秋を味わう珠玉のパフェ Vol.1 パレスホテル東京
ついに、食の誘惑が待ち受ける秋の到来! おいしいものは数あれど、スイーツ好きなら外せないのがパフェ。ずっと眺めていたくなる麗しい造形に、グラスに広がるめくるめく味覚のハーモニーはさながら小宇宙。見ても食べても幸せになれる秋の新作を、三度の飯よりパフェを愛するエディターが徹底解剖します。第一回は、パレスホテル東京の「シャインマスカットのパフェ」。
……とその前に、まずこの器にご注目ください。
器ありきのパフェとは?
こちら、なんと老舗のガラス店さんと一緒にオリジナルで作られたものだそう。広い口が特徴で、ちょっとレトロな趣あるデザインです。よく見ると透明から乳白色にグラデーションがかっているのが美しい。窪田シェフ曰く、このグラスに対してどのようなパフェを作ろうかな、というアプローチでパフェの中身を考案されたのだとか。
また、通常はワイングラスのような形状のグラスに積み上げるスタイルのパフェが多いですが、こちらは平面的に盛られています。それは、お濠の水辺をイメージしているから。パレスホテル東京さんのパフェは、このかたちでなければいけないという必然! 素敵なストーリーです。ちなみに、この形状の器に盛り付けるのは、実は難易度が高いそうですよ!
みずみずしい果実を引き立てる精鋭パーツ
きれいに敷き詰められたシャインマスカットは、一粒丸ごとのものと半分にカットされたものが入っています。これは食感の違いを楽しんでほしいから、と窪田シェフ。大粒のシャインマスカットは、みずみずしくて爽やかな甘さが勢いよく弾けます。思わずにっこり、頰が緩んでしまう……。あぁ、幸せ。その間には、白ワインのジュレが。酸味を加えることでコントラストがグッと引き立ちます。
そして前回「3種の苺パフェ」をいただいたときに衝撃だったのが、生クリームの軽さ。甘すぎず、もたれず、パクパク食べられちゃう危険なクリームなんです。窪田シェフ、この秘密は何なのでしょう? 「乳脂肪分は高めなのですが、お砂糖の量をギリギリまで落としてバランスを調整しています。グラニュー糖ではなく上白糖を使ってわざと雑味を残しているんです」。なるほど、専門的なお話になってきましたが、どんな素材を使うか、バランスをどうするかという緻密な計算のもと作られているのですね。クリーム一つとっても、そのこだわりが感じられます。
さらに食べ進めると、アールグレイのシフォンケーキのカットが顔を出します。ここで色々な香りが混ざり合いますが、とても調和が取れていて心地よいです。窪田シェフによると、紅茶のシフォンケーキは口の中を一旦リセットしてくれる役目があるのだそう。さらに下には、黒ぶどうのシャーベットが隠れていました! 一杯で2つのぶどうが味わえるなんて贅沢。シャインマスカットとはまた違った濃厚ぶどうの味がいいアクセントです。
底には、真っ白なパンナコッタが。やさしいミルク感と滑らかな口当たりがまろやかな余韻を残します。シャインマスカットを主役に、そのおいしさを引き立てるパーツたちがとてもエレガントで、素敵なマリアージュを味わっているうちに、あっという間に完食です。食べたそばから、もう一杯おかわりしたくなります。
すべては素材そのものが“おいしい”おかげ!?
窪田シェフにパフェを作るときに大切にしていることを尋ねると、「お菓子作り全般に言えることですが、食感や舌の中での広がりを大事にしています。パフェはある程度量があるので、食べ飽きないように甘いものには酸味のあるものを合わせるなど、五味を入れていきます。あとは、冷たいアイスクリームで温度差を出すことなども考えていますね」との答えが。
まさにパフェとは、一杯でさまざまな味や食感のハーモニーを楽しませてくれる、緩急のある物語のようですね。
最後に、「おいしいものを使って作れば、おいしくなるんです」と窪田シェフ。「ぶどうもワインも、生産者の方々が一番素晴らしいです。それを借りて、私たちはもう一度作り直しているだけですから」と。その最高の素材もシェフの腕にかかれば、もっとおいしくなるわけですね! 器からこだわった今が旬の「シャインマスカットのパフェ」、静かなお濠を眺めながら味わってみてください。
パレスホテル東京
「シャインマスカットのパフェ」
提供場所/パレスホテル東京 1F ロビーラウンジ「ザ パレス ラウンジ」
提供期間/2020年9月1日(火)~11月30日(月)
提供時間/10:00~21:30(L.O.)
TEL/03-3211-5309
秋を味わう珠玉のパフェ特集