふうになっています」
ヒマ「マルサネのロゼにはそんな歴史があったんですね」
店長「そうなんですよ。だからこそ「赤のついで」じゃなくて、ロゼ専用の畑のブドウを使ってロゼを造っている」
ヒマ「どんな味わいなんですか」
店長「現代ではフレッシュな物から樽熟成した濃いワインまで幅広くありますが、一般的にはロゼらしいサワーチェリーのようなニュアンスがあって、とてもおいしいですよ」
【基本のロゼ】ベリンジャー「カリフォルニア ホワイト・ジンファンデル」
ヒマ「続いては……ベリンジャーの『カリフォルニア ホワイト・ジンファンデル』ですね。ベリンジャーはアメリカのすごく大手の造り手」
店長「ホワイト・ジンファンデルっていうのはアメリカにおける昔ながらのロゼの呼び方ですね」
ヒマ「『ジンファンデル』っていうのは品種の名前。これはやや甘口のロゼですね」
店長「ジンファンデルは濃いワインになるイメージの品種なのですが、これはキャンディや果実のコンポートのような甘さがあって、とにかく飲みやすい」
ヒマ「ロゼ=甘口ではないけれど、甘いロゼは他のワインにはない魅力があります」
店長「ありますよね。これは価格も1650円と安いですし、初めてワインを飲むという方にもオススメ」
ヒマ「『映え』目的でも手に取りやすい価格ですよね。そこからワインにハマってもらえたら最高です」
【すっぱいロゼ】ラングマン「シルヒャー ホッホグレイル レゼルヴ2018
店長「フランスの本格的なロゼ、アメリカの気軽で甘めのロゼと、代表的なロゼをご紹介しましたので、ここからは世界の『ちょっとマニアック』なロゼをご紹介していきましょう」
ヒマ「ぜひお願いします!」
店長「まずはラングマン『シルヒャー ホッホグレイル レゼルヴ2018』。オーストリアのロゼですが、「世界一すっぱいロゼ」と言われているんです」
ヒマ「本当にグッとマニアックになりましたね(笑)」
店長「ワイン好きなら一度は飲んでおきたいワインのひとつと言えますし『世界一すっぱい』っていうキャッチコピーが非常にいいので、手土産やちょっとしたプレゼントに選んでも面白いと思います」
ヒマ「たしかに、もらったほうは『一体どんな味なんだ!?』とドキドキしますね」
店長「ちゃんとおいしいワインですので、ご安心ください(笑)」
【中欧のロゼ】パーツァイ「ピノ・ノワール ロゼ 2021」
ヒマ「ちょっとマニアックなロゼ、続いては……これはどこの国のワインですか?」
店長「ハンガリーです。パーツァイという造り手さんの『ピノ・ノワール ロゼ 2021』というワイン」
ヒマ「出た、ハンガリー! 私が最近沼田店長に教えてもらってもっとも驚かされたのがハンガリーワインのクオリティなんですよ」
店長「すごいですよね、ハンガリー。これも最初に紹介したのと同じ『ピノ・ノワール』という品種を使ったワインなのですが、試飲したときに3000円くらいするワインかな? と思ったんです。そうしたら、まさかの1700円」
ヒマ「沼田店長が価格をそれだけ見誤るのは相当ですね」
店長「レモンやシークワーサーのような酸味、梅っぽさ、お出汁感もある。味わいはかなりハイレベルですが、値段は安い。ボトルもかわいいし、オススメのひとつです」
【中国のロゼ】シャトー・ナイン・ピークス「ピンカー ロゼ 2021」
ヒマ「続いてはさらなる変化球。シャトー・ナイン・ピークスの『ピンカー ロゼ 2021』、中国のロゼです」
ヒマ「実は中国はワイン造りにすごい力を入れているんですよね。日本にも専門店があったりして」
店長「はい、実は品質がすごく高いものも多くあるんです。これは2008年にドイツの醸造学者の方が中国の青島に設立したワイナリーが造るロゼ。果汁のみを発酵させる方法で造られているので、色合いはかなり薄め。味わいとしては南仏のロゼを彷彿とさせます」
ヒマ「スッキリ&ジューシー系ってことですね。となると魚介系ですかね、合わせるのは」
店長「ですね。貝の酒蒸しなんか最高ですよ」
ヒマ「中国ワインはなかなか飲む機会がないと思うので、話のタネにもすごくいいですね!」
