【西オーストラリア旅vol.2】美食の宝庫・マーガレットリバーでプレミアムワインと大自然に酔いしれる
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【西オーストラリア旅vol.2】美食の宝庫・マーガレットリバーでプレミアムワインと大自然に酔いしれる

“世界で最も住みたい美しい街”と称えられる州都のパースをはじめ、コロニアル建築が美しい港町や、世界一幸福な動物に出会える島、プレミアムワインの生産地や美しいビーチなど多彩な魅力にあふれる西オーストラリア州。地中海性気候のパースはオーストラリアの州都の中で最も晴天が多く、夏も湿度が低いためカラッとした暑さで、冬の寒さも厳しくなく、一年を通して過ごしやすい。しかも、2023年10月末にANAが日本=パースの直航便の運航を再開させたとあり、アクセスも格段に良くなった。

今回はパースを拠点にした、西オーストラリア州の旅を3回に分けてレポート。第2回はオーストラリア産プレミアムワインの3割を生産する、マーガレットリバーを中心に紹介する。

目次
1. 子供から大人まで楽しめるワイナリー「スウィングス&ラウンドアバウト」
2. 西オーストラリアのプレミアムワイナリーを代表する「ルーウィン・エステート」
3. 湖畔のグランピング施設も人気の有機オリーブ農場「オリオ・ベロ」
4. ビーン・トゥー・バー・ショコラトリー「ガブリエル・チョコレート」
5. 「プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ」を旅の拠点に
6. 「ラモンズ・スミスズ・ビーチ」でモダンオーストラリア料理を堪能
7. イルカやクジラが回遊する海や、カンガルーが住む森など豊かな自然を満喫
8. 南半球最長の木造桟橋「バッセルトン桟橋」と海中展望台を満喫
9. ビーチを眺めながら出来立てビールを味わう「シェルター・ブリューイング」
10. 左車線でドライブも快適なオーストラリアを周遊

子供から大人まで楽しめるエンターテイメントなワイナリー「スウィングス&ラウンドアバウト」

パースから南へ約280キロメートル、車で約3時間の距離に位置するマーガレットリバーは、西オーストラリア州の美食の宝庫として世界的に注目されているエリアだ。日照時間が長く雨が少ないこの地域は、ブドウ作りに適した気候と土壌に恵まれ、50年以上前に最初の商業用ブドウ畑が植栽された。現在はオーストラリアのプレミアムワインの30%以上を占める上質なワインがこの地で造られている。

このエリアの代表的なブドウ品種は、赤ワインがカベルネ・ソーヴィニヨン、白ワインがシャルドネだ。南部の「オーガスタ (Augusta)」から北部の「バンカーベイ (Bunker Bay)」、「ダンズボロウ (Dunsborough) 」、「バッセルトン (Busselton)」まで、マーガレットリバー地域には約 200 以上のワイナリー、およそ100 のセラードア、受賞歴があるレストランがある。

「スウィングス&ラウンドアバウト(Swings & Roundabouts)」は、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネ、シラーズを使ったワインが人気で、いくつかの賞も受賞しているワイナリーだ。マーガレットリバーの街中にバー&レストランを構えているほか、2020年にはカジュアルでリラックスした雰囲気のレストランとセラードアを、ヤリンガップのワイナリーにオープンさせた。

広大なブドウ畑と貯水池を見渡すガーデンには、子どもが楽しめる遊具や、ブランコチェアが設けられたテーブル席があるなど、遊び心あふれるおもてなしが各所に見られる。

おすすめは、ワインのペアリングランチとワイン畑⾒学付きの体験コース(2時間150AUD)。地元の食材を使って作り上げる冷菜、温菜、メイン、デザートからなるコース料理それぞれに、ワインをペアリングしてくれる。

