アジアのナンバーワンリゾートでサステナブル・ステイ。ベトナムの「シックスセンシズ ニンバンベイ」へ【後編】 | Numero TOKYO
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アジアのナンバーワンリゾートでサステナブル・ステイ。ベトナムの「シックスセンシズ ニンバンベイ」へ【後編】

「シックスセンシズ ニンバンベイ」滞在記としての【前編】に続いて、【後編】は空の旅のお話から。鮮やかなターコイズブルーの機体に国花である黄金色の国花ロータスが目印、スカイチームに加盟するベトナム航空は、東京・名古屋・大阪・福岡の4都市とホーチミン・ハノイの2都市を最短5時間で結び、一つの候補となり得る。

運航する最新鋭のボーイング787-9ドリームライナーとエアバスA350-900XWBのうち、今回は後者、1-2-1配列のビジネスクラスに搭乗。

食とベトナムを愛する人のためのエアライン

機内では、ベトナムでは結婚式や大切なお客様を迎える際に着用されるご存じアオザイの制服を着たキャビンクルーが、付かず離れずのリズムでサービス。ちなみに東京成田発の往路のフライトは朝9:30発、13:50にはホーチミンのタンソンニャット国際空港へ到着(2022年10月段階)。2時間の時差を含めると6時間弱のフライトになるが、時間的にランチも兼ねてしまえる機内食のコースは、中距離路線にも関わらず長距離路線並みの品数で、ベトナム航空のホスピタリティが感じられる。

無事に旅に発つことができた祝杯のシャンパーニュは、1995年に設立された小規模の家族経営ながら、数々のワイン賞のメダルを受賞している「CHARLES MIGNON(シャルル・ミニョン)」のブラン・ド・ブラン。1993年にナショナルフラッグとして国営化されて以降、急成長を遂げ、2016年から4年連続で航空業界の格付け調査機関スカイトラックス社から4つ星を受賞しているベトナム航空と、どこか歩みが似たメゾンとも言える。ちなみにワインはフランスの作り手を中心に、赤と白2種ずつ4種をラインナップ。

寄港地の料理をできるだけ取り入れ2カ月ごとに改訂されるという機内食は、和洋から選択。今回選んだ日本食はすべて陶器に盛られ、前菜に始まり、続く焚き合わせや酢の物、焼鮭や牛肉巻きなどの一皿には、紅葉の飾り葉や銀杏など季節感もプラスオン。メインに選んだ鶏の朴葉味噌焼きまで、終始食材も豊かで、空の上のレストランにも旅の楽しみを見出したいフーディ系には、ベトナム航空を選ぶ一つの理由になるはず。

『HERITAGE』と冠された機内誌には堂々日本語版もあって(ちなみに下記の写真はHERITAGEのファッション版)、搭乗時のエディションには、ベトナム北部のデルタ地帯を流れるドゥオン川の地形が生んだ歴史文化、ハノイの旧市街建築、ホイアンのタインハー陶器村、ベトナムの名物料理バインコットが味わえるレストランアドレスなど、真摯に編集がなされたベトナム航空ならではのローカルなドキュメントが満載。そんなオウンドメディアのディテールもフラッグ・キャリアならではで、ディープなベトナムファンには貴重な情報になるはず。

往路は経由地ホーチミンに数泊するのもあり

一方でシックスセンシズ ニンバンベイを訪れる場合、ホーチミンのタンソンニャット国際空港に到着後に国内線への乗り継ぎとなるが、一度スーツケースをピックアップしなければならず、海外からの旅行者の受け入れが再開されたことで入国審査がなかなかの混雑だった旅を振り返ると、往路はホーチミンにホテルを取って1〜2泊を過ごした後、満を持してシックスセンシズ ニンバンベイへ向かう旅程も推奨したい。

ちなみにホーチミン滞在でリコメンドしたいレストランの一つは、中心地の目抜き通りドンコイのワンコーナーにあり、雑踏の中にあってコロニアル建築が目を惹く「Vietnam House(ベトナムハウス)」。

