世界的ミニマリスト建築家の日本初個展 ジョン・ポーソン展
日本に憧れ、建築を志した青年がたどり着いた極限の地平——。世界を代表するミニマリスト建築家、ジョン・ポーソンが写し出すまなざしの美学。日本での初個展に寄せて、その軌跡をたどる。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2023年6月号掲載)
ロンドンのデザインミュージアムや東京のジル サンダー表参道旗艦店をはじめ、装飾性を排した作風で知られる建築家のジョン・ポーソン(1949年、イギリス生まれ)。その卓越した美意識に大きな影響を与えたのが、日本文化と写真表現だ。
73年、禅や茶の湯などに魅せられて来日した彼は、伝説的デザイナーの故・倉俣史朗から薫陶を受け、建築の道へ。81年にロンドンでスタジオを設立後、住宅などを手がけながら写真作品の撮影を行う。その作品がカルバン・クラインの目に留まり、ニューヨーク旗艦店の設計を任されることに。以来、ミニマリズム建築の旗手として独自の美学を突き詰めてきた。彼は語る。「私にとってカメラは、創造的なプロセスにおいて不可欠なものです。(中略)自分が物事や景色をどのように見ているのかを記録する重要な手段なのです」。
日本での初個展となる本展は、自身の生活環境を写した「Home」シリーズと、写真2枚の色調の対比で織りなす「Spectrum」のインスタレーション、瞑想空間のような御影石の立体作品で構成される。光と影、空間と時間——希代のミニマリストが追い求める、研ぎ澄まされた美の地平。その秘密にぜひ触れてみたい。
「John Pawson」
「Spectrum」と「Home」シリーズの写真作品をThe Massのギャラリースペースに展示し、隣接する半屋外スペースStandByで大型の立体作品を公開。パンデミック下で発表された料理本と新刊の伝記のサイン本も販売される。
会期/4月14日(金)〜5月14日(日)
会場/The Mass
住所/東京都渋谷区神宮前5-11-1
http://themass.jp/
※最新情報はサイトを参照のこと。
Edit & Text:Keita Fukasawa