Culture / Feature

ゾクゾクが止まらない……! この秋観ておくべきホラー&スリラー映画

この秋にかけて、良質なホラー・スリラー作品が目白押し! スリラーの名匠による待望の最新作から大ヒットシリーズの続編、日本初公開の衝撃作品まで、押さえておきたい映画の見どころを奥浜レイラが案内する。

© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
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美しいビーチに隠された恐ろしい秘密とは
『オールド』

最近は、老いや認知症を扱った映画が次々に誕生している。その語り口も豊富で、ホラーやスリラーの仕掛けを使い「老いて変化すること」への漠然とした不安を炙り出す名作が、この夏から秋にかけていくつか公開。スリラー映画の名手M.ナイト・シャマラン監督の新作『オールド』もそのひとつで、時間が異常なスピードで進み身体が急速に年老いていくという謎のビーチを訪れた複数の家族が体験する極限状態を、謎解きを交えて描く。

© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
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シャマランが娘たちから贈られたというグラフィックノベルを基に、サバイバルもの、ヒューマン・ドラマ、社会風刺などをミックスしシャマラン節が炸裂する。本作はどうしても映画館で観てもらいたい。本作のトリックに気がついた時、その理由が分かりさらにゾッとするはずだから。

『オールド』
監督・脚本/M.ナイト・シャマラン
出演/ガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、アレックス・ウルフ、トーマシン・マッケンジーほか
配給/東宝東和
全国公開中
https://old-movie.jp/

©︎ 2019 Carver Films Pty Ltd and Screen Australia
©︎ 2019 Carver Films Pty Ltd and Screen Australia

変わり果てた祖母の身に何が!? 3世代を襲う恐怖
『レリック-遺物-』

アンソニー・ホプキンスが主演した『ファーザー』は、認知症の当事者が迷い込む現実と幻想の境界が曖昧な世界を観客が追体験するサスペンスフルな映画だった。この『レリック-遺物-』は認知症によって祖母が変わっていく不安を、家族の視点で巧みに描いたホラー。森の中の一軒家で単身暮らす祖母エドナが失踪。娘と孫が急行するが、家中にエドナが認知症で苦しんでいた痕跡が。突然エドナが帰宅するのだが、その様子は別人に変貌したようだった……。

©︎ 2019 Carver Films Pty Ltd and Screen Australia
©︎ 2019 Carver Films Pty Ltd and Screen Australia

女性3世代の家族のドラマにスリラーが流れ込んでくる設計が絶妙。日系オーストラリア人の監督ナタリー・エリカ・ジェームズの長編デビュー作で、俳優ジェイク・ギレンホールがプロデュースに名を連ねている。

『レリック-遺物-』
監督/ナタリー・エリカ・ジェームズ
出演/エミリー・モーティマー、ロビン・ネヴィン、ベラ・ヒースコート
配給/トランスフォーマー
シネマート新宿ほか全国公開中
transformer.co.jp/m/relic

©2020 George A. Romero Foundation, All Rights Reserved.
©2020 George A. Romero Foundation, All Rights Reserved.

ホラーの巨匠が遺した幻の問題作が日本上陸
『アミューズメント・パーク』

『アミューズメント・パーク』はモダン・ゾンビの生みの親である故ジョージ・A・ロメロが、ルーテル教会に依頼されて1973年に監督した中篇映画。もともと「ストップ!高齢者差別!」という啓蒙の意図で作られたのだが、主人公の老人への目を背けたくなるほど悲惨な虐待シーンや、ストレートな社会風刺に危険を感じた依頼主が上映を拒否しお蔵入りに。2017年に16mmフィルムが発見され、この度4Kで修復。製作から48年経って、いよいよ日本初公開となる。

©2020 George A. Romero Foundation, All Rights Reserved.
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本来の意味でのホラー映画ではないけれど、エイジズムという題材やその描き方はまさに恐怖映画。遊園地を社会の縮図として、老いて感じる孤独や脱落感まで描き出し、上映時間53分とは思えないほどの大きなインパクト。

『アミューズメント・パーク』
監督/ジョージ・A・ロメロ
出演/リンカーン・マーゼル
配給/ビーズインターナショナル
2021年10月15日(金)より、シネマカリテほか全国順次ロードショー
http://garomero.com/

