私たちのニューススタンダード file. 23 イラストレーター アダ・ダ・シルバ
私たちが直面した、いまだかつてない困難。コロナ禍で見つけた新しい価値観について、ファッション業界人に聞く連載シリーズ。 STAYHOME期間を経て手に入れた、それぞれの“ニュースタンダード”とは。第23回目は、iStock by Getty Images コントリビューターのアダ・ダ・シルバ。
──コロナ以前と比べて変化したことはありますか?
「実は今年渡豪する予定だったのですが、コロナの影響で延期せざるを得ませんでしたし、Black Lives Matterのムーブメントなども起こって、コロナ前と比べたら社会問題や差別問題に対する意識がより一層強くなった気がします。2020年はいろんな問題に根気強く向き合う大切さを教えてくれました。また、自粛期間を有意義に過ごせた一つに、REINGというクリエイティブスタジオが運営するREING Livingというコミュニティスペースのオンラインイベントに参加したのが大きいです」
「その中のPurple Screenという映画クラブは、ジェンダーやセクシュアリティにまつわる映画を2本紹介してくれて、毎週日曜日の夜に映画を観たみんなで集まって感想をディスカッションするんです。世の中はロックダウン中だったのですが、そこでたくさんの人と繋がれたり、Black Lives Matterなどの差別問題についての意見交換もできました。Purple Screenが自粛中のメンターでした。私自身もPurple Screenでキュレーションをさせてもらったり、そのご縁で今はREINGでインターンとしてイラストやデザインの活動をさせてもらっています」
──その他発信したいことがあれば、ぜひお聞かせください。
「これからはもっとイラストやデザインを通して多様性を発信する時代が来ると考えています。私自身プラスサイズモデルとして活動もしているのですが、写真で見るとインパクトが強いと感じてしまうプラスサイズモデルも、イラストで描くと可愛いと言われることが多いです。イラストで発信し続けることによって、将来的に多様性を意識したフォトビジュアルも使われやすくなる時代が来ると考えています。実際に今までGetty Imagesに投稿した作品の中でも、自分と同じ価値観を持った国内外のメディアなどに使用してもらっています。使う側も記事に合うイラストか写真かを選べるので、多様な人種や体型のイラストを描くことがこれからの将来に大切だと考えています。最近ではコロナが理由で、世界全体で人々の生活様式がどんどん変化していってます。だからこそ近未来を見据えて、人種や性差別の無いイラスト、またサスティナビリティを意識したデザイン制作をすることが、誰もが暮らしやすい社会を目指すために重要になってくるのではないかと考えています」
Edit: Yukiko Shinto, Nozomi Urushibara