「即興 ホンマタカシ」展が東京都写真美術館で開催
写真表現の可能性をさまざまな角度から探求し続ける写真家、ホンマタカシ。その関心は近年、“写真の原理”へ向けられている。何を見て、何を写すのか——ここ10年間の絶えざる問い。その現在地が、東京都写真美術館で開陳される。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年11月号掲載)
1999年、写真集『東京郊外』(光琳社出版)で木村伊兵衛写真賞を受賞したホンマタカシ。一見、何の変哲もない無味乾燥な郊外の景色。しかしこれこそが、私たちの生きる現実なのだ——。
以後約20年、ホンマは多様な角度からこの世界の在りようを写し出してきた。その一つが、カメラの原型といわれる「カメラ・オブスクラ」の原理を用いたシリーズ「THE NARCISSISTIC CITY」。小さな穴を通過した光が、暗い室内の壁に反転した倒立像を写し出す。撮影は世界各都市で行われ、広島平和記念資料館を撮影した写真では近くのホテルの一室をピンホールカメラに仕立て、約1時間かけてフィルムを感光。
葛飾北斎の『富嶽三十六景』に想を得て富士山を写したり、文字などを焼き付けたりもしている。
本展は同シリーズを中心にこの10年余りの作品で構成される、日本の美術館では約10年ぶりの個展。タイトルに掲げられた「即興」は、写真に光や時間の変化など、偶然の要素をいかに取り込むかという強い関心を表したものだ。世界をどう見つめ、どう写し出すのか。ホンマタカシの探求が、写真表現にラディカルな問いを投げかける。
「即興 ホンマタカシ」
最近の約10年間に撮影された写真作品約50点の展示に加え、初公開の新作を含む映像作品の特集上映も実施。その他、ワークショップやトークイベントなども開催予定。
会期/10月6日(金)〜2024年1月21日(日)
会場/東京都写真美術館
住所/東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
Tel/03-3280-0099
https://www.topmuseum.jp/
※最新情報はサイトを参照のこと。
Edit & Text:Keita Fukasawa