見たことない!を届ける 気鋭の表現者たち。vol.4 System of Culture| Numero TOKYO
Culture / Feature

見たことない!を届ける気鋭の表現者たち。vol.4 アーティストユニット・System of Culture

「これいったい何!?」と思わず見入ってしまうような“普通じゃない”を覚える作品に、いまワクワクが止まらない。
それらを生み出し、私たちの感性を刺激してやまないアーティストやクリエイターをピックアップ!
第4回はアーティストユニット・System of Culture(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』12月号掲載

対話の中から絵とストーリーを生み出す

「僕らはもともと大学が一緒で、よく週末の夜にファミレスでコーヒーを飲みながら映画やドラマの話をしたり、TumblrやInstagramで流れてきた面白い写真を共有したりしていたんです。その時間がそのまま制作になり、写真は“シャッターを押すと撮れる”というメディアとしての手軽さを入り口に始めました」

「結成した2017年当時、日本で多かったスナップ写真の流れに乗りたくなくて、モチーフを置いた静物写真を撮っていました。シチュエーションを考えて、合うモチーフを選び、見たものからアイデアを膨らませて、二人でセッションしながらその場で構築していくんです」

静物写真という枠の中でどんなことができるか実験していた時期、ブリコラージュ的にモチーフを組み合わせながら作った作品。何げない日常を切り取ったかのような写真には、よく見るとさまざまな意味が。「恐竜がいることで生まれたシチュエーションから、鑑賞者の中で新たに意味が生まれる作用が面白いと思います」  『I Can Save Myself at Last』2017年
静物写真という枠の中でどんなことができるか実験していた時期、ブリコラージュ的にモチーフを組み合わせながら作った作品。何げない日常を切り取ったかのような写真には、よく見るとさまざまな意味が。「恐竜がいることで生まれたシチュエーションから、鑑賞者の中で新たに意味が生まれる作用が面白いと思います」 『I Can Save Myself at Last』2017年

結成初期の作品。ルネサンス期の静物画を彷彿とさせる絵の中に、現代的なモチーフが混ざることで面白い“違和感”が。「モチーフを全部を“変”なものにするんじゃなく、なるべく“普通”に見えるバランスを探りました。作品制作で美術史を意識し始めたのは2、3年前からですけど、よく考えると最初からそうだったな、と思います」『Still Life Breakfast』2017年
結成初期の作品。ルネサンス期の静物画を彷彿とさせる絵の中に、現代的なモチーフが混ざることで面白い“違和感”が。「モチーフを全部を“変”なものにするんじゃなく、なるべく“普通”に見えるバランスを探りました。作品制作で美術史を意識し始めたのは2、3年前からですけど、よく考えると最初からそうだったな、と思います」『Still Life Breakfast』2017年

「制作においては、映画の絵づくりや、SNSの写真、古典的な絵画、漫才などさまざまなものを参照しています。最初に立てたストーリーに対して、レイアウトや光の落ち方は合っているか、本のたわみ一つでも、モチーフの“演技”がきれいすぎないかなど大事にしています。作品によってB級映画的な絵なのか、イリュージョン的な写真なのか、日常ドラマなのかとか、リアリティラインが違いますし。そういったコンセプトに対してモチーフや光などを試しながらたくさん撮り、最終的に一枚の絵に決定します」

「今後としては、昨年から取り組んでいる山水画や長谷川等伯といった日本の絵画の構図などをリファレンスとした『Landscape』(VOCA展2022に出品)シリーズをしばらく続けてみたいと思っています。また、新しく写真と物語の関係についての作品も構想しているので、徐々に取りかかろうと思っています」

「神殿」や「祠」の意味を持つ「Sacred Place」をタイトルにしたシリーズより。マーブルチョコやグミといったお菓子を、食べ物という本来の目的ではなく、あえて遊び道具として用いることで「モノに執着して撮ることに、よりフォーカスを当てたかった」という。子どもの目線のようでありながら、計算されたバランスもまたユニーク。 『Marbles』2021年
「神殿」や「祠」の意味を持つ「Sacred Place」をタイトルにしたシリーズより。マーブルチョコやグミといったお菓子を、食べ物という本来の目的ではなく、あえて遊び道具として用いることで「モノに執着して撮ることに、よりフォーカスを当てたかった」という。子どもの目線のようでありながら、計算されたバランスもまたユニーク。 『Marbles』2021年

特集「見たことない! を届ける気鋭の表現者たち」をもっと読む



Interview & Text:Akane Naniwa Edit:Sayaka Ito, Mariko Kimbara

Profile

システム・オブ・カルチャーSystem of Culture 小松利光と佐々木祐真により2017年に結成。現在は主に写真という仕組みと機能を扱い、媒体の枠と周辺のありようを探る制作に取り組む。絵画や映画からインスピレーションを受けた、鑑賞者の“記憶”を呼び起こす作品が特徴。21年にジャパン フォト アワードPatricia Krallis賞を受賞。22年には国際的にも通用する若い作家を支援する展覧会VOCA展に出品。5月には東京・西麻布のCALM & PUNK Galleryで個展「Exhibit 4」を開催した。

Magazine

JANUARY / FEBRUARY 2025 N°183

2024.11.28 発売

Future Vision

25年未来予報

オンライン書店で購入する