あくにゃん × NICE73対談「私たちの偏愛的K-POP 2023! やっぱり大好き新大久保」前編 | Numero TOKYO
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あくにゃん × NICE73対談「私たちの偏愛的K-POP 2023! やっぱり大好き新大久保」前編

K-POPアイドルから地下アイドルまで、あらゆる男性アイドルを追うアイドルオタクであり、社会人YouTuberのあくにゃんと、K-POPイベントのMCや作詞作曲、ボーカルトレーナーを務めながら自身が大のK-POP好きであるNICE73を迎えて、2023年のK-POP談義スタート! 前編は、最高潮に盛り上がった『BOYS PLANET』『少年ファンタジー』『PEAKTIME』から、新大久保アイドル(しのくぼドル)の変化まで語り尽くします。

今年もオーディション番組が目白押し!
まずは『BOYS PLANET』『少年ファンタジー』から

──今年も『BOYS PLANET』『少年ファンタジー』『NCT Universe: LASTART』『R U Next?』『Nizi Project Season 2』などオーディション番組が目白押しです。

あくにゃん「まず『BOYS PLANET』(以下、ボイプラ)ですが、ZEROBASEONE(以下、ZB1)のお披露目となった5月の『KCON JAPAN 2023』に行ったんです。恐らくZB1目当てで来られていたファンの熱量が凄まじかったし、尋常ではない盛り上がりでした。個人的な話なんですけど、ボイプラ放映期間にソウルの弘大でキム・ギュビン君に遭遇したこともあって、ZB1には愛着がすごくあります。1stアルバム『YOUTH IN THE SHADE』は初動でミリオンセラーを突破し、初動売上が歴代5位に入りました。勢いがすごいですよね」

NICE73「私はそのKCONのMeet & Greetの司会を務めたんですが、海外からも大勢のファンが来場していて、過去に類を見ない熱狂でしたね。でも、番組としては、なんといっても『少年ファンタジー』が面白かった!」

 

あくにゃん「『少年ファンタジー』に関しては、元推しが参加していたこともあって、僕としては珍しくリアルタイム投票にも参加しました。結局、元推しはデビュー組には残らなかったけれど、デビューを勝ち取ったFANTASY BOYSには大注目しています。先日の韓国デビューの際には渡韓して音楽番組収録やサイン会などに参加してきました。やっぱりオーディション番組は沼ですね。デビュー前の練習生は言わば“一般人”なのに、こんなに愛が深まるんだという恐ろしさを知りました」



NICE73「『少年ファンタジー』は、『BOYS PLANET』と放送が同時期だったからこそ、あの番組構成になったと思うんですよ。オーディション番組を追っていると、これはほぼ完成された練習生のお披露目なんだとか、事務所のパワーバランス、番組が推したい子なんかの裏も透けて見えるけれど、『少年ファンタジー』は裏も表も全てを曝け出した上で、オタク目線を重視して番組を構成していました。番組の初期に、“撮る系”のオタクを集めて、どの練習生にレンズが向くかという企画をしていたんですが、番組開始前にその画像がSNSに流れてきて、オタク界隈ざわつかせたりと戦略もよく練られていました。練習生に好きな衣装で課題曲を選ばせる回もあったんですが、最近は、技術の高さを打ち出すことが多いのに、“やっぱビジュアルだよね!”という潔さも、攻めてるなと思いました。今年も、追いきれないぐらいオーディション番組が放送されていますが、『少年ファンタジー』の面白さを越えてもらわないと、もう気持ちが入りません」

「2023年は復活の年」
キム・ジウンが変えた? “しのくぼドル”

あくにゃん「日本のボイプラ人気は、キム・ジウン君の存在も大きかったと思います。彼が新大久保アイドル(新大久保のライブハウスで公演するK-POPアイドルのこと。以下、しのくぼドル)だった頃から知っていた人たちが、みんな応援してましたよね。これまで、しのくぼドルが一躍有名になるケースはほとんどなかったし、BFの子たちが新大久保に来たとき、ファンの間では動揺が走ったんです。でも、しのくぼドルに対するイメージをキム・ジウン君が変えてくれたことが、すっごく嬉しいです」

NICE73「それに、しのくぼドルに対する印象が、最近上がってません? 私も以前、K-Stage O!でMCを務めたことがあったんですが、昔より“しのくぼ通い”が気軽なものになったような気がしています。会場も、SHOWBOXとK-Stage O!に加えて、FCLIVE TOKYOがオープンしたことも大きいのかな」

あくにゃん「昔は、来日するアイドルも兵役を終えた上の世代だったし、会場の外でよくファン同士がケンカをしているという治安の問題(笑)もありました。最近は来日するアイドルのレベルも上がり、ファン層もK-POPの大きな事務所のファンダムに近づいてきたような気がします」

NICE73「昨年末に、NATUREがSHOWBOXで1ヶ月間公演をしたんです。BFと同じように、最初はそれがちょっとショックだったんですけど、実際に公演が始まると、SHOWBOXが連日満員で、海外からの観客の方もいて、すごく盛り上がっていて。NATUREもすごく楽しそうにパフォーマンスしていました。その時に、時代が変わったんだと実感しました」

──話題になったといえば、『PEAKTIME』もありました。大国男児やDKBも再び人気に火がつき、元TRCNGの4人がBXBとして出演したり、番組後、元MASCの2人がSEVENUSとして再デビューしたりということもありました。

