心と体をととのえて、脱・ストレス宣言! | Numero TOKYO
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心と体をととのえて、脱・ストレス宣言!

「人間は社会的動物である」とはアリストテレスの言葉とされるが、私たちは人と関わりながら生きている以上、 ストレスをゼロにすることは難しいもの。ストレスに対処する方法を知って、もっと身軽に前向きになろう。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』12月号掲載

レジリエンスでストレス解消!

社会構造が複雑な現代社会。「ストレスとは無縁!」と言い切れるツワモノはほぼいないのでは?
仕事や家庭、ホルモンバランスなどの健康上あるいは経済上の悩み、花粉やPM2・5に加え新型コロナの流行などの環境変化……とかつてない多重ストレスに苛まれている私たち。そもそもストレスとは? 鎌倉元氣クリニックの松村浩道院長に聞いた。

「ストレスというと漠然としていますが、ストレスを加える原因を『ストレッサー』、ストレスが加わった結果、身体面や心理面に起こるさまざまな反応を『ストレス反応』と呼びます」

ストレッサーには、温度や音などの物理的ストレッサー、有害物質などの化学的ストレッサー、対人関係や仕事などの心理・社会的ストレッサーがある。

「単純に考えれば『ストレッサー』そのものをなくせばよさそうですが、現実的には難しい。たとえば、仕事が激務だからと辞めてもやりがいが減って逆にストレスになりうるし、面倒な人間関係から逃れても新しいコミュニティにまた面倒な人がいるかもしれない。社会的生活を送っている以上、ストレッサーをゼロにするのはほぼ無理な話です。そこで昨今注目されているのが、自分自身のレジリエンスを高める、という考え方です」

ストレスレジリエンス――つまり、ストレスに対する耐久性、強さ、あるいは回復力のこと。ストレス状態は長ければ長いほど心身に不調をきたし、肌荒れや肩こり、頭痛、不眠、便秘などの原因になりうる。ストレスから回復する力=“レジリエンス”を手に入れたい!

そして、それを高めるのに有効な方法のひとつが “呼吸法”なのだそう。

「人はストレスを感じると、心拍数が上がり、呼吸は速くなり、筋肉は緊張します。つまり、交感神経が高まった状態です。こうした変化は自分の意思とは関係なく“無意識”に行われますが、それを自分でコントロールできるツールが“呼吸”なのです。ストレスを感じたときに呼吸のリズムを深くゆっくり、意識的に整えることで心身が落ち着き、ストレス状態から早く回復することができます。もともと回復力には個人差があり、回復が早いほど“ストレスに対する適応能力が高い”と言えます。また、同じ仕事量や内容でもストレスに感じる人と感じない人がいるのも“ストレス適応性”に個人差があるためです」

こうした個人差は「ストレスプロファイリング」で検査できる。“発散”によってストレスを手放すことも対処法のひとつだ。

「適度なお酒を楽しむ、友達とおしゃべりする……などの発散法もその場しのぎとも言えなくもないですが、一定の効果は得られます。リフレッシュには温泉などの温浴もおすすめです」

生きていればストレスはつきもの。そう割り切って、自分が快適になれる工夫を。

お話を聞いたのは…
鎌倉元氣クリニック 松村浩道 院長
日本医科大学卒業。米国ストレス研究所代表。東洋医学、栄養療法、温泉医学、予防医学などに通じ、心身相関・脳腸相関を重視した診療を行う。著書に『対人関係のイライラは医学的に 9 割解消できる』(マイナビ出版刊)、『脳腸相関で未病を征す』(七星出版刊)。

Illustration : Yuri Ichimura Edit & Text : Naho Sasaki

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