Culture / Feature
スピリチュアルな自己再生に向かう旅
シェリル・ストレイドのベストセラー自叙伝を、リース・ウィザースプーンの製作・主演で映画化したドラマ。自暴自棄になって結婚生活を破綻させた主人公が人生の再出発のためヒッチハイクの旅に出る。米西海岸の1600kmに及ぶロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル」を3カ月歩き続け、自分を取り戻していく。音楽と風景が見事にマッチして観客も一緒に旅をしている気分に。深い思考を与え、人生の扉を開く力をチャージしてくれる。
SNS発、快楽と闇のワイルドサイドを歩け
2015年、デトロイトの一般女性アザイア・“ゾラ”・キングが投稿した計148のツイートが話題に。彼女の「悪夢のような48時間」の実体験をもとにした異色ロードムービーだ。ウェイトレスでストリッパーのゾラは、勤務先のフーターズにやって来たステファニと意気投合。翌日、ゾラはステファニから誘われてフロリダを目指す旅に出るが、それはヤバい出来事の連続だった。新鋭監督ジャニクサ・ブラヴォーの映像センスも光る人気映画会社A24の配給作。
神の領域に挑むクライマーの崇高な記録
クライミング界の世界的なカリスマ、アレックス・オノルドの命がけの挑戦に密着。ロープや安全装置を使わず山や絶壁を登る“フリーソロ”という危険なスタイルで知られる彼は、難攻不落のカルフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑む。彼の独自のトレーニングや壮大な景色とともに驚異的な精神力に迫る。アクション映画顔負けの圧倒的な緊張感と感動。第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した傑作だ。
人類初の素晴らしき月世界旅行を追体験
1969年、史上初の月面着陸を果たした宇宙飛行士ニール・アームストロングの偉業を完全再現。主演はライアン・ゴズリングで、『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督と再タッグ。製作総指揮はスピルバーグ。アームストロングの視点を通して、人類未体験の難業に取り組む乗組員やNASA職員の奮闘が描かれる。部分的にIMAX70mmカメラで撮影。ダイナミックで体感的な宇宙映像を実現した。第91回アカデミー賞視覚効果賞を獲得。
渡り鳥と一緒に北欧から南仏までの空を飛ぶ
ネイチャードキュメンタリー映画の名作『WATARIDORI』の製作にも参加した鳥類研究家で気象学者のクリスチャン・ムレクの実話がベース。息子と一緒に挑んだ超軽量飛行機でのノルウェーからフランスまでの旅を映画化。クリスチャンは絶滅危惧種の渡り鳥に安全な飛行ルートを教えるというプロジェクトに夢中。息子のトマも連れて空の冒険をスタートさせる。雄大な自然とともに家族の絆や成長も描く感動作だ。圧倒的な映像美にうっとり!
「リアル超え」の極限的な高所恐怖の臨場感
地上600m強、東京スカイツリー級の老朽化した超高層鉄塔に取り残された二人の女性を描くサバイバルスリラー。砂漠にそびえるボロボロのテレビ塔(カリフォルニアに実在する「サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー」がモデル)に、動画撮影を行いながらWヒロインが挑む。錆びたハシゴを登り、頂上に到着してからが恐怖の本番。足場はものすごく狭い限定空間、落下すれば即死。ガチで身がすくむワンシチュエーションで緊迫感MAX! 2023年7月5日にBlu-ray・DVD発売。
映画ライターの森直人が紹介。冒険にいざなう映画6選
危険とわかっていて、どうして人は冒険に駆られてしまうのだろう。まだ見ぬ世界へ連れ出してくれる、冒険家たちの物語をご紹介。今回は、映画通から絶大な信頼を誇り、新聞や雑誌、イベントで活躍中の映画評論家、ライターの森直人が、冒険にまつわる映画6選をおすすめしてくれた。( 『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年6月号掲載)
1. 『わたしに会うまでの1600キロ』
©Aflo
スピリチュアルな自己再生に向かう旅
シェリル・ストレイドのベストセラー自叙伝を、リース・ウィザースプーンの製作・主演で映画化したドラマ。自暴自棄になって結婚生活を破綻させた主人公が人生の再出発のためヒッチハイクの旅に出る。米西海岸の1600kmに及ぶロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル」を3カ月歩き続け、自分を取り戻していく。音楽と風景が見事にマッチして観客も一緒に旅をしている気分に。深い思考を与え、人生の扉を開く力をチャージしてくれる。
2. 『Zola ゾラ』
© 2021 Bird of Paradise. All Rights Reserved.
