トラウデン直美がナビゲート! “あまりもの”で創造する「Coachtopia」PROMOTION
Coach(コーチ)が新たなサブブランド「Coachtopia(コーチトピア)」の日本展開をスタート。サーキュラークラフト(循環型ものづくり)に焦点を当てたCoachtopia(以下コーチトピア)は、今年4月にアメリカ、カナダ、イギリスでローンチ。満を持して公式オンラインストアとポップアップストアを原宿のMICO神宮前(〜10月22日)に、10月6日からコーチ銀座とコーチ新宿を含む6店舗で取り扱う。トラウデン直美がポップアップストアを訪れ、コーチトピアの世界を紹介!
コーチトピアは「余ってしまった素材や捨てられるはずの素材からものづくりを」と80年以上にわたる専門知識を活かし発足。リサイクル、再利用、再生可能な素材を使用し「Made Circular™(メイド・サーキュラー™)」の原則に基づいてデザインされたバッグ、アクセサリー、アパレル、フットウェアのオールジェンダーコレクションで構成。コーチのレザーバッグの製造工程で生じたレザーの端切れから作り出されたアップクラフトレザー、100%リサイクルポリエステルなどを使用。引き取り、再利用、リサイクルといった循環型のルートで、何度でも生まれ変われるように設計されている。また気候変動と闘う活動家、ミュージシャン、映画製作者などそれぞれの場で活動するZ世代と協働し、コーチトピアのプロジェクトを成長させている。
90年代のアーカイブバッグのシルエットを再解釈したエルゴ バッグ。いずれも少なくとも48%がリサイクルや再利用された素材から作られているのが特徴。コーチのレザーグッズ製造工程で生じたレザーの端切れを利用したチェッカー柄などバリエーション豊かでファッションの楽しみが増す。
ジッパーの端切れをアップサイクルしたバージョンのエルゴ バッグは、カラフルな色合いとリサイクルレジンのプレートが可愛い。コーチトピアのすべてのアイテムに、その素材、環境への影響、メイド・サーキュラー™の原則に従ってどのように製作されたのかという詳細を記録した独自のデジタルパスポートが搭載されていて、スマホで簡単に確認できる。
コーチトピアリレーサブル トートは、リバーシブルで使えるコーチトピアレザーパネルをストリングで結び合わせる組み立て構造。メタルボタンとスポーティなストリングがアクセントに。カスタマイズや修理が簡単なだけでなくリバーシブルとしても使用可能。簡単にフラットになることで、配送用ボックスにより多く収めることができ、出荷によるCO2排出量を軽減。将来のライフサイクルでも、より簡単により小さなアイテムへとリカットできるようあらかじめ設計されている優れもの。
「リサイクル素材のアイテムはこれまでもありましたが、コーチトピアはとても徹底されていて、特にデジタルパスポートに現れていると思います。アイテムのライフサイクルを追いかけて楽しめるというのが素敵だし、何年も経った後に手に入れた方が前の命に思いを馳せることは、他のことにも通じるのではないでしょうか。新しく何か買う時にその後どうなるのかと考えるきっかけになり、コーチトピアやファッションに留まらない大きなインパクトがあると思います。生産背景を知ることは、ファッションを楽しみ続けるための私たちの責任でもあるので、ファッションが好きな人ほど気にかけているように感じます。
今日撮影したなかでは、リレーサブル トートが輸送や修理まで考えられていていいなと思いました。色もキレイでPCも入って便利そうです。このポップアップストアも制作過程やリサイクルのアート作品が飾ってあったりしてとても可愛いので、ぜひ皆さんに見て欲しいですね」(トラウデン直美)
【ジューン・シルバーステインさんにインタビュー】
「コーチトピア」が目指すサステナブルな世界
コーチトピアのポップアップに合わせて来日したコーチ・グローバル・マーケティング、クリエイティブ、サステナビリティ担当シニアバイスプレジデントでコーチトピア責任者のジューン・シルバーステインさんにインタビューを行った。ジューンさんは、ファッション業界における循環性のパイオニアとして、コーチのサステナビリティ部門を率い、ブランドの取り組みを推進している。ファッション産業が直面する問題やコーチトピアが目指すサステナブルな世界について話を聞いた。
──コーチはこれまでもリサイクル素材を使った商品をリリースしたり、環境負荷軽減に向けてさまざまな取り組みをしてきたと思いますが、今回コーチトピアと題して、新たにローンチした理由を教えてください。
「2021年4月からコーチでは、COACH(Re)Loved(コーチリラブド)を展開してきました。これは顧客が愛用していたコーチのバッグを引き取り、第二の人生を与えるという取り組みです。しかし日々変わりゆく環境やファッション産業のなかにあって、この取り組みだけでは不十分であると気づきました。
まず、今日のファッションを含むほとんど全ての産業が直線的です。つまり循環していないんですね。ご存知のように何かをつくるためには、地球から天然資源を手に入れ、大量のエネルギーを使用し、温室効果ガスを排出します。そしてそのようにして作られた製品の85%が埋め立て地に行き着くのです。これを改善するためには、ある特定のプロセスに手を入れたり、一部の製品にだけ取り組むのではなく、システム全体を循環可能なものに変える必要がありました。小手先の改革では太刀打ちできないということです。
また、COACH(Re)Lovedで下取りした製品を生まれ変わらせるのに、非常に多くの技術と労力を必要としていたので、このまま規模を拡大していくことは困難でした。そこで、最初から再生することを前提として製品をデザインすれば良いのではないかという考えに行き着いたのです。これがコーチトピアの始まりです」
──具体的にはどのようなプロセスで製品を開発しているのですか?
