現代アートの最高峰による画業の集大成「ゲルハルト・リヒター展」 | Numero TOKYO
Art / Feature

現代アートの最高峰による画業の集大成「ゲルハルト・リヒター展」

『エラ(903-1)』2007年 作家蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)
『エラ(903-1)』2007年 作家蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)

生誕90年、泣く子も黙る現代アートの最重要画家、ゲルハルト・リヒター。写真と絵画、具象と抽象、描くこと/見ること——。その極限の境地から、果たして何が浮かび上がるのか。リヒター芸術の到達点を体感する展覧会。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年7・8月合併号掲載)

『4900の色彩(901)』2007年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)
『4900の色彩(901)』2007年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)

ゲルハルト・リヒター、1932年生まれ。“現代で最も重要な画家”として、偉大な輝きを放ち続けるドイツの巨星。その名前にはどこか、深く謎めいた印象が感じられる。油彩、写真、ガラス、鏡……作品に用いられる素材や表現手法が多岐にわたること。「絵画とは何か」という問いを、見る者へそのまま突き付けること──。

『1998年2月14日』1998年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)
『1998年2月14日』1998年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)

『モーターボート(第1ヴァージョン)(79a)』1965年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)
『モーターボート(第1ヴァージョン)(79a)』1965年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)

例えば、写真を忠実に描くことで現実とイメージの関係を考えさせるフォト・ペインティング。写真と絵の具、具象と抽象を対置するオイル・オン・フォト。絵の具を塗っては削ることで生み出されるアブストラクト・ペインティング。

『ビルケナウ(937-2)』2014年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)
『ビルケナウ(937-2)』2014年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 © Gerhard Richter 2022 (07062022)

なかでも『ビルケナウ』は、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で隠し撮りされた写真のイメージに絵の具を重ねた絵画4点で構成され、リヒターの到達点とも称される作品だ。

本展はこの『ビルケナウ』をはじめ、初期作品から最新ドローイングまで約110点が一堂に会する、日本の美術館では16年ぶりの大型個展。イメージを想起し、絵を描き、そこに何かを見いだすこと——リヒターの深遠なる問いかけが、絵画という無限の奥行きへと私たちを手招きする。

ゲルハルト・リヒター ポートレイト Photo: Dietmar Elger, courtesy of the Gerhard Richter Archive Dresden © Gerhard Richter 2022 (07062022)
ゲルハルト・リヒター ポートレイト Photo: Dietmar Elger, courtesy of the Gerhard Richter Archive Dresden © Gerhard Richter 2022 (07062022)

「ゲルハルト・リヒター展」
会期/2022年6月7日(火)〜10月2日(日)
会場/東京国立近代美術館
住所/東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://richter.exhibit.jp/
※最新情報は上記サイトを参照のこと

Edit & Text : Keita Fukasawa

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