この春開幕、自然と人間の息吹を見つめる芸術祭
自然なくして人間はなく、都市の中にも自然がある——。自然と人間の関係をめぐる、アートな冒険へ出かけよう。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年4月号掲載)
「第8回横浜トリエンナーレ 『野草:いま、ここで生きてる』」
野草のように息づく人々の姿を照らす試み
国内の芸術祭でも長い歴史を持つ「横浜トリエンナーレ」。横浜市で3年に一度行われる現代アートの国際展として、2001年より開催。第8回目となる今回は、当初から掲げる「現代アートの良質の入門編になる」を目標に原点回帰。中国からリウ・ディンとキャロル・インホワ・ルーをアーティスティックディレクターに迎え「野草:いま、ここで生きてる」をテーマに展示を行う。本テーマは中国の小説家・魯迅の詩集『野草』に由来し、先行きの見えない現代において野草のようにもろく無防備でありながら、同時にたくましく生きようとする一人一人の姿に目を向ける。多様な国籍のアーティスト93組が参加し、うち31組は日本初公開。また「野草」の統一テーマのもと、市内の各拠点で「アートもりもり!」と題した連携展示も展開する。
「第8回横浜トリエンナーレ 『野草:いま、ここで生きてる』」
馬車道駅コンコースで石内都の展示を行うなど、下記会場以外の展示にも注目。また「アートもりもり!」を掲げて「BankART Life7」や「黄金町バザール2024」と連携するなど、横浜駅〜山手地区に及ぶ多数の拠点で展示が行われる。チケットやパブリックプログラムほか、最新情報はサイトを参照のこと。
会期/3月15日(金)〜6月9日(日)
メイン会場/横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路
URL/www.yokohamatriennale.jp
「百年後芸術祭 〜環境と欲望〜 内房総アートフェス」
食や音楽、アートなどが融合した新しい芸術祭
千葉県誕生150周年を記念し、市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の内房総5市で新たに開催される芸術祭。アート、テクノロジー、音楽、食、学びのプログラムを展開し、100年後の新しい未来を創るため、持続可能なプラットフォームとしての芸術祭を目指す試みだ。総合プロデューサーは木更津市に人と農と食とアートの探求拠点「クルックフィールズ」を構える音楽家の小林武史、アートディレクターは全国の芸術祭を数多く手がける北川フラムが担当。この春スタートするアート作品展示には梅田哲也、SIDE CORE、さわひらき、島袋道浩、名和晃平、リナ・バネルジー/ペギー・E・レイノルズなど、総勢約80組のアーティストが参加する。穏やかな春の日差しの下、自然豊かな千葉の風景や文化遺産を巡りながら、多様な作品に出合う機会となりそうだ。
「百年後芸術祭 〜環境と欲望〜 内房総アートフェス」
環境問題を欲望と切り離して考えることはできない——小林武史の掲げるテーマのもと、昨年9月より食、音楽、テクノロジーなどの多様な企画を展開してきた大型プロジェクト。このたび満を持してアート作品展示をスタートさせる。チケットや体験型プログラムほか、最新情報はサイトを参照のこと。
会期/3月23日(土)〜5月26日(日)
会場/千葉県内房総5市(市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市)各所
URL/https://100nengo-art-fes.jp/
Text : Akane Naniwa Edit : Keita Fukasawa