SNS発、快楽と闇のワイルドサイドを歩け
2015年、デトロイトの一般女性アザイア・“ゾラ”・キングが投稿した計148のツイートが話題に。彼女の「悪夢のような48時間」の実体験をもとにした異色ロードムービーだ。ウェイトレスでストリッパーのゾラは、勤務先のフーターズにやって来たステファニと意気投合。翌日、ゾラはステファニから誘われてフロリダを目指す旅に出るが、それはヤバい出来事の連続だった。新鋭監督ジャニクサ・ブラヴォーの映像センスも光る人気映画会社A24の配給作。
3. 『フリーソロ』
© 2018 NGC NETWORK US, LLC
神の領域に挑むクライマーの崇高な記録
クライミング界の世界的なカリスマ、アレックス・オノルドの命がけの挑戦に密着。ロープや安全装置を使わず山や絶壁を登る“フリーソロ”という危険なスタイルで知られる彼は、難攻不落のカルフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑む。彼の独自のトレーニングや壮大な景色とともに驚異的な精神力に迫る。アクション映画顔負けの圧倒的な緊張感と感動。第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した傑作だ。
4. 『ファースト・マン』
© 2017 - WAITING FOR CINEMA - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA – ALICELEO.
人類初の素晴らしき月世界旅行を追体験
1969年、史上初の月面着陸を果たした宇宙飛行士ニール・アームストロングの偉業を完全再現。主演はライアン・ゴズリングで、『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督と再タッグ。製作総指揮はスピルバーグ。アームストロングの視点を通して、人類未体験の難業に取り組む乗組員やNASA職員の奮闘が描かれる。部分的にIMAX70mmカメラで撮影。ダイナミックで体感的な宇宙映像を実現した。第91回アカデミー賞視覚効果賞を獲得。
5. 『グランド・ジャーニー』
© 2019 SND, tous droits réservés.
渡り鳥と一緒に北欧から南仏までの空を飛ぶ
ネイチャードキュメンタリー映画の名作『WATARIDORI』の製作にも参加した鳥類研究家で気象学者のクリスチャン・ムレクの実話がベース。息子と一緒に挑んだ超軽量飛行機でのノルウェーからフランスまでの旅を映画化。クリスチャンは絶滅危惧種の渡り鳥に安全な飛行ルートを教えるというプロジェクトに夢中。息子のトマも連れて空の冒険をスタートさせる。雄大な自然とともに家族の絆や成長も描く感動作だ。圧倒的な映像美にうっとり!
6. 『FALL/フォール』
© 2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
「リアル超え」の極限的な高所恐怖の臨場感
地上600m強、東京スカイツリー級の老朽化した超高層鉄塔に取り残された二人の女性を描くサバイバルスリラー。砂漠にそびえるボロボロのテレビ塔(カリフォルニアに実在する「サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー」がモデル)に、動画撮影を行いながらWヒロインが挑む。錆びたハシゴを登り、頂上に到着してからが恐怖の本番。足場はものすごく狭い限定空間、落下すれば即死。ガチで身がすくむワンシチュエーションで緊迫感MAX! 2023年7月5日にBlu-ray・DVD発売。
Text:Naoto Mori
Profile
森直人Naoto Mori
映画評論家、ライター。1971年、和歌山県生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)。『週刊文春』『朝日新聞』『TV Bros.』『Numero.jp』などで定期的に執筆中。YouTube配信番組『活弁シネマ倶楽部』でMCを担当。