北海道の「青」に染まる2泊3日旅 リゾートで支笏湖ブルー編 | Numero TOKYO
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北海道の「青」に染まる2泊3日旅 リゾートで支笏湖ブルー編

夏の北の大地は、力強い色に溢れます。中でも、この時期の“青”は特別! 深く澄んだ青のグラデーション、木々の緑が移りこんだ青……。北海道の短い夏の輝きが、青の中に凝縮されているよう。“支笏湖ブルー”に癒されるリゾートステイ、“積丹ブルー”をSUPやグランピングでアクティブに満喫。どちらも札幌から2時間圏内です。まずは支笏湖ブルーから旅を始めましょう。

Part1:リゾートしながら支笏湖ブルーを堪能

新千歳空港から車で約40分、札幌から1時間ちょっと。都市からアクセスしやすいロケーションながら、支笏洞爺国立公園の雄大な自然が広がる支笏湖。

4万6000万年前の火山活動によって、風不死岳(ふっぷしだけ)、恵庭岳(えにわだけ)、プリンのような形をした樽前山(たるまえさん)などの外輪山が誕生。やがて現在のひょうたん形のカルデラ湖が形成されました。

支笏湖の特徴は、水深360メートルを超える全国2位の深さ。そして、透明度は20メートル以上を誇り、最大では30.7メートルを記録したことも。環境省の湖沼の水質調査では2017年まで11年連続で日本一の座に君臨していました。

この美しい湖水は、“支笏湖ブルー”と呼ばれています。

濃く、澄んだブルーの湖面が広がり、水際ではミズナラやイタヤカエデの木々の緑が反射してグリーンがかっても見えます。また、支笏湖に流れ込む、エメラルドグリーンの千歳川の美しさも心洗われるよう。

豊かな大地とアイヌの文化を伝承するリゾートにステイ

支笏湖の拠点となるのが、湖畔の温泉街。“温泉街”といっても、“湯煙立ち上る”というよりも、国立公園の中にあるため、自然豊かな環境です。

今回、支笏湖ブルーを愛でるために選んだのは、道内に13軒の温泉旅館などを展開する鶴雅グループのリゾート。北海道ならではの豊かな自然とアイヌの歴史や文化など、北の大地の魅力を伝えるリゾートブランドです。

支笏湖には「しこつ湖 鶴雅リゾートスパ 水の謌(うた)」(以下、水の謌)と「しこつ湖 鶴雅別荘 碧の座」(以下、碧の座)の2軒があります。どちらも国立公園内ゆえに建築基準が厳しく、4階までの低層階。そのせいか、ゆったりとしたくつろぎとリゾート感もたっぷり。

2軒のリゾート、それぞれタイプが異なるので、旅の同行者や好みによってチョイスできます。

「水の謌」で、ヘルシーに支笏湖ブルーを

しこつ湖 鶴雅リゾートスパ 水の謌は、命の源である“水”に着目。“美肌の湯”と呼ばれる温泉やヘルシーな食事、深く心地よい眠り、アクティビティなど、ホリスティックに健康と美が追求できるリゾートです。ちなみに、“謌”には“祈り”という意味があるそうです。

水琴窟の涼やかな音が響くエントランスから、千歳川をイメージした、緩やかなカーブの回廊へ。そして彫刻家・瀧口政満氏のオブジェに迎えられ、館内へ。

ここで、靴を脱ぎます。“靴を預ける”そのちょっとした行為で、リゾートにいながら旅館のようなくつろぎが味わえるから不思議です。

ゲストラウンジ「アペソ(アイヌ語で“囲炉裏”の意味)」で目を引くのは、巨大な暖炉。その周辺には心地よさそうなソファやライブラリー、高音質のスピーカーなどがあり、滞在中に何かと立ち寄る場所となりそう。夕方になると暖炉の脇に用意される焼きマシュマロや、日に数回開催されるハープの演奏会など、訪れるたびに何か、お楽しみが待っています。

ゆったりとした露天風呂付きの客室で温泉三昧

客室は7タイプ53室。憧れはやっぱり、露天風呂付きのタイプ!