【セレブが愛するロゼ】ウォルファー・エステート「ロゼ 2021」
店長「次はアメリカのワインなんですが、産地がちょっと珍しいんです。ニューヨーク州のワイン」
ヒマ「ニューヨークでワイン造ってるの!? と驚く人も多いと思います。なにを隠そう私もほとんど飲んだことがありません(笑)。産地としてはどんな特徴があるんですか?」
店長「同じアメリカでも最大の産地である温暖なカリフォルニアとは真逆の個性で、世界でももっとも涼しい産地のひとつ。涼しいことでブドウの生育期間が長く、すごく複雑な味がするのが魅力です」
ヒマ「たしかにニューヨークは寒いイメージがあります。このウォルファー・エステートの『ロゼ 2021』はどんなワインですか?」
店長「ニューヨークはロゼ人気がすごいんですが、その火付け役がここ。ワイナリーがあるハンプトンは高級避暑地として知られる土地で、ワイナリー自体がセレブの社交場みたいになってるみたいです」
ヒマ「飲めばセレブ気分、って感じですね(笑)」
店長「7種類のブドウ品種をブレンドした凝った造り。味わいも素晴らしいですよ」
【“最初で最後”のロゼ】レアム・セラーズ「プレシャス・ツイン・ロゼ ナパ・ヴァレー2020」
店長「次もアメリカで、レアム・セラーズの『プレシャス・ツイン・ロゼ ナパ・ヴァレー2020』です」
ヒマ「レアム・セラーズっていうのはカリフォルニアのトップ生産者の一角ですよね。ロゼを出しているんですね」
店長「実はこれ、『最初で最後』のロゼなんです」
ヒマ「どういうことですか?」
店長「2020年はカリフォルニアで大規模な山火事があった年。煙の影響で通常のワインの収穫ができないため、やむをえず煙が来る前に収穫するしかなかったんです」
ヒマ「すると、どうなるんでしょう?」
店長「通常の赤ワインにはできないから、ロゼにするしかなかったんです。で、造ってみたらできがよかったことで、1回限りの瓶詰めをしたというワインなんです」
ヒマ「すごいストーリーありますね! 大切な勝負に臨む人とか、逆境を乗り越えようとしている人への贈り物に最適、って感じがします」
【しゅわしゅわ泡】ヴァイングート・レート「マイ・ディア ペットナット2021」
店長「最後に選んだのは『ペットナット』といって微発泡タイプのワインです。ヴァイングート・レートの『マイ・ディア ペットナット2021』。これはアルコールが12%とやや低めで、少し甘いんですよ」
ヒマ「アルコール度数低め、甘めはお酒があまり強くない人にも勧めやすいですね」
店長「イチゴシロップのようなニュアンスがありながら甘すぎず、ラベルもかわいい。たとえばお花見なんかに持って行ったら最高、というタイプのワインです」
ヒマ「いいですね〜。太巻き寿司とか合わせたいですね」
店長「イチゴとフレッシュチーズを組み合わせた前菜なんかも最高ですよね」
ヒマ「手土産やプレゼントにも非常に良さそうです」
店長「ちょっとマニアックな話を付け加えると、これはオーストリアのワイン。オーストリアの2021年ヴィンテージ(2021年収穫)のワインはとてもおいしいので、『この年号』はとくにオススメですよ!」
ついに来るか!? ロゼワインブーム
ヒマ「こうして見ていくと、ロゼと一言でいっても個性はさまざまですね」
店長「ロゼの基本ともいえるフランスやカリフォルニア産のものだけでなく、世界中でいろいろなロゼが造られていますよね。冒頭でロゼは気軽に楽しむものだとお伝えしましたが、そこから一歩踏み込むともっと楽しめると思います」
ヒマ「たしかに。日本でもロゼのブームが来そうですね!」
店長「来ると言われ続けてなかなかこないのが日本におけるロゼブーム。しかし、それが来る日もそう遠くないと思います!」
ワインマーケット・パーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00〜20:00
Tel/03-5424-2580
winemart.jp
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