PENTAGON、(G)I-DLE、スキズ… 進化系アイドル“作曲ドル”がすごい! 大人のためのK-POP入門(2) | Numero TOKYO
Culture / Feature

PENTAGON、(G)I-DLE、スキズ… 進化系アイドル“作曲ドル”がすごい! 大人のためのK-POP入門(2)

第三次韓流ブームと言われる現在。K-POPグループも数多く、どれから聴いたらいいのか迷ってしまう。そんな方に向けて、“アイドル”の概念を覆す、実力派K-POPグループをご紹介します。今回は、歌やダンス、さらに作詞作曲、振り付けまで、セルフプロデュースする進化系アイドルです。ナビゲーターは、韓国でミュージシャンとして活躍し、現在はラジオパーソナリティやK-POPの日本語ボーカルディレクションなどを手がける、NICE73(ナイスナナサン)です。

今特集にて、大人のためのK-POP沼へのガイド役を引き受けてくれたNICE73(ナイスナナサン)。
今特集にて、大人のためのK-POP沼へのガイド役を引き受けてくれたNICE73(ナイスナナサン)。

JO1にも曲を提供する“作曲ドル”集団「PENTAGON」

近年のK-POPといえば、ヒップホップやEDMの影響を強く受けており、ラップパートや歌詞をメンバーが手がけたり、「BIGBANG」や「BTS」「SEVENTEEN」をはじめ、メンバーが楽曲制作することも少なくありません。特に、「作曲家+アイドル」という意味の“作曲ドル”として有名なのが「PENTAGON」です。

PENTAGON JAPAN 1st Full Album『UNIVERSE : THE HISTORY』通常盤 ¥3,300
PENTAGON JAPAN 1st Full Album『UNIVERSE : THE HISTORY』通常盤 ¥3,300

2016年にデビューした「PENTAGON」は、日本人メンバー・ユウトを含む、韓国・中国・日本の9人組です。メンバー自身がセルフプロデュースをするグループなのですが、特にリーダーでありメインボーカルのフイは、他のグループにも曲を提供する“作曲ドル”の筆頭と言われています。彼は作家として「Wanna One(ワナワン)」(※1)の代表曲「Energetic」や、JO1(※2)の「OH-EH-OH」など、他グループの楽曲制作にも参加しており、フイがクレジットされている楽曲は、間違いなくいい曲です。

NICE73絶賛の1曲! Wanna One / Energetic

フイが作曲に参加 JO1 / OH-EH-OH

「PENTAGON」は、フイ以外のメンバーも多才で、メンバー全員が作詞作曲に関わっています。マンネライン(メンバーの中で年少組)のキノが作詞・作曲し、マンネのウソクと、作曲家のネイサンが参加した『TWENTY TWENTY』は、同名のウェブドラマの主題歌なのですが、これが本当に名曲で、音楽番組でこの曲のパフォーマンスがなかったのが残念なほどです。

マンネラインのキノが作曲 PENTAGON / TWENTY TWENTY

フイは今年2月に兵役に就いたのですが、3月に発表されたばかりの11枚目のミニアルバム『LOVE or TAKE』にも彼が手がけた楽曲が収められています。兵役前に勢力的に曲作りをしていたのは、契約に厳しい韓国で、「PENTAGON」というグループが存続するために、足固めしておくという意味もあったのかなと私は予想しています。

兵役直前のフイの姿も! PENTAGON / DO or NOT

作詞、作曲、振付をセルフプロデュースするガールズグループ「(G)I-DLE」

「PENTAGON」が所属する「CUBEエンターテインメント」は「BTOB」(前回参照)など、楽器が演奏できたり、楽曲制作できる多才なアイドルが多いのですが、中でも注目したいのが、韓国・中国・台湾・タイ出身の6人グループ「(G)I-DLE(ジー・アイドゥル)」です。

アジアンビューティなパフォーマンスも魅力 (G)I-DLE / HWAA(火花)

リーダーのソヨンは、デビュー曲『LATATA』からこれまでのほとんどの曲を作詞し、作曲・編曲・パフォーマンスのプロデュースも手がけています。他のグループやシンガーにも曲を提供しており、ガールズグループ「Apink」(※3)のキム・ナムジュのソロ作「Bird」をはじめ、「SHINee」のキーのソロアルバムのタイトル曲「I wanna Be」の作詞など、精力的に活動しています。ソヨン以外のメンバーも歌唱力が優れており、韓国の音楽番組で1位を獲得すると、番組の最後にアンコールで歌うのですが、そのときの生歌もほとんど音程が外れません。また、最新シングルの「HWAA」は、コード進行は華やかでもサビは平坦という今年のトレンドに沿った楽曲で、そこも注目です。

独特の世界観で、日本でも話題沸騰「Stray Kids」

Stray Kids 『ALL IN』 通常盤 ¥2,500
Stray Kids 『ALL IN』 通常盤 ¥2,500

「Stray Kids(ストレイ・キッズ / 通称スキズ)」は、個人的にも大好きなグループです。2018年にデビューした8人組で、バンチャン、チャンビン、ハンのラップライン「3RACHA」が曲を書いているんですが、曲の良さはもちろんのこと、歌詞がとにかくユニーク。彼らが韓国でブレイクした曲「神메뉴(God’s Menu)」では「これが俺らの鍋、鍋、鍋」というフレーズが出てきたり、その前の「Side Effects」では「頭痛い」という歌詞があったり、世界観が面白いんです。彼らは「TWICE」や「NiziU」のJYPエンターテインメント所属なのですが、デビュー時は、「TWICE」の弟分として、韓国より日本から注目されていました。