ハイエンドの「露天風呂付特別室」は広さ114平方メートル。一画にキッチンのあるダイニング、畳エリア、ベッドルーム、バスルームからなり、レジデンシャル的な居心地の良さがあります。

注目したいのは、バスルーム。窓から緑の息吹が届き、お風呂の合間のブレイクにちょうどいいチェアも用意。アメニティは爽やかな香りのホテルオリジナルです。そして湯上りにはふかふかの“特別タオル”。至福のバスタイムが過ごせます。

特別室にはマッサージチェアが設置され、冷蔵庫内のハスカップワインやビールは無料など、メリット付き。また、特別室では「料理茶屋 天の謌」のお料理を部屋に運んでもらうこともOKです。

「露天風呂付和洋室」という部屋タイプも、“ごほうび女子旅”におすすめ。パウダールーム、ベッドルーム、リビングが横並びに配置され、屋根付きのテラスに露天風呂があります。

Tsuruga Group
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この2タイプのスペシャルな客室では、ウェルカムスイーツに併設の「パティシエ・ラボ」で人気の「きみまるプリン」と焼き菓子を用意。美味です♡

美肌の湯でリラックス? 湖畔をe-バイクでアクティブに?

水の謌の温泉「しこつ美湯」は、“美肌の湯”と呼ばれる炭酸水素塩泉。表皮についた脂肪や分泌物を洗い流し、肌をすべすべにしてくれる効果が期待できます。

大浴場にはジャクジーや寝湯、立湯、露天風呂など、バリエーション豊かに湯殿をラインナップ。女性用にはアロマミストサウナ、男性用には遠赤外線サウナも用意されています。

さらに中庭には足湯のコーナーがあり、こちらは誰でも緑の息吹に包まれながら温浴が楽しめます。

また、アクティブに過ごすなら、湖畔を電動アシスト付き自転車のe-バイクでサイクリングがおすすめです。見上げる角度によって外輪山や湖の印象が変わり、風を切って、カラダを動かす気持ちよさも格別です。

北の大地と海が育んだ食で、カラダの中からヘルシーに!

健康と美を追求する水の謌では、食は大切な要素。レストランは料理茶屋「天の謌」とヘルシービュッフェ「アマム」の2カ所があります。

料理茶屋「天の謌」では、北の大地と海が育んだ旬の食材を和の膳で。思わず「わぁ!」と声をあげてしまったのは、天の謌名物「七宝野菜十六味取り合わせ」。

Tsuruga Group
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ナスの瑠璃煮、焼きシイタケの白和え、あぶったソラマメ、ペコロスの白煮、チーズを乗せてあぶった枝豆など、一皿の上にプチフールのように愛らしく、野菜のお料理が並んでいます。16種類も異なる野菜が楽しめ、見た目も楽しく、まさに匠の技です!

焼き物のかみふらの和牛、釧路産のきんきの酒蒸し鍋など、北海道ならではの新鮮な食材をひとつひとつ吟味し、仕込みから手間ひまを惜しまず丁寧に仕上げた料理が、ストーリー性のあるコースでいただけます。季節やその日の仕入れによって、お料理の内容は変わるので、訪れるたびに食の楽しみが広がります。

もうひとつの、ヘルシービュッフェ「アマム」は野菜たっぷりのメニューがずらりと並びます。素材の持ち味を生かし、シンプルな調理が特徴。パティシエが作る、種類豊富なこだわりのスイーツには、別腹が発動です!

Tsuruga Group
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しこつ湖 鶴雅リゾートスパ 水の謌
住所/北海道千歳市支笏湖温泉
TEL/0123-25-2211
URL/www.mizunouta.com/

レイクビューの「碧の座」でプレミアムな休日を

2019年5月に開業し、「座」シリーズの中でも最高峰を極める「しこつ湖 鶴雅別荘 碧の座」。全25の客室すべて、ラグジュアリースイートで、プライベートスパ(露天風呂)をしつらえたレイクビュー。なんて、贅沢!