元々はフランス統治時代最中の1900年代初頭に「L’Imperial」という有名なカフェがあった場所で、当時の面影は宗主国だったフランスのアパルトマンなどでも見受けるシャッター付きの小さなエレベーターにも。

その後、1980年代には初代ベトナムハウスとしてツーリスト向けの伝統的なベトナム料理を提供していたが、2017年に料理と空間ともに一大リノベーション! 2フロアともにブルーを基調に、大理石の支柱、マホガニー調の家具、ゴージャスなシャンデリアが、ノスタルジックなレストランを豪華絢爛さをもって今に甦らせている。

レストランを率いるのはベトナム系オーストラリア人のセレブリティシェフでレストラン経営者としても活躍するLuke Nguyen(ルーク・グエン)。1978年にタイの難民キャンプでベトナム系移民の両親のもとに4人兄弟の3番目として生まれ、1歳のときに一家はオーストラリアに移住。5歳から両親が経営するベトナム料理店で働き始め、23歳の時に姉とともにシドニーにフレンチレストラン「Red Lantern」をオープンし、その後「自分のヘリテージである母国に戻ろう」と決意。ベトナムでは自身の名を冠したテレビシリーズで司会を務め、息子とはベトナム各地の屋台を、姉とはフランスの地方の味を旅したフードドキュメンタリーも、ベトナムハウスの料理の礎になっている。数々の料理本はベストセラーになり、ベトナムハウスのレセプションにはその中の一冊『THE FOOD OF VIETNAM』もディスプレイ。

モダンかつゴージャスにアップデートされた空間同様、その料理は伝統的なベトナムの味をソースなどの細部に至るまであらためて紐解き、上質で新鮮な食材を丁寧に調理して、あくまでエレガントに提供。

前菜はサトウキビ入りのシュリンプムース、具材に富んだ豚肉の揚げ春巻き、スターフルーツと一緒に二回燻製した鴨とガランガルサラダが、ワンプレートにコンポジション。

メインはレモングラスを巻いて炭火焼きしたベトナムではポピュラーな魚だというスギを、鴨とベトナムハムが入った炒飯の上に錦糸卵が。

肉料理はスロークックのイベリコ豚に隼人瓜のマッシュポテトが添えられて。

さらにジンジャーシロップがかかったホームメイドの絹漉し豆腐、タピオカ、ココナッツミルクと3種のデザートに至るまで、終始優しいテイストの料理が印象的。

ダイニングの光景を見る限り、グローバルな大人とローカルの新世代がエネルギッシュに混ざり合い、この盛況ぶり。ワインやベトナムの名物ビールと堪能したい。

なお、このベトナムハウスから至近に聳え立つタイムズスクエアビルには、最高峰のイタリアのクラフトマンシップを駆使した装飾と完璧なサービスでアジアに名を馳せる、ベトナムで唯一の6スターホテル「The Reverie Saigon(ザ・レヴェリー サイゴン)」がある。

レセプションフロアのインテリアのディテールだけを見てもご覧の妥協なきゴージャスさ。

この大時計は1867年創業のフィレンツェの老舗ホームジュエリーメイカー「BALDI」のスペシャルクリエーション。アンティークのテクニックによるマラカイトのモザイクに、24金でデコレーションされたブロンズとクリスタルの支柱がデザインされている。

2022年にはこのザ・レヴェリー サイゴンに、北イタリアのロンバルディア州の名門リストランテで、スイスのサンモリッツや上海にもレストランを展開し総合計8つのミシュランの星を持つ「Da Vittorio(ダ・ヴィットリオ)」が、「Da Vittorio Saigon(ダ・ヴィットリオ・サイゴン)」をオープン! すぐさま世界のグルメガイドの評価やサイトのレビューを総計し上位1000店を発表するフランスのレストランガイド「La Liste 2023」に、ベトナムで唯一ランクインした。

家族経営のレストランとして半世紀以上イタリアのガストロノミーを牽引してきた今回のダ・ヴィットリオとのコラボレーションの背景には、ザ・レヴェリー サイゴンとして、ミシュランガイドや本物のファインダイニングが存在しないベトナムで、ミシュランの星が付いたレベルや体験を知ってもらいたいという想いがあるという。ちなみに2022年のクリスマスイブから2023年元旦まで限定、フェスティブシーズンのコースメニューは、強気の約55,000円。参考までに!