世界で2億回再生された大ヒット曲 Stray Kids / God’s menu

2020年の「神メニュー」で、「麻辣味アイドル」と呼ばれて、韓国でもブレイクしました。リーダーのバンチャンは、オーストラリア育ちで英語が堪能。V LIVE(※4)では、英語と韓国語、両方で配信しています。リーダーとしての器が大きく、彼の人柄も人気の秘密です。

2020年デビュー! 次世代作曲ドル「Weeekly」

環境問題をポップに仕上げた1曲 Weeekly / My Earth

2020年にデビューした7人組ガールズグループ「Weeekly(ウィークリー)」。各メンバーがそれぞれ担当の曜日があるというコンセプトのグループなのですが、水曜日担当のジユンは、絵も上手で英語も上手いという多彩なメンバーで、1stミニアルバム『We are』には彼女が作曲した『Weeekly Day』と『Reality』の2曲が収録されています。

「weee:kloud」EP.6 ジユンのレコーディングログ(英語字幕あり)

彼女たちが所属するのは「Apink」「VICTON」などの「Play Mエンターテインメント」という事務所なのですが、メンバーだから優遇されて曲が採用されたというわけではなく、事務所に80曲も提出して、そこから選ばれた2曲だそうです。事務所側も彼女を作家のひとりとして扱っているんですね。2ndミニアルバム『We can』では「My Earth」、3rdミニアルバム『WE PLAY』では「LUCKY」が収録されています。ジユンを含め「Weeekly(ウィークリー)」は全員がまだ10代。これからますますの活躍が期待されます。

Weeekly/ 3/17リリースのミニアルバム『We play』より「After School」

次回は、名前だけでも覚えておきたい、プロデューサーで聴くK-POP編です。

【注釈】

(※1)Wanna One……2017年の『PRODUCE101 Season2』で結成された期間限定の11人のボーイズグループ。2019年1月27日のラストコンサートで解散。メンバーのカン・ダニエル、パク・ジフン、キム・ジェファン、ハ・ソンウン、オン・ソンウ、ユン・ジソン、ライ・グァンリンはソロで活動。イ・デフィとパク・ウジンは「AB6IX」、ペ・ジンヨンは「CIX」へ移籍、ミンヒョンは「NU’EST」に復帰した。ちなみにこの『PRODUCE101 Season2』で使用された楽曲『Never』もフイとウソク、Flow Blow、Triple Hが手がけている。

(※2)JO1……2019年に放送された『PRODUCE101 JAPAN』で結成された11人ボーイズグループ。2020年3月に「PROTOSTAR」でデビュー。本誌には、2020年10月号に登場(リンク:https://numero.jp/movie-20200828-jo1/)。『Mnet Asia Music Awwards 2020』でベストニューアジアアーティスト賞受賞。2021年2月には、韓国の人気音楽番組『M COUNTDOWN』に出演し話題になった。

(※3)Apink……2011年にデビューした6人組ガールズグループ。日本で精力的に活動を行なっていた。2021年はデビュー10周年を迎え4月には新曲を発表予定。メンバーは現在、女優としてドラマや映画でも活躍しているが、グループとしても2020年に「Dumhdurum」がヒットするなど、以前、人気は衰えない。

(※4)V LIVE……ポータルサイト「NAVER」が運営する動画配信サービスアプリ。アイドルがそれぞれのチャンネルを持ち、素顔が感じられるトークライブや、有料コンテンツの「ファンシップ」やスペシャルライブ動画「VLIVE+」なども配信されている。K-POPファンには「Vラ」として親しまれている。

【特集】大人のためのK-POP入門 をもっと読む

Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Chiho Inoue

Profile

ナイスナナサンNICE73 中学生の頃より父の勧めで韓国語の勉強を始める。15歳の時から「2002年W杯自主応援歌」歌手として活動を始め、全国のサッカー競技場などを歌って回る。2005年、韓国での日本人の歌手デビューが珍しい中、ソロ歌手として韓国デビューを果たす。帰国後は、K-POPグループの日本語の訳詞、日本オリジナル楽曲の作詞、作曲、レコーディングボーカルディレクションなど、制作にも携わる。近年、韓国関連の各種イベントでMCや、テレビナレーション、ラジオ担当。現在、InterFM『casaricoto radio』(毎週日曜21:00〜21:30)パーソナリティ。「三々五々に、問う」名義でアーティストとしての作品制作ライブ活動を再開させ、活躍の場を広げている。YouTubeチャンネル『NICE73deSHOW』では、K-POPの歌い方講座や、カムバック情報も動画も配信中。今年の「KCON:TACT 3 COUNTDOWN WEEK JAPAN」にも登場! 3月17日(水)19:00より配信される「NICE73 × スクールゾーン はしものKPOPセッション!」は要チェック!

Magazine

JANUARY / FEBRUARY 2025 N°183

2024.11.28 発売

Future Vision

25年未来予報

オンライン書店で購入する