ブレイク間違いなしのいち押しアーティストたち【5】葵 | Numero TOKYO
Culture / Feature

ブレイク間違いなしのいち押しアーティストたち【5】葵

米原康正が太鼓判を押す7人のアーティストにインタビュー。 いま最も勢いのある彼女たちの作品とともにそこに込めた想いや、これからの展望について聞いた。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』3月号掲載)

「突き刺さるぐらいの青春。彼女の写真には、なぜ写真を撮るのかっていう初期衝動が残っているからエモいんだよね。高校を卒業してもそれは失われなくて、青春っていいなあ!っていう感じが相変わらず撮れていてすごい」by 米原康正

「青」で表現する、突き刺さるほどの青春

福岡県北九州市主催の写真展「#放課後ダッシュ」より
福岡県北九州市主催の写真展「#放課後ダッシュ」より

写真はコミュニケーション

──いつから写真を撮り始めましたか。

「高1の頃です。当初はスマホで友達やプールを撮っていて、SNSのフィルターや色温度で青っぽく編集するのにハマりました。そんななか、フィルムカメラの写真を載せた投稿を見て、その写真に漂う空気感に惹かれ、中古のカメラを買って持ち歩くように」

──それが大きな転機になるのですね。

「そうです。高2の頃にインスタで作品専用アカウントを開設。それを機に同世代のカメラ友達とつながり、ウェブメディアで写真入りコラムを書き始めました。人を撮るのが好きで、何よりカメラを介してコミュニケーションを取るのが楽しいんです」

──葵さんの作品に写る人々はみな、繕わない、自然体の表情が印象的です。

「素の表情を撮りたいと思っています。もう一つの作風の軸は青色。昔から何かを買うときには青色のものを選び、今も服装からインテリアまで青尽くし(笑)。米原さんに『風景も撮ってみたら?』と助言をもらい、青が印象的な景色も撮るようになりました」

福岡県北九州市主催の写真展「#放課後ダッシュ」より
福岡県北九州市主催の写真展「#放課後ダッシュ」より

──作品のインスピレーションの源は?

「強いて言えば日常で目にしたものや友達との会話かな。散歩も好き。毎日通っている道も季節や天気、歩いている人により全く違って見えます」

──葵さん、根っからの写真家ですね。
「でも実は、写真一本で生計を立てようと考えたことはなくて。今は広告やクリエイティブの仕事もしていて、発信という共通項があるので、写真家としての活動といい相互作用が起こるといいなと。写真家としては、写真を通して今後より多くの人に会いたいし、知らない景色にもたくさん出合いたいと思っています」

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Interview & Text:Nao Kadokami

Profile

Aoi 2001年、埼玉県生まれ。19年に米原康正企画のグループ展に参加。以後、アパレルブランドをはじめ大手企業の広告やPVなどを手がける。21年11月、福岡県北九州市が日中韓の文化交流を目的に開催した公募型写真展「#放課後ダッシュ」にゲストフォトグラファーとして参加した。写真集『drop』(Kohan Design Office)発売中。
Twitter:@aoii6327
Instagram:@aoii6327

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