辛酸なめ子が行く! 新しい浄化体験 | Numero TOKYO
Culture / Feature

辛酸なめ子が行く! 新しい浄化体験

時代が変われば、心身を浄化するための方法も進化する!? 漫画家の辛酸なめ子が、究極の浄化を目指してさまざまな体験をリポート。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年5月号掲載)

Experience 01 スタジオスペースラボ「超音波体験」

自然界に存在する“超音波”で得る癒やし

サウンドクリエイター、瀬戸勝之氏は3Dサウンドに超音波を混ぜることで、人間の新たな感覚を開く技術を提唱。祖父はゴムボンドを発明し、妹夫婦はETCを開発、いとこは原子力関係の仕事という、かなりポテンシャルの高い一族のようです。

「この技術で戦争をやめさせられると思います」と、瀬戸さん。実際にご自身はヘビースモーカーだったのが超音波効果で自然に禁煙し、不眠症も改善。さらに事務所に置いたらスタッフの人間関係も改善され、ラブ&ピース空間に。

「アルコール、タバコ、ドラッグなどでブースト(むりやりテンションを引き上げる)すると、常習性が生まれたり体に負荷がかかる。でも超音波はゆるやかに意識が開いてリミットが外れる。感覚が開くと理解力が上がるんです」

部屋の右側にさり気なく超音波発生器が置かれていたのですが、心なしか頭の右側が暖かいです。観葉植物も発生器に向かって葉っぱを伸ばしているような……植物は正直です。

地下のスタジオでは、5個のスピーカーと低周波を出すサブウーファー、超音波発生器に囲まれ、癒やしのサウンド体験。MISIAの曲とイルカの超音波を混ぜた演出では、ハートのチャクラが熱くなりました。続いて、アマゾンの音では川の水音と体内の水分が共鳴し、安心感と幸せに包まれました。一緒に体験した女性たちは涙が出たり笑いが止まらなくなったり、超音波トリップ。人によって反応の出方が違うようで、私はとくに利尿作用が高まった感が。人生いろいろ、デトックスの作用もいろいろです。

瀬戸勝之
サウンドクリエイター。2002年、5.1chサラウンドシステムに特化したプライベートスタジオstudio SpaceLabを立ち上げ360度の音声再生領域を生かしながら、立体的かつ臨場感とパワーにあふれる3Dサウンドによる音の空間演出を手がける。主な仕事に、サンシャイン水族館の総合サウンドプロデュースなど。www.ks-side-effect.com

Experience 02
コルポ・エ・アルマ「ヴァイタル・タッチセラピー」

“タッチ”をベースに、感性でオリジナルメソッドを構築

エサレン®ボディワーク(ネイティブアメリカンの聖地で生まれたオイルトリートメント)、ストーンセラピー、アロマセラピー、音叉ヒーリングなど10のメソッドが集まった「ヴァイタル・タッチセラピー」。創始者の小松ゆり子さんは、以前大手音楽会社にお勤めでしたが、アロマへの興味でセラピーの道に入り、資格や技術を習得。音叉やティンシャなど音で浄化するツールが多いのは音楽業界出身だからでしょうか。

ストーンを置かれる熱気持ちよさ、力強いストロークやストレッチの痛気持ちよさの相乗効果で心身がリセット。終わったあと「結構なものをお持ちで……」と言われ、相当凝り固まっていて脳にあまり酸素や血が行ってなかったことが判明。最初に目的を聞かれて「浄化です。浄化されたら地球の役に立ちたい」と大言壮語を言い放ってしまったのですが、それ以前の状態でした……。脳に血流が戻ったらまた出直します。

小松ゆり子
Touch for World 代表、パーソナルセラピスト。音楽レーベルプロモーターを経て、自然療法の世界へ。オリジナルメソッド「ヴァイタル・タッチセラピー」を提唱し、アトリエ「corpo e alma(コルポ・エ・アルマ)」でのセラピーや、セミナーなどを行う。yurikokomatsu.com

Experience 03
『グウィネス・パルトローのグープ・ラボ』

Netflixオリジナルシリーズ 独占配信中

ベストな自分になるために! 大女優が貪欲に体当たり

オスカー女優のグウィネス・パルトローが「自分の使命はもっとほかにあるはず」と一念発起して始めたライフスタイルブランド&サイト「goop(グープ)」がついにNetflixで番組に! グウィネスとグープのスタッフの女性たちが、幻覚キノコやダイエット、プチ整形やエネルギーヒーリングなどに挑戦し、浄化を目指します。

「自分をベストの状態にしたい」と願望を語るグウィネス。いちおう医者や博士が出てきて信憑性を高めようとしていますが、あやしげな第一印象の人が多いような……。とりあえずなんでも信じて試すグウィネスはピュアな女性です。スタッフに姫扱いされながらも意外と体を張っていて、性器について語ったり、吸血鬼美容を試したり、MDMAの使用の過去をカミングアウトしたり……。この番組はたとえるなら、ハリウッドセレブ版『イッテQ!』です。

グウィネス・パルトロー
テレビや映画を監督するブルース・パルトローを父に、女優のブライス・ダナーを母に持つ。美術史を学ぶために大学へ進むも演技の道へ転向。1991年『過ぎゆく夏』で映画デビュー。『恋におちたシェイクスピア』(98)でアカデミー主演女優賞を受賞。『セブン』(95)、『リプリー』(99)、『アベンジャーズ』シリーズなど出演作多数。

 

Illustrations & Text:Nameko Shinsan Edit:Sayaka Ito, Mariko Kimbara

Profile

辛酸なめ子Nameko Shinsan 漫画家、コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)、『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)などがある。

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