「新・晴れた日 篠山紀信」
「撮りに行く、っていうときに僕の気持ちは(中略)晴れているんですよ」※ ──本展に臨む篠山紀信の言葉。彼はいかにして“時代の創造者”になったのか。撮りも撮ったり60年。その軌跡を総覧する、初の大回顧展を目撃せよ!(※本展インタビューより抜粋。会場で映像を限定公開)(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年7・8月合併号掲載)
巨匠・篠山紀信(1940年生まれ)。その活動は61年の大学在学中に始まり、“激写”という言葉を生み出した女性のポートレイトやヌード、紀行スナップ、建築まで、あらゆる分野に及ぶ。
小誌もまた2007年の創刊初期からメンズヌード、ビューティ、家族の肖像など、数々の作品を掲載する栄誉にあずかってきた。そんな彼の姿勢を象徴する一冊が、初期の傑作写真集『晴れた日』。雑誌『アサヒグラフ』の連載(74年)を中心に、オノ・ヨーコと一緒のジョン・レノン最後の姿をはじめ、社会に対する篠山の視点が凝縮されている。
本展はこの『晴れた日』を軸として、60年間の全容を一望する試みだ。最初期の代表作や、日本のアイドル文化を生み出した70年代『明星』の表紙の仕事などを紹介する第一部。そして昭和・平成・令和へと変貌を遂げる東京の姿や東日本大震災の痕跡、同時代を生きる人々の肖像からなる第二部。そのすべてに、小誌編集部も圧倒され続けてきた好奇心と熱量、人間の本質に迫る“写真の魔力”が宿っている。常々「写真の時代は終わった」と語る彼だが、その存在ある限り終わりはない。写すほどに時代をつくり出す、晴れ渡る眼差(まなざ)し──その遍(あまね)く照らす写真の軌跡を、ぜひ追体験してみよう。
「新・晴れた日 篠山紀信」
会期/~8月15日(日)
会場/東京都写真美術館
住所/東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
Tel/03-3280-0099
www.topmuseum.jp
※最新情報は公式サイトを参照のこと。
※記事中の写真1〜5の説明には、本展のために再構成したシリーズ名を記載。発表時と名称や年代が異なる場合あり
Edit & Text : Keita Fukasawa