NICE73「DKBが売れて良かった…(泣)。BLITZERSも番組後に、FCLIVE TOKYOで公演してましたね! TRCNGは、ダンスも上手くて売れそうだなと思っていた矢先に解散してしまい、残念だと思っていたので今度こそ頑張ってほしい…」

あくにゃん「1位になったVANNERも昔、新大久保で活動してたので通っていました。それも含めて、今年は本当に『復活の年』ですよね。かつて、人がいなかった新大久保を知っている者からすると、K-POPブームはこれまで何度か波があったので、今回もいつか終わるんだろうと思っていたんですが、ますます人気が上がり、しかも復活する人が多い。久しぶりにカムバしたINFINITEやTEEN TOPは、僕と同じ世代なんです。僕は今、会社員をしているので、この年齢で再始動するなんて本当にすごい。感動しちゃいます」

SHINeeやEXO
第二、第三世代の勢いがすごい

──SHINee『HARD』、EXO『EXIST』、OH MY GIRL『Golden Hourglass』など久々にリリースしたフルアルバムが好成績を収めたり、Brave GirlsがBBGIRLSに名前を変更してカムバックしたり、第二世代、第三世代といわれるグループも盛り上がっています。

あくにゃん「INFINITEがカムバするなんて、僕にとっては超ホットな話題ですけど、新しいファンからしたら、どう見えているのかは気になります。ある種の“奇祭”が開催されているように見えているかも。SHINeeも彼らをデビュー時から推している人と、最近ファンになった人がいて、ファンダムの年齢層がさらに幅広くなりましたよね」

NICE73「SHINeeについてはちょっと熱くなっちゃうんですけど、今回の『HARD』を聴いた時、泣けるくらい、これがSM()の音だ!と感じました。私にとってのSMらしさとは、SM特有の派手さと攻めの音なんですが、それを一番理解し、継承しているのはSHINeeだと感じたんです。EXOの『EXIST』もすごく良かった。SMエンターテインメントは今年、経営体制の変更があり、今後は世界戦略を重視していくのかもしれませんが、個人的にはかつてのSMらしさもうまく昇華してくれたらと願っています。それから、INFINITEは大好きだったので“待ってました!”だったし、OH MY GIRLはすっかり、お茶の間のグループになりましたよね。おじいちゃんおばあちゃん世代も小さな子どもにも知られているグループになったことがとても素敵です」

※SM…SMエンタテインメント。東方神起、SUPER JUNIOR、少女時代、SHINee、EXO、Red Velvet、NCT、aespa、RIIZEが所属。

あくにゃん「昔はよく『韓国は若い時期だけ。日本は30代40代になっても活動できる』と言われていましたが、最近は韓国でも長く活躍するグループが増えましたよね」

NICE73「昔では考えられなかったことです。今は年齢を重ねても固いファンがいるから続けられるようになったことが大きな変化だし、私はそれにすごく感動しています」

あくにゃん「ただ、今は『昔、好きだったグループが復活する、これはエモい、絶対行く!』という一時的な復活祭や同窓会のような感覚もあると思うので、これと同じテンションが今後もキープできるかという点に関しては、これからの挑戦になってくるのかもしれませんね」

──韓国では、アイドルを推すのは10代、大学に入ったらバンドやヒップホップを聞くという流れがありましたが、それも変化しているのでしょうか。

NICE73「韓国内でのオタ活に対する偏見も薄くなってきたようです。トロット歌手のイム・ヨンウンさんがダウンロードランキングの上位をキープしているけれど、これは子育てを卒業した年代の方々がスミン(ストリーミング)を覚えて、人気を後押ししているのだとか。最近は、現場でもよく男性ファンを見かけるようになりました」

あくにゃん「韓国の友達の話では、以前は、大人になってまでオタクをすることに対する冷たい目が日本よりもあって、アイドルよりも仕事や家のことをしっかりやらないといけないという価値観の人が多かったそうです。そもそもK-POPは一般層にそんなに浸透してないし、たいていの人はNewJeansくらいしか知らない。日本人がなぜそんなに詳しいのか不思議に思うらしくて。でも、それがちょっとずつ変わってきたのかもしれませんね」

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Photos: Ayako Masunaga Interview & Text: Miho Matsuda Edit: Yukiko Shinto

Profile

あくにゃん “ヲタクをするために生きている”をモットーに、K-POPをはじめジャニーズから地下アイドルまで、男性アイドルを中心としたさまざまな沼を熟知した、その道10年以上の“プロのヲタク”として活動中。2021年に初の著書「推しがいなくなっても、ぼくは現場にいる」を出版。じぃやとの掛け合いが人気のYouTubeチャンネルも配信中。
Twitter: @akunyan621 Instagram: @akunyan621 YouTube: @akunyan
NICE73ナイスななさん 韓国にて歌手として活動後、K-POPグループの日本語の訳詞、日本オリジナル楽曲の作詞、作曲、レコーディングボーカルディレクションなど、制作にも携わる。近年、韓国関連の各種イベントでMCや、テレビやラジオのナレーションを担当。Numero.jpでは「大人のためのK-POP入門」2021年「K-POP忘年会」、2022年「K-Pop座談会」にも登場。
Twitter: @NICE73555 Instagram : @nice73 YouTube: @NICE73deSHOW

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