見たことない!を届ける気鋭の表現者たち。vol.5 ミュージシャン・歌代ニーナ
「これいったい何!?」と思わず見入ってしまうような“普通じゃない”を覚える作品に、いまワクワクが止まらない。
それらを生み出し、私たちの感性を刺激してやまないアーティストやクリエイターをピックアップ!
第5回はミュージシャン・歌代ニーナ(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』12月号掲載)
日常会話をヴィジュアルやサウンドに広げる
「昨年、歌代ニーナ名義のアーティスト活動をスタートさせ、今年にかけて“ヒステリア”をテーマにシングル『ARIA』『ÉTUDE』『HYMN』とEP『OPERETTA HYSTRIA』を発表しました。インスピレーション源は日常会話。私は人間関係がストレスになりやすいのですが、仕事でいろんな方と一緒に作品づくりをしたり友達と話すなかで思ったことを主軸に、ヴィジュアルやサウンドを広げていきました。さらに今作は長い目で見て私のベースとなるようなものにもしたかったんです。私はバレエや乗馬を長くやっていたので、ルーツはクラシカルなもの。ホラーも好きなので、それらからイメージを膨らませていきました」
「大学で美術史を専攻し、違う時代の違う作品を比較して相違点や類似点を見つけるという勉強をしていたので、何かと何かをリンクさせるのが得意に。例えば“この人のメンタリティはこういうライティングで表現できるな”とか。あと、絵画における光の描かれ方によって時代が見分けられるのでライティングのリファレンスを出しやすい。だから映像監督やフォトグラファーとのコミュニケーションはすごく取りやすいです」
「ロールモデルにしている存在というと、シルヴィ・ギエムというバレエ界に革命を起こしたバレリーナ。すごくパンクで影響を受けています。あと、コメディアンのデイヴ・シャペルのストーリーテリングの技術はラップ面で参考にしています。トークだけで人種や世代を超えて共通項が持てるのはすごいこと。“面白い”は正義だと思うので、ユーモアがない制作物は無理なんです」
Interview & Text:Kaori Komatsu Edit:Sayaka Ito, Mariko Kimbara