あなたの推しアート、見せてください! vol.3 スタイリスト・「ART Is. gallery」 オーナー ふくしまアヤ
アートを所有するってどういうこと?アートを愛するクリエイターたちが見せてくれた“推しアート”から、目で楽しむだけではない、いろんな想いが見えてきた。Vol.3はスタイリストで「ART Is. gallery」オーナーのふくしまアヤの推しアートをご紹介。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年6月号掲載)
言葉では言い表せない魂が動かされるもの
ファッションスタイリストとして活躍するふくしまアヤは今年1月、代官山に「ART Is. gallery」をオープンした。彼女のギャラリーには自身の魂が動いた作品しかない。それは作品から見える圧倒的な純度と作為のない真っすぐなもの。その感覚はこれまで自身が見たパリコレのショーの衝撃と似ていると話す。今回語ってくれた2作品は、出合った数カ月後も脳裏に焼きついて忘れられなかったそう。
「藤村さんの作品には昨年のアートフェア東京で出合いました。作品を見た瞬間、足が止まって離れられなくなって。既製品が違う概念をつくり出していて、どこか温かくエモーショナル。当時彼に送ったメールを読み返したのですが、惹かれた理由を具体的に書いていなくて。それくらい衝撃的でした。もともとはシルバーの作品ですが、別注でゴールドを制作してもらいました。話し合っていくと『ふくしまさんと話していたら新しいものも作ってみたくなりました』と言ってくれたんです。
shikafucoの作品を見たときには、シャルル・フレジェ写真集『YOKAI NO SHIMA』が想起されたので、その思いを伝えるとその写真集にすごく興味を持ってくれて。あと彼女の持っている魂のスケールの大きさを感じ、ベッドボードの上や玄関に大きな作品を作るイメージが見えたんです。そこからこの作品のようなビッグピースのものをオマージュで制作してくださいました。私はアーティストと寄り添って今だけでなくその先にあるものも見たいなと思います。アートは魂でできているし、喜ばれるために生まれてきている。魂が震えるような作品に出合えたとき、また新しい人生が動き出すような気がします」
Photos:Ayako Masanaga Interview & Text:Sayaka Ito, Saki Shibata