Art / Feature
アートになったロゴ【3】中村政人
製品からメディアまで、さまざまな場面で輝くロゴ。一方、アート作品は“ここだけ”の限定性が価値になる。でも時にはアートがロゴ化、ロゴがアート化することも。アート/ロゴの境界を超えた、象徴的な作品たち。vol.3は中村政人。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年10月号掲載)
2001年「第49回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」日本館での展示風景。 ®McDonald's Corporation Courtesy of Masato Nakamura (Photo: Masato Nakamura)
中村政人
『QSC+mV』
コンビニエンスストア各社のサインボードを忠実に再現して作品化するなど「アートでなければ成立し得ない構造や美しさ」を追求してきた中村政人。2001年のヴェネチア・ビエンナーレで話題を集めた『QSC+mV』は、マクドナルド社のロゴマークを用いたインスタレーションだ。世界中の誰もが本作を見て同社を思い浮かべる一方で「美しい」と感じるはず。「これはアートだ」と思いながら見ると、ただの記号でなくなるから不思議だ。
Text : Akane Naniwa Edit : Keita Fukasawa
Profile
中村政人Masato Nakamura
1963年、秋田県生まれ。「アート×コミュニティ×産業」の新たなつながりを生み出す取り組みをはじめ、社会派アーティストとして知られる。自身が統括ディレクターを務めるアーツ千代田 3331(東京・外神田)での活動のほか、この夏に初開催された「東京ビエンナーレ」(都内各所にて9月5日まで)の総合ディレクターなど、地域コミュニティに新しい場をつくり出すアートプロジェクトを多数展開する。