とんだ林蘭が行く、めくるめくサンリオの世界。60周年記念展をレポート | Numero TOKYO
Culture / Feature

とんだ林蘭が行く、めくるめくサンリオの世界。60周年記念展をレポート

数々の愛らしいキャラクターで、子どもから大人まで世界中の人の心を掴んできたサンリオが60周年を迎えた。その歴史を紐解き、日本が生んだ「カワイイ文化」の成り立ちを追う展覧会「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」が六本木の東京シティビューにて開催中。クリエイターとして活躍するとんだ林蘭が、見どころをレポートする。

巨大なぬいぐるみタワーのアートがお出迎え

会場に着いて真っ先に目に入るのは、サンリオキャラクターのぬいぐるみが天井に届きそうなほど積み重なったオブジェ。“原宿KAWAII”カルチャーの第一人者として知られる増田セバスチャンによるアート作品で、その名も「Unforgettable Tower」を展示している。 誰の思い出にもあるはずのサンリオキャラ。懐かしい気持ちや愛しい気持ちが不確かなバランスで成り立っている“記憶の積み重なり”を表現したもの。ハローキティにマイメロディ、シナモロール……約4,000個以上ものぬいぐるみについ見入ってしまう。 「こんな大きなアートをいつか作ってみたいですね」と、とんだ林蘭。お気に入りキャラ、けろけろけろっぴのぬいぐるみも発見! 大きな窓からは東京タワーが臨め、夜は夜景も楽しめる。

貴重な資料がずらり! オリジナルキャラが誕生するまで

今ではおなじみとなったハローキティなどのキャラクターがまだ生まれる前のこと。サンリオ創業時はいちごモチーフの日用品や、水森亜土、内藤ルネなど人気イラストレーターの絵を使ったアイテムを展開していた。オリジナルキャラクターが誕生するまでの歩みを貴重な品々とともに辿ることができる。

当初からサンリオが大切にしていたのが「カワイイ」という感覚。子犬や子供を見てカワイイと思う感性は性別や世代を超えて万国共通で、人をやさしい気持ちにすると考え、デザインの核に置いた。まさに、カワイイ文化の萌芽ともいえる。

シュールでウィットのきいた世界観を得意とするとんだ林蘭。「カワイイ」という感覚については、「一般的な“カワイイ”とは違うものを作り出すことが多いと思いますが、自分の作品を別にして考えるとカワイイもの好きだと思います」と話す。

他にも、詩集や漫画雑誌などサンリオの出版物を展示するコーナーも。キャラクターデザインのみに留まらない、サンリオの多岐にわたる活動を知ることができる。

懐かしのキャラから人気者まで、お宝グッズが盛りだくさん

60年間に450以上ものキャラクターを世に送り出してきたサンリオ。その中から厳選したキャラクターたちを紹介し、グッズも数多くディスプレイ。なんと、本展ではサンリオ史上最多となる800点以上のキャラクター商品や資料を展示している。

その昔好きだったという、思い出のポムポムプリンも。

「これ持ってました!」と感動の再会を果たしたのは、マロンクリームのレターセット。あなたも愛用していたアイテムに出合えるかも!? 思わず「懐かしい〜」と声に出してしまうこと必至。

文房具から家電まで種類豊富なグッズの数々に、「アーティストのライブグッズを製作している人にもヒントになりそうですね」とクリエイター目線のコメントも。ちなみに、自身が作ってみたいグッズは電話だそう。

サンリオを語る上で避けられないのが「いちご新聞」。サンリオの機関紙として1975年に創刊された。ファン同士の交流の場としても機能し、SNSの先駆けともいえる役割を担っていたことも。バックナンバーの表紙が壁一面に並んだ光景は圧巻!

もちろん、キャラクター界の頂点に君臨する永遠のアイコン、ハローキティも外せない。その時代のトレンドが反映された年代ごとのグッズや、レディー・ガガが着用し話題となったドレスの再現も展示し、ファンにはたまらない空間になっている。

キティちゃんにも遭遇!
キティちゃんにも遭遇!

アーティストが表現する独創的なサンリオの世界

本展のためにさまざまな分野で活躍するアーティストが、サンリオをテーマにした作品を創作。映像作品から彫刻、切り絵まで、それぞれの解釈による自由な表現を鑑賞することができる。

「脱皮するキティ」と名付けられた木材と金属を組み合わせた森貴也による作品や、動物の肖像彫刻を制作するアーティスト、はしもとみおが手がけたアルパカとサンリオキャラのコラボレーションも。

サンリオ60年の歴史を膨大な数の資料とともに知ることができる、見ごたえたっぷりな展覧会。「懐かしいものもたくさんあって、それだけでもとても楽しかったです。いろいろなことにチャレンジしているサンリオの一面も知ることができました。また、“カワイイ”と思うものを優先して作っていたり、あったらいいなというものを作ってしまうんだ、という発見もあってクリエイティブなところにもインスパイアされました」と、大いに刺激を受けた様子。

懐かしさあり、新しい発見あり。いつの時代も私たちを癒し、進化し続けるサンリオワールドへ迷い込んでみて。

サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史
会期/2021年9月17日(木)〜2022年1月10日(月・祝)
場所/東京シティビュー
住所/東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F
開館時間/10:00~21:00(最終入館20:30)
※情勢により営業時間が変更となる場合や休業となる可能性あり。
URL/www.tokyocityview.com/sanrio-museum-ex/

※撮影時のみマスクを外しております。

Photos: Ayako Masunaga Edit & Text: Yukiko Shinto

Profile

とんだ林蘭Ran Tondabayashi コラージュ、イラスト、ぺインティング、立体、映像など、さまざまな手法で独特の世界観を作り上げるアーティスト。あいみょんをはじめとするミュージシャンのMVやビジュアルのディレクションからブランドとのコラボレーションまで幅広く活躍中。お気に入りのサンリオキャラは、「みんなのたあ坊」と「けろけろけろっぴ」。

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