アプローチからドラマティックです。
回廊を渡り、2つの扉が開くと、目の前には高さ8メートルのロビー空間が広がります。左官職人の久住章氏による地層をモチーフにした“積層壁”は、1万5000個ものシジミや本物の土を使用。縄文文化からアイヌ文化、そして現代へとつながる時の流れを表現しています。

支笏湖は日本最北最大の縄文文化遺跡“キウス周堤墓群”の地。縄文文化のモチーフやアイヌ文化など、館内の随所でご当地ゆかりのアートが目を楽しませてくれます。

ワンランク上のオールインクルーシブ

宿泊費に飲食が含まれるオールインクルーシブは、出費を気にすることのないストレスフリーな滞在スタイル。碧の座では、飲食のクオリティをアップし、さらにスペシャルなサービスを用意して、あの手この手でゲストをもてなします。

まずは新千歳空港からは送迎付き。ウェルカムサービスは、英国王室御用達のシャンパン「ジョセフ・ペリエ キュヴェ・ロワイヤル ブリュット」をフルボトルと、チョコレートやフルーツもあわせてサーブ。

レストランの本格的なコース料理はもちろん、バーのアルコール(一部有料)も含まれます。朝食後のラウンジではサイフォンで入れたコーヒーを、夕暮れにはピロティーラウンジでシャンパンをフリーフローで。おやすみ前にはお夜食サービスもあります。

カルチャーラウンジでは、ハンカチやTシャツの藍染め体験、アイヌ民族衣装ロケーションフォト、日本茶のお点前体験なども無料です。

レストランは水庭を望む料理屋[水白/みずしろ]と鉄板焼きの[青翠/せいすい]。

水白では素材の持ち味を大切にした料理を個室でサーブします。写真は、道内以外ではほぼ流通しない、あっさりとした脂にしっかりとした赤身の三石牛のロースト。そして噴火湾産の毛ガニのとも和えやヒメマスのスモークなどの前菜「しこつの森」。一品ずつ、コースディナーでサーブされます。もちろん、これは一例。季節によって、その時の旬の味わいが楽しめます

鉄板焼きは好みの食材をその場でカットして焼き上げる、まるで寿司カウンターのようなスタイルです。

まるでオープンリビング。レイクビューのテラスで温泉を

すべてに露天風呂付きの25のスイートのうち、憧れは「エグゼクティブスイートヴィラ」。2フロアにまたがるメゾネットで、広さは210平方メートル以上あります。

テラスには黒御影石の温泉露天風呂! さらにハンモックやソファ、デイベッドにハンギングチェア、ファイヤーピット(暖炉)など、居心地のいい家具や設備も置かれています。バスタイム以外にも、支笏湖や樽前山、風不死岳を愛でようと、テラスでの時間が長くなりそう。

わたし的に気になったのは、「スイートスカイリゾート」。サンルームのようなテラスがあり、そこからのビューが圧巻です。

ちなみに、どの部屋タイプでも客室内のミニバーやルームサービスも無料です。

リゾートでリラックスして眺める支笏湖ブルーは穏やかに、じんわりと心に染み入ります。

しこつ湖 鶴雅別荘 碧の座
住所/北海道千歳市支笏湖温泉
TEL/0123-25-6006(9:00~20:00)
URL/www.aonoza.com/

Photos & Text: Chieko Koseki

Profile

古関千恵子Chieko Koseki 旅行ライター。リゾートやエコ、ダイビングなど、国内外のビーチにフォーカスして寄稿。ここ最近は国内のビーチの美しさを再発見し、全国津々浦々を探訪中。目指すは伊能忠敬!? Instagram: @chieko_koseki

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