帰路の空の上まで旅を様々に味わい尽くす

そうして美食というアングルだけをとっても、ホーチミン滞在中は母国の発展を思う経営者たちによるアップカミングなファインダイニングをチェック。そしてシックスセンシズ ニンバンベイでは進化を遂げたヴィーガンメニューと併せてリゾートで育った食材のエネルギーや地産地消のマインドを継承。復路のフライトでは過ぎ去った旅時間を名残惜しみながらローカルフードの牛肉入りヌードルスープ「フォー・ボー」を願わくばベトナムコーヒーとセットで。そんな食のレイヤーは、旅をより官能的にしてくれるはず。

一方でベトナム航空に話を戻すと、ホーチミンのタンソンニャット国際空港では復路のチェックインも混み合うことが少なくないのが通説。そのため余裕を持って空港に向かうことでフライトまでの時間を持て余すことになったとしても、シャワーブースやビジネスセンターなどファシリティも完備したモダンなデザインのビジネスクラス専用ラウンジ「Lotus Lounge(ロータスラウンジ)」が、心強い止まり木に。

乗り込んだ復路の機内では、2022年に新しく制作されたというベトナム航空の機内安全ビデオにも注目を! 様々なベトナムの少数民族を纏った出演者がベトナムの自然や名所でダンスをしながら、グラフィカルなアングルやユニークなアプローチで避難経路やライフジャケットなどを説明しているのだが、そこには規定のクリエイティブを通してもベトナムのフラッグキャリアとして自国を少しでもアピールしていこうという気概を感じることができる。

最後に、東京・羽田発を除く往路は全便が昼過ぎにはベトナム着、復路は現地を深夜に出発し日本に朝には到着できるフライトスケジュールとなっていて、ホーチミンやハノイだけに限ったウィークエンドトラベルであれば有効なことを、次時代の旅を思考するすべての人へ、特筆しておきたい。

<ベトナム航空概要>
ベトナム航空 www.vietnamairlines.com/jp/ja/home
コンタクトセンター(予約・発券、マイレージ等に関するお問い合わせ)
電話/03-3508-1481 (日本語/英語)
営業時間/月-金 09:00-17:30 (土日祝日を除く)
お問い合わせメールアドレス/tyovngrp@vietnamairlines.com (日本語/英語)
お問い合わせメールアドレス/lotusmiles.tyo@vietnamairlines.com (日本語/英語) ※マイレージ専用

<レストランとレストランの概要>
ベトナムハウス vietnamhousesaigon.com
ザ・レヴェリー サイゴン thereveriesaigon.com  
日本での予約/0120-086-230(LHW)

Photos & Text: Yuka Okada

Profile

旅した人: 岡田 有加Yuka Okada 編集者・プロデューサー。81 Inc.主宰。ジャンルを問わずタイムレスなアーティスト(人間)を伝えることを軸とし、紙雑誌の企画編集を故郷に、書籍や写真集、現在は編集長を務める『GINZA SIX magazine』をはじめ、デジタルを含む数々のメディアやプロジェクトの企画プロデュースを担う。2023年は企画プロデュースを手がけた佐藤健×マリオ・ソレンティのコラボによる話題のアートブック『Beyond』(受注サイト: https://colavoshop.jp/special/beyond/ )が発売予定。 HP: https://81inc.co.jp IG: @yukaokada81

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