あなたの推しアート、見せてください! vol.4 レストラン「été」オーナーシェフ 庄司夏子
アートを所有するってどういうこと?アートを愛するクリエイターたちが見せてくれた“推しアート”から、目で楽しむだけではない、いろんな想いが見えてきた。Vol.4はレストラン「été」オーナーシェフの庄司夏子の推しアートをご紹介。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年6月号掲載)
料理とアートは時に交差する
中学時代にショーウィンドウに飾られていたルイ・ヴィトンと村上隆のコラボ作品を見たときに鮮烈な印象を受けたと話す庄司夏子。時はたち自身が料理人として独立し、アートと料理の世界には共通点があることに気づく。いま店内の中庭に置いているこの作品には未来への希望と出会いのストーリーが込められていた。
「アートはストーリー性があるものに惹かれます。私の場合はお店に来るお客さんにも楽しんでもらいたいので、お店と共通点のあるアートを購入します。この作品はジュエリーブランドのアイファニーが作っている石の盆栽で、インスタで見つけてオーダーして作っていただきました。イサム・ノグチの制作拠点でもあった香川の庵治・牟礼町で、庵治石と呼ばれる日本のグラナイトを使っています。一つの石を削り出して作っているアートなので一度折れたらまた作り直しに。一年の時を経てお店にやって来ました。本来は磨いてグレーの色を出すのですが枝ぶりを表現するため、たたき仕上げといって磨かずに素材の色がそのまま生かされているのも素敵です。元々お墓の石として使われているのですが、こういった石職人さんになかなか光が当たらない世界であるのが現状。アートを作ることによって光が当たって今後の後継者不足も解決していくのではと思っています。料理人の世界も同じ状況です。もっと日本の農家さんも含めてアーティストとして評価されるべき。だから私はアートと一緒にその思いを伝えていきたい。アートにはそんな強い力があるから惹かれるんだと思います」
Photos:Ayako Masanaga Interview & Text:Sayaka Ito, Saki Shibata