最強の盲目老人が再び! 全く新しい続編が誕生
『ドント・ブリーズ2』

続編やシリーズものも充実している。2016年の『ドント・ブリーズ』は、デトロイトの貧しい街に暮らす若者たちと、視覚障害をもつ孤独な老人の死闘を描いたスリラー。大金が隠されていると噂される老人の一軒家への強盗を企てた3人の男女。常習犯の彼らには簡単な“ミッション”だと思えたが、待ち構えたのは超人的な聴覚の退役軍人の老人だった……。ハンディキャップがひっくり返る設定のおもしろさ、悪夢のような脱出ゲームの先にトリオが見つけてしまった真実という驚愕な展開が口コミで広がりロングランヒットとなった。続く『ドント・ブリーズ2』では、事件から8年後を描く。

老人は1人の少女を育てながら静かに暮らしていた。あれ?少女?前作を観た方なら設定の時点でゾクっとするかも。脱出劇をハラハラしながら見守った1作目、今作では老人を応援したくなる瞬間も。前作とは一味違うアイディアに、劇場で息を潜めて驚いてほしい。

『ドント・ブリーズ2』
監督/ロド・サヤゲス
出演/スティーヴン・ラング/ブレンダン・セクストン3世/マデリン・グレース
配給/アスミック・エース
全国公開中
www.donburi-movie.jp/

©2020 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.
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ジグソウを凌駕する猟奇犯現る!?
『スパイラル:ソウ オールリセット』

2000年代を代表する殺人鬼といえば、『ソウ』シリーズのジグソウ。“参加者”に理不尽に殺人ゲームを持ちかける猟奇的なスタイルは他作品でも流用され、スリラー映画の新たな潮流を作った。1作目から17年。過去の8作をアップデートし、リセットした新章となるのが『スパイラル:ソウ オールリセット』。

©2020 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.
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今作のターゲットは警察官のみ。冒頭から「自分で舌を抜く」or「地下鉄と正面衝突」の二択を迫るなど、ジグソウの血を継ぐ仕掛け人の残虐さに慄くが、ビギナーを置いていかない親切設計で物語が進む。シリーズのファンとして製作総指揮にもラインナップする主演のクリス・ロックは世界的なコメディアン。彼の父親役サミュエル・L・ジャクソンとの話芸対決も影響して、これまでとはトーンもリズムも変化するが相変わらず痛くて身震いする。

『スパイラル:ソウ オールリセット』
監督/ダーレン・リン・バウズマン
出演/クリス・ロック、マックス・ミンゲラ、マリソル・ニコルズ / サミュエル・L・ジャクソン
配給/アスミック・エース
2021年9月10日(金)全国ロードショー
https://spiral.asmik-ace.co.jp/

© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

実話を基にした、ファン待望の最新作!
『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』

ホラーファンから人気の高い『死霊館』ユニバースは、実在する神霊研究家エド&ロレイン・ウォーレン夫妻の実体験を基に恐怖体験をリアルに描き、熱いファンを増やし続けている。待望の最新作『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』では、1981年に家主を22度刺して殺害した青年が悪魔に取り憑かれていたことを理由に無罪を主張したという、全米を震撼させた実際の事件を映画化。

© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
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本ユニバースの生みの親ジェイムズ・ワン製作のもと、『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』やビリー・アイリッシュ『bury a friend』でホラーがかったMVを撮ったマイケル・チャベスが監督。カメラワークと沈黙演出の妙技でしっかり怖いうえ、「来るぞ」と思ったら別のところで飛び上がったり予測ができない展開に緊張が続く。これまで描いてこなかった“あれ”にも踏み込んで、新しいフェーズに。死霊館シリーズはエンドロールも戦慄するので最後までご注意を。

『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』
監督/マイケル・チャベス
出演/パトリック・ウィルソン、ベラ・ファーミガ、ルアイリ・オコナー、サラ・キャサリン・フック、ジュリアン・ヒリアード
配給/ワーナー・ブラザース映画
2021年10月1日(金)全国公開
wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukan-muzai/

Text: Layla Okuhama Edit: Yukiko Shinto

Profile

奥浜レイラLayla Okuhama MC、ライター。1984年、神奈川県生まれ。東京国際映画祭をはじめとした映画の舞台挨拶の司会や音楽番組などのMCとして活躍。ライブのレポートやディスクレビューなどを手がける音楽ライターでもある。Podcast番組『奥浜レイラの洋楽ハッスル』出演、雑誌『GINZA』などへの寄稿も。

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