ラム酒をめぐる冒険その2「カルチャーの大海原へ」
未知なるパラダイスに恋い焦がれる夜はラムを嗜んではいかが。17世紀にカリブ海に浮かぶ西インド諸島で生まれたこの美酒はさまざまな歴史を経て、今では世界で4万種を超える銘柄が造られており、各国のナイトシーンを彩っている。一方、日本では通好みともいえるラムは、きっと非現実な世界へとエスコートしてくれるはず。ラム酒をめぐる冒険シリーズ「その2」では、ラムにどっぷり浸れる映画や本などを「Bar hatch8」がセレクト。身近な楽園、ラムワールドへようこそ!(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年4月号掲載)
死を隠喩する甘いラム
REDRUM(レッドラム)×映画『シャイニング』
スティーブン・キングの同名ホラー小説にインスパイアされた名作。冬季は閉鎖されるホテルに管理人としてやってきた作家志望のジャック一家が惨劇に巻き込まれる。ある場面で息子のダニーが狂ったように何度も叫ぶ「REDRUM !」とはラムの名だが、反対から読むとMURDER(殺人)。ボトルのフォルムは、どこか棺桶のよう。ボンドが嗜むソーダ割り
Mount Gay(マウントゲイ)×映画『007 カジノ・ロワイヤル』
シリーズ第21作。殺しのライセンス「00」の称号を獲得したジェームズ・ボンドが任務で渡った先はカリブ海のバハマ島。実在する「ワン&オンリーオーシャンクラブ」のカジノで“マウントゲイのソーダ割り”を注文。世界最古のラムの蒸溜所で造られるラムを選んだ背景に歴史ある『007』をリンクさせた…と紐付けたくなる。赤い彗星が好んだロック
LA MAUNY(ラ・マニー)×『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』
安彦良和が手掛けた大ヒットコミックのアニメ。主人公アムロのライバルである“赤い彗星”ことシャア・アズナブル。仲間でありジオン公国四男のガルマ・ザビの国葬の中継で“死んだ理由はなぜか”と喚く兄を見て「坊やだからさ」とシャアは一言。そのときロックで飲んでいたラ・マニーは、香り豊かでブランデーのようなラム。
女性が夢見た至福の酒
COR COR(コルコル)×小説『風のマジム』
原田マハが実話に基づいて書き上げた本作。携帯電話会社の派遣社員である28歳の伊波まじむが“純沖縄産のラムを造る”という夢を叶えるべく奮闘する。モチーフとなったラムは南大東島産のさとうきびを使用したコル コル。瓶詰めからラベル貼りまで手作業というクラフト感溢れるラムに、まじむの残像を重ねずにいられない。
海賊の必需品、ラム
Clement(クレマン)×テレビアニメ「ONE PIECE」
テレビアニメの48~53話。“始まりと終わりの町”と呼ばれるローグタウンは海賊王ゴール・D・ロジャーが生まれ死に、大海賊時代の幕を切った町。若きロジャーは偉大なる航路(グランドライン)に入る前、この地にあるバーでクレマンラムを瓶