【西オーストラリア旅vol.3】コロニアル建築が美しい港町&世界一幸せな動物に会いに行く | Numero TOKYO
Life / Travel

【西オーストラリア旅vol.3】コロニアル建築が美しい港町&世界一幸せな動物に会いに行く

“世界で最も住みたい美しい街”と称えられる州都のパースをはじめ、プレミアムワインの生産地のマーガレットリバーや、美しいビーチなど多彩な魅力にあふれる西オーストラリア州。地中海性気候のパースはオーストラリアの州都の中で最も晴天が多く、夏も湿度が低いためカラッとした暑さで、冬の寒さも厳しくなく、一年を通して過ごしやすい。しかも、2023年10月末にANAが日本=パースの直航便の運航を再開させたとあり、アクセスも格段に良くなった。

今回はパースを拠点にした、西オーストラリア州の旅を3回に分けてレポート。第3回はパース駅から電車を使い約30分でアクセスできる、コロニアル建築が美しい港町・フリーマントルと、同じくパース中心部からフェリーを使い片道約90分でアクセスできるロットネスト島を中心に紹介する。

目次
1. “世界一幸せな動物”クオッカが生息するロットネスト島へ
2. ハーバービューが自慢のシーフードレストラン「シセレロス」でランチ
3. コロニアル調の建物が美しいフリーマントルで、植民地時代に想いを馳せる
4. ノスタルジックなマーケットやカフェ文化が盛んなストリートを散策
5. ルーフトップバーも人気のヒップなホテル「QT パース」を旅の拠点に
6. 健やかで穏やかな時間が流れる西オーストラリアで癒しの旅を

“世界一幸せな動物”クオッカが生息するロットネスト島へ

ロットネスト島はパースの沖合約19キロメートルに位置し、パース中心部からフェリーで片道約90分、フリーマントルからであればフェリーを使い約30分でアクセスできる。島全体が国立公園に指定されているリゾートアイランドで、エメラルドグリーンに輝く海に、白浜のビーチが目を引く。

サンゴ礁や海洋生物が生息する20の湾と63のビーチでは、海水浴やシュノーケリングを楽しめるとあり、国内外から人気を集める観光地だ。また、早くから再生可能エネルギーの創出に取り組んでおり、自然環境や歴史的遺産を可能な限り本来の姿に保つなど、エコアイランドの側面も持つ。

ロットネスト島は、A級⾃然保護指定の国⽴公園であるため、一般車両の乗り入れが禁止されている。島は⼀周約45キロメートル、東⻄約11キロメートル、南北約4.5キロメートルと新宿区とほぼ同じ大きさを誇り、島内の移動はツアーバスやレンタサイクルを利用するのが一般的だ。

快適で効率よく島内を巡るなら「オーストラリアン・ピナクル・ツアーズ」の日本人ガイドがアテンドしてくれる電動カート「クオッカ・ホッパー(Quokka Hopper)」を利用するのがいいだろう。「バサースト灯台」「ピンキービーチ」「パーカー・ポイント」「サーモン・ベイ」など、予算や要望に応じて、島の見どころを案内してくれる。

本土と切り離されたロットネスト島は、独自の生態系を維持している。特に笑っているような口元から“世界一幸せな動物”と称される有袋類の一種・クオッカの最大の生息地として人気だ。外敵がいないロットネスト島にはかなりの数の野生のクオッカが繁殖しているので、ほぼ確実に出会えるのでご安心を。撮影の際には、カメラのレンズを下からあおるようすると、可愛く撮れる。

島内には5つ星級の宿泊施設から長期滞在用の宿泊施設まで幅広く揃うほか、街の中心部には飲食店やスーパーもある。パースからの日帰り旅も可能だが、のんびり滞在するのもいいだろう。

筆者が訪れた際には、アボリジナルの方々によるパフォーマンスも行われており、週末などは特に賑わいを見せる。

オーストラリアン・ピナクル・ツアーズ
URL/www.australianpinnacletours.com.au

ハーバービューが自慢のフリーマントルのシーフードレストラン「シセレロス」でランチ

ロットネスト島とあわせて訪れたいのが、島からフェリーで約30分の場所にあるフリーマントルだ。『TIME』 の「WORLD’S GREATEST PLACES 2022」に選ばれ、世界で最も多彩で活気に満ちた海辺の観光地の一つとして知られている。

港町ならではのハーバービューと新鮮なシーフードを満喫するなら、フリーマントルのアイコン的老舗レストラン「シセレロス」へ。名物のフィッシュ&チップスのほか、唐辛子とトマトソースで煮込んだムール貝料理「チリマッスル」、生け簀から取り出して調理する新鮮なロブスターのグリルなど、フリーマントルならではの魚介料理を味わえる。

シセレロス
住所/44 Mews Rd, Fremantle WA 6160
TEL/61-8-9335-1911
URL/www.cicerellos.com.au/

コロニアル調の建物が美しいフリーマントルで、植民地時代に想いを馳せる

パースの旧市街で、植民地時代のコロニアル調の建物がいまも残り、まるで19世紀にタイムスリップしたかのような美しい街並みのフリーマントル。まずは見晴らしの良い「ラウンド・ハウス」から街の全景を捉えよう。