「コーチトピアでは、最初からその製品に何度も人生を与えることを想定してデザインしています。これはつまり、製品をより簡単に修理し、分解し、元に戻し、リメイクすることができるという意味になります。例えば、通常リベットを使ったバッグは、リベットの裏側が見えないようにライナーなどでカバーされていることが多いのですが、このリレーサブル トートはリベットを裏からも見える仕様にすることで、ライナーを剥がすことなく簡単に修理や再生することができるようになっています。また、バッグのパネルは分解でき、完全にフラットになるので、輸送の際、スペースを最小限に留めることができ、CO2の排出を減らすことにも貢献できるのです。このように、この製品が次の製品、そのまた次の製品へと生まれ変わっていくことを念頭に置いて、プロダクトを開発することにしたのです」
──デザインの制約など、課題が多かったのではないですか?
「まずファッションというものは、完成した製品を思い浮かべてそれを実現するために材料を調達するというのが通常のやり方ですが、コーチトピアでは、その逆の考え方で製品を作ります。白と黒の端切れがたくさんあるから、それを使って市松模様のバッグを作ろうとか、ジッパーの端切れがたくさんあるからそれを取り入れたデザインにしようとか。ある意味“逆”に考えてデザインするので、簡単ではないのですが、今ある素材を活かすために、新しい技術やクリエイティビティを発揮できるので楽しい挑戦でもあるのです。でも製品を作れば作るほど、端切れがどんどん小さくなっていってしまって、これを使って製品を作るのは本当に難しかったです。最終的には、それらを圧縮して、マーブル模様のような柄の私たちがアップクラッシュドレザーと呼ぶものにして、製品だけでなくショップの什器にも使ったりしているんですよ」
──Z世代の若者ともコラボレーションしているそうですが。
「Z世代は持続可能性を非常に重視していて、価値観、倫理観の一部となっています。Z世代はまた、“重要なことを決定できる地位を得る”こと、そして自分たちが望む変化を世界にもたらす一員となることを強く望んでいます。しかし、彼らはファッションや自分らしさを表現することにも関心が高く、使える予算が限られているため、大量生産のファストファッションを愛用しています。実際、Z世代かどうかに関わらず、SNSの普及によって、人々はますますファッションに夢中になっていますが、これが、生産量が増加する一方で、実用(実際に製品を使用する時間)が減少するというサイクルの一因となっています。
現代のZ世代の若者はファッションを思い切り楽しんで自己表現もしたいけれど、持続可能性も大切、という2つのイシューの間で葛藤しているのです。コーチトピアはその矛盾を解消し、問題解決に向かってともに進んでいくためのプラットフォームとしての役割も担っています。
彼らは時に私達のメッセージに異議を唱え、社会を改善していくとてつもないパワーをもっているので、Z世代の環境活動家や、ジャーナリスト、クリエイター、ファッションラバーなどとともにコーチトピア ベータコミュニティと名付けたコミュニティを作り、製品開発やブランドのストーリーテリングでコラボレーションし、包括的にメッセージを伝えていきます」
──罪悪感を抱くことなくファッションを楽しみ、さらに持続可能性に貢献できるのはZ世代以外の消費者にとってもうれしいことですね。今後、コーチとコーチトピアはどのような立ち位置で展開していくのですか?
「この取り組みには終わりがありません。コーチトピアをローンチして終わりではなく、長い旅がようやく始まったという感じです。最終的には、コーチ全体が完全な循環型のビジネスモデルにすることが目標ですが、そこに向かって何度も試行錯誤を重ねながら進化し続けることでしょう。コーチはこれまで通り展開していきますが、コーチとコーチトピアは共存関係にあって、コーチトピアで直面した課題をコーチにフィードバックすることで、コーチも進化することができますしコーチトピアは新たなクリエイティビティを発揮し、商品を開発することができるのです。つまり生態系の一部のような感じです。ある生き物が捨てたものが別の生き物の餌となるので自然界には無駄がありませんよね。コーチとコーチトピアはそんな相互のエコシステムのような関係なのです。
また大切なのはコーチトピアでは決してセールを行わないということです。シーズンごとにセールを行うようなプロモーションは売上を最大化するかもしれませんが、結果的に消費者の信頼を失うことになると考えています。コーチトピアの製品はシーズン性に縛られないので、数ヶ月以内に売らなければならないということはないのです」
──最後にNumero TOKYOの読者に伝えたいことはありますか?
「持続可能性や環境問題の話は堅苦しく思われがちですが、コーチトピアはその名の通り、わくわくする明るい未来を感じられる取り組みです。製品も様々なカラーを使ったものや若手のアーティストとコラボしたものなど、楽しいものがたくさんラインナップしています。ぜひポップアップで様々なプロダクトに触れて、そのルーツを知って、実際に使っているレザーの端切れも見てみてください。私たちの未来にポジティブな影響を及ぼしながら、ファッションを心から楽しむことができる世界にするために、コーチトピアが貢献できたらうれしく思います」
Coachtopia ポップアップ ストア@原宿
コーチトピアの日本でのローンチを記念したポップアップストアを期間限定オープン。イノベーティブなデザイン哲学と、オプティミスティックなスピリットあふれる世界観を体験できる。
期間/2023年9月30日(土)~2023年10月22日(日)
営業時間/11:00~20:00 ※都合により変更になる場合がございます
会場/東京都渋谷区神宮前4-25-12 MICO神宮前1-A
Coachtopia
コーチ・カスタマーサービス・ジャパン
TEL/0120-556-750
Photos:Takao Iwasawa Stylist:Rieko Sanui Hair & Make up:Tomomi Shibusawa Interview & Text : Kana Endo Edit & Text : Michie Mito, Naomi Sakai