訪れた際は、アルバニー産のサーディンにフェンネルやオレンジ、ハラペーニョやディルを合わせたクロスティーニサラダに、シグネチャーシリーズの「Backyard Stories」から2023年のサンジョベーゼを使ったロゼワインをペアリング。マッシュルームとパルメザンチーズを使ったアランチーニには、同じく「Backyard Stories」から2022年のシャルドネを使った白ワインを、メインのラムショルダーには「Backyard Stories」の2021年カベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワインを合わせてくれた。

レストランは専用の窯で焼き上げるピザも人気で、お酒が飲めない人でも十分楽しめるほど料理も充実していて気さくな雰囲気だ。子どもを遊具で遊ばせつつ大人はゆったり食事を楽しむ、なんていう使い方も叶う。

スウィングス&ラウンドアバウト セラードア ヤリンガップ ヴィンヤード
住所/2807 Caves Road Yallingup Western Australia 6282
TEL/+61-8-9756-6640
URL/www.swings.com.au/

西オーストラリアのプレミアムワイナリーを代表する「ルーウィン・エステート」でペアリングランチ

オーストラリアを代表するプレミアムワイナリー「ルーウィン・エステート」もマーガレットリバーにある。1972年創業後、1981年に発売したオーストラリアのアート作品をワインラベルにした「アート・シリーズ」のシャルドネで世界的な脚光を浴び、その後も高く評価され続けている注目のワイナリーだ。ワイン・スペクテーター誌の年間トップ 100 ワインやデカンター誌の一押しワインに定期的にランクインし、国際的に賞賛されるワインを醸造している。

美しいガーデンでは、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団が演奏をしたこともあり、現在でも毎年夏になると、世界の一流ミュージシャンやエンターテイナーが集結し、壮大なコンサートが開催されている。

そんなガーデンを見渡すテラス席のダイニングでは、自社ワインに合うよう緻密に計算された地産食材を使った選べるシーズナルメニュー(115AUD、ワインペアリング別途45AUD)が味わえるのでぜひご賞味を。

乾杯酒の「2021 Leeuwin Estate Brut」に合わせて「ヒラマサのレタスカナッペ」、冷菜「ホタテのマリネ、カニ、アヒアマリージョ、サンライズライム」には「2023 Art Series Riesling」をペアリングしてくれた。ホタテは西オーストラリア北部で獲れたものだ。

メインの「ブラックアンガスサーロイン、そら豆、ニラネギ、ピスタチオ、ネイティブタイム」に合わせていただいた「2019 Art Series Cabernet Sauvignon」がクローブやペッパー、チェリーのような複雑なアロマと骨格のあるボディでピカイチだった。食後には西オーストラリアのチーズ工房「Cambray」のチェダーチーズやコーンブレッド、スパイスレーズンに合わせて食後酒も登場。ワインのテイスティングの際の説明もきめ細かく、日本ではなかなかお目にかかれないワインも数多く揃うため、ワイン好きはぜひ予約をして足を運んで欲しい。

ルーウィン・エステート
住所/Stevens Rd, Margaret River Western Australia 6285
TEL/+61-8-9759-0000
URL/leeuwinestate.com.au/

湖畔のグランピング施設も人気の有機オリーブ農場「オリオ・ベロ」

ワイン造りに適した気候のマーガレットリバーは、オリーブの生産も盛んだ。320エーカーの農場に14種類、8千本のオリーブの木を有する有機オリーブ農場「オリオ・ベロ(Olio Bello)」は特に評判の良いオリーブ農場だ。

手摘みと圧搾を同日に行う最高級のエキストラ・バージン・オリーブオイルは、オーガニック認証を受けており、21種類の食用オリーブオイルだけでなく、スキンケアアイテムなど約350種類の商品を手掛けて販売している。

敷地内にはショップやオリーブを使った料理やドリンクが味わえるレストラン&カフェのほか、湖のほとりに16棟の豪華なサファリスタイルのグランピング・バンガローがある。「オリオ・ベロ」オリジナルのマッサージオイルを使ったトリートメントも人気だ。

