堀清英 写真展「RED」@シャネル・ネクサス・ホール | Numero TOKYO
Art / Feature

堀清英 写真展「RED」@シャネル・ネクサス・ホール

今回初公開となるシリーズ「RED」より。 ©︎Kiyohide Hori
今回初公開となるシリーズ「RED」より。 ©︎Kiyohide Hori

一言で景色を一変させる詩のように、その一枚に込められた写真の力を何と呼べばいいのだろう。自らを見つめ、まだ見ぬ情景を写し出す堀清英。その思索をたどる展覧会が、シャネル・ネクサス・ホールで幕を開ける。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年3月号掲載)

デニス・ホッパーのポートレイト。 ©︎Kiyohide Hori
デニス・ホッパーのポートレイト。 ©︎Kiyohide Hori

ブレーキの壊れたダンプカーのように、欲望へとひた走る物質社会。その息苦しさを、ビートニクの詩人アレン・ギンズバーグは代表作『HOWL(吠える)』(1955年)の冒頭でこう表現している。「僕は見た 狂気によって破壊された僕の世代の最良の精神たちを……」(※)。それから半世紀以上。この一節が、東日本大震災の惨状を前にした一人の写真家の心を激しく揺さぶった。高校生の頃に『HOWL』と出合い、その後、写真を学ぶために渡ったニューヨークでギンズバーグと交流。97年に帰国してからは、人物ポートレイトを中心に雑誌や広告の撮影を手がける傍ら、作品制作に取り組んできた。

過去のセルフワーク作品より。 ©︎Kiyohide Hori
過去のセルフワーク作品より。 ©︎Kiyohide Hori

東日本大震災後に制作されたシリーズ「re;HOWL」より。 ©︎Kiyohide Hori
東日本大震災後に制作されたシリーズ「re;HOWL」より。 ©︎Kiyohide Hori

シュルレアリスムの影響を感じさせるオブジェの組み合わせや、あの一節に対するアンサーともいうべき「re;HOWL」シリーズ。近年は「“自分”とは何者か?」という問いを、赤いワンピース姿の女性を配した「RED」シリーズに投影している。

「RED」より。 ©︎Kiyohide Hori
「RED」より。 ©︎Kiyohide Hori

かたや、言葉を武器に人間のあるべき姿を見つめた伝説の詩人。そして、カメラを手に「サイコロの眼のように偶発的に導かれたピクチャーポエム」を表現し続ける堀清英。約30年に及ぶ自己探求の軌跡から浮かび上がるものとは、何だろうか。写真たちの発する声に、心の耳を傾けてみよう。

※出典:アレン・ギンズバーグ『吠える』(諏訪優訳編『増補改訂版ギンズバーグ詩集』思潮社刊 初出『Allen Ginsberg, Howl and Other Poems』1956年)

堀清英 写真展「RED」

会期/2022年1月19日(水)〜2月20日(日) 
会場/シャネル・ネクサス・ホール
住所/東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
TEL/03-6386-3071
https://nexushall.chanel.com/
最新情報は上記サイトを参照のこと

Edit & Text : Keita Fukasawa

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