西オーストラリア州最古の建物である「ラウンド・ハウス」は、イギリスによる植民地時代の1831年に建てられた刑務所だ。現在は当時の写真や資料が展示されており、誰でも自由に内部を見ることができる。

ラウンド・ハウス
住所/15 Captains Ln, Fremantle WA 6160
TEL/+61-8-9336-6897

オーストラリアといえば、イギリスの流刑植民地としての過去を持つことでも有名だ。フリーマントルには1850年代に西オーストラリア州で最初の監獄として建てられた「旧フリーマントル刑務所」もある。

1991年まで実際に使われていた「旧フリーマントル刑務所」は、2010年に世界⽂化遺産に登録された。監獄や絞⾸室など刑務所内部を⾒学できるガイドツアーがあり、日本語音声ガイドも用意されている。

旧フリーマントル刑務所
住所/1 The Terrace Fremantle WA 6160
TEL/+61-8- 9336-9200
URL/fremantleprison.com.au/visit-us/japanese/

ノスタルジックなマーケットやカフェ文化が盛んなストリートを散策

フリーマントルを訪れた際に欠かせないスポットが、毎週金曜日から日曜日にかけて開催されている「フリーマントルマーケット」だ。1897年から開かれている歴史あるマーケットで、食料品やクラフト品、飲食店など150以上のお店が軒を連ね、食べ歩きやお土産探しを楽しめる。

先住⺠アボリジナルの知恵を生かしオーストラリア原産の植物を使った「ROOGENIC」のウェルネスなブレンドハーブティーや、賞味期限10日間と日本へのお土産にも人気のハニーケーキ、⻄オーストラリア原産のジャラ(ユーカリの一種)ハニーなどは要チェックだ。

また、近くのサウス・テラスエリアにはカフェの多い「カプチーノ通り」もあるので、散策したり、お茶しに行くのもいいだろう。

フリーマントルマーケット
住所/Corner South Terrace & Henderson Street, Fremantle, WA 6959
TEL/+61-8-9335-2515
URL/www.fremantlemarkets.com.au/JP/

ルーフトップバーも人気のヒップなホテル「QT パース」を旅の拠点に

フリーマントルやロットネスト島を訪れる際の旅の拠点には、パースの中心部に構える「QT パース」がいいだろう。オーストラリアで知名度を誇る高級デザイナーズホテルの一つで、都市の歴史やテーマに合わせた建築、アートでスタイリッシュかつ個性的なデザインでいま人気のホテルだ。

「QT パース」の18階には、パースで最も“ヒップな”スポットの一つとして知られる「ルーフトップ・アット・キューティー (ROOFTOP AT QT)」もある。パースの中心地を見渡せる開放的な雰囲気で、訪れた際は夕方6時の時点でかなりの賑わいを見せていた。

ムーディーで落ち着いた雰囲気の中でお酒を楽しみたいなら、ホテル2階の「サンティーニ・バー」へ。クラシックなカクテルをイタリアンのエッセンスと共に味わえる。

「サンティーニ・バー」に隣接する「サンティーニ・グリル (Santini Grill)」は、地元客にも人気のイタリアンレストランだ。特製の窯で焼き上げるピッツァや、地元の熟成パルメザンチーズ、特注のブラータ、採れたてのサンマルツァーノ・トマトなどを使った、モダンなイタリア料理を味わえる。

QT Perth
住所/133 Murray Street, Perth WA 6000
TEL/+61-8-9225-8000
URL/www.qthotelsandresorts.com/perth

健やかで穏やかな時間が流れる西オーストラリアで癒しの旅を

今回初めて西オーストラリアを訪れて感じたのは、人も動物もゆったりと心身ともにヘルシーに暮らしていること。オージーたちはビーチや公園など心地よい場所に訪れたらゴロリと寝そべって風の音や波の音に耳を傾けたり、犬と一緒に散歩やランニングを楽しんだり、平日の昼間からカフェやバーで親しい人たちと語り合ったりしている。また、オーストラリア固有の動物たちとの共生のために、さまざまな法律やルールも設けられており、エコ意識も高く、心地よくみんなで暮らしていくための工夫や努力は怠らない国民性だと感じた。

治安もかなり良く衛生的で、日本人を含む外国人に対しても寛容で優しいのは、これまで多くの移民を受け入れてきた国だからだろうか。アメリカのようなエネルギッシュさや都市の勢いはありつつ、ヨーロッパのような歴史的建造物があるエリアもあり、はたまたハワイのようなリゾート地もあり、さらにオーストラリア大陸ならではの自然も残るなど多くの魅力をあわせ持つ西オーストラリア。日本とは季節が逆のオーストラリアは、いま夏を迎えている。暖かな陽気に包まれる西オーストラリア旅をするなら、絶好のシーズンだ。

取材協力:西オーストラリア州政府観光局、ANA
nonbiri-perth.com/
www.ana.co.jp/ja/jp/international/theme/new_journey/

※AUD=オーストラリアドル、1AUD=97.21円(2024年1月12日時点)

 

 

Photos & Text: Riho Nakamori

Magazine

JUNE 2024 N°177

2024.4.26 発売

One and Only

私のとっておき

オンライン書店で購入する