オリオ・ベロ
住所/36 Armstrong Rd, Cowaramup WA 6284
TEL/+61-8-9755-9771
URL/oliobello.com/

西オーストラリア初のビーン・トゥー・バー・ショコラトリー「ガブリエル・チョコレート」

西オーストラリアで初めてのビーン・トゥー・バー・チョコレートのブランドも、マーガレットリバーのヤリンガップ地区にある。「ガブリエル・チョコレート (Gabriel Chocolate)」は、エクアドルやマダガスカル、ウガンダなどから輸入した最高品質の生カカオを使い、自社工場でチョコレートを製造するショコラトリーだ。

「パース・ロイヤル・フード・アワード2023」でチャンピオン・ビーン・トゥー・バーに選ばれるなど数々の賞を受賞している。手土産用にチョコレートを買うのもいいが、チョコレートを使ったジェラートで涼むのもいいだろう。

ガブリエル・チョコレート
住所/Corner Caves & Quininup Roads, Yallingup WA 6282
TEL/+61-8-9756-6689
URL/gabrielchocolate.com.au/

「プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ」を旅の拠点に

マーガレットリバーを巡る際の拠点には、「プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ (Pullman Bunker Bay Resort and Spa)」でステイするのがいいだろう。透き通った海が美しいバンカーべイのビーチフロントに建つ5つ星の高級リゾートで、世界的なホテルチェーンであるアコーホテルズグループが手がけている。

提供元:プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ
提供元:プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ

提供元:プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ
提供元:プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ

客室はモダンなオーストラリア風建築の広々としたヴィラ。ビーチフロントでありながら緑も豊かで、敷地内では運が良ければ野生の小動物にも出会える。

オールデイダイニングの「アザー・サイド・オブ・ザ・ムーン (Other Side of the Moon)」では、地元の食材を使った料理やワインを、屋内だけでなくオーシャンビューの屋外テラスでも楽しめる。また、ホテル内にはインフィニティプールや、心と体をリフレッシュしてくれる「ヴィ・ スパ (Vie Spa)」などもあり、リゾートライフも思うまま。客室にはキッチンや食洗機、調理器具も備えてあるほか、ガーデンの各所にはBBQ設備もあり、長期滞在者への配慮もある。

プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ
住所/42 Bunker Bay Road Naturaliste WA 6281
TEL/+61-8-9756-9100
URL/www.pullmanbunkerbayresort.com.au/

「ラモンズ・スミスズ・ビーチ」でモダンオーストラリア料理を堪能

提供元:スミスズ・ビーチ
提供元:スミスズ・ビーチ

マーガレットリバー中心部の町・ヤリンガップにあるラグジュアリーリゾート施設「スミスズ・ ビーチ・リゾート」も手付かずのビーチときらめくインド洋を見渡せると人気の宿泊施設だ。ビーチハウス、ヴィラ、アパートメントを有し、部屋の大きな窓は浜辺のパノラマや夕日などを切り取るように設計されるなど景観は抜群だ。

同ホテルのメインダイニング「ラモンズ・スミスズ・ビーチ」はビジター利用も可能で、食通からの支持も厚い。ラモンズはスワンバレーの歴史あるワイナリーで、ワインと美⾷をテーマにしたレストランを複数展開しており、ここでは⾃社ワインだけでなく、西オーストラリア産の上質なワインを数多く取り揃えている。⻄オーストラリア・ジェラルトン沖に浮かぶアブロロス島近海で獲れたホタテに海苔バターを合わせた料理や、チミチュリソースを添えたブラックアンガスビーフのフィレ肉ステーキなど、⻄オーストラリア産の新鮮な食材を使ったコンテンポラリーなオーストラリア料理を味わえる。

スミスズ・ビーチ・リゾート
住所/67 Smiths Beach Rd, Yallingup WA 6282
TEL/+61-8-9750 1200
URL/www.smithsbeachresort.com.au

ラモンズ・スミスズ・ビーチ
TEL/+61-8-9750-1299
URL/lamonts.com.au/smiths/

イルカやクジラが回遊する海や、カンガルーが住む森など豊かな自然を満喫

マーガレットリバーの魅力は、ワインだけにとどまらない。海岸沿いを回遊するクジラを見ることができる「ミーラップビーチ」や野生のアカエイを間近で観察できる「ハメリンベイ」、オーストラリア大陸の最南西端に位置し、インド洋と南極海が交差する岬にある「ルーウィン岬灯台」、鍾乳洞「ンギルギ・ケーブ」や高さ60メートル以上のユーカリの木々がそびえる「ボラナップ・フォレスト」など、手付かずの大自然を満喫できる場所でもある。

特にナチュラリステ岬からルーウィン岬までの全長約140キロメートルを結ぶ「ケープ・トゥ・ケープ・トラック」は、海岸ウォーキングでは州内随一の長距離海岸ウォーキングトレイルとして知られ、ダイナミックな西オーストラリアの大自然を感じることができる。「ケープ・トゥ・ケープ・エクスプローラー・ツアーズ」のガイドツアーに参加すれば、アボリジナルの歴史を学びながら、彼らに思いを馳せて散策できるはずだ。野生のカンガルーも多く生息するエリアなので、運が良ければ間近で拝むこともできる。

ケープ・トゥ・ケープ・ツアーズ
URL/www.capetocapetours.com.au

南半球最長の木造桟橋「バッセルトン桟橋」と海中展望台を満喫

もし時間があれば、バッセルトンというエリアにも立ち寄ってみてほしい。ここには全長約2キロメートルに及ぶ南半球最長の木造桟橋の「バッセルトン桟橋」という観光名所がある。長い桟橋を歩くのもいいが、海風に吹かれながらゆったりと観光列車で桟橋の端までアクセスするのもいいだろう。

観光列車の終点には「海中展望台」があり、人工サンゴ礁や色鮮やかな魚たちを360度眺めることができる。料金は列車と展望台の入館料合わせて一人38AUDだ。

バッセルトン桟橋
URL/www.busseltonjetty.com.au/

ビーチを眺めながら出来立てビールを味わう「シェルター・ブリューイング」

バッセルトン桟橋を散策したら「シェルター・ブリューイング」のビールで喉を潤そう。2020年オープンのビール醸造所兼レストランで、人気の「シェルター・ラガー」など7種類の定番ビールに加え、期間限定メニューもオンタップしている。

ブリュワリーでありながら、料理の作り込みは丁寧なのでランチやディナー利用にもピッタリだ。ムール貝をトマトやワイン、唐辛子、ニンニクなどで煮込んだ西オーストラリアの名物料理「チリマッスル」や、トルティーヤで包んでいただくサルサ仕立てのビーフブリスケットなど、真夏のオーストラリアでビールが進む料理が光る。ぜひビーチと一体となったピースフルな雰囲気を満喫して欲しい。

シェルター・ブリューイング(Shelter Brewing)
住所/11 Foreshore Parade, Busselton 6280
URL/www.shelterbrewing.com.au

左車線でドライブも快適なオーストラリアを周遊

オーストラリアは日本と同じ左車線の国だ。道路の標識も日本のルールと近しいため、国際免許が必要とはいえドライブのハードルはかなり低いように思う。パースを拠点にレンタカーでマーガレットリバーやバッセルトンを周遊すれば道中豊かな自然やオーストラリアならではの動物たちにも出会えるはず。

最終回となる第3回では、世界一幸福な動物・クオッカが住むロットネスト島とフリーマントルを紹介する。

取材協力:西オーストラリア州政府観光局、ANA
nonbiri-perth.com/
www.ana.co.jp/ja/jp/international/theme/new_journey/

※AUD=オーストラリアドル、1AUD=97.21円(2024年1月12日時点)

 

Photos & Text:Riho Nakamori

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JANUARY / FEBRUARY 2025 N°183

2024.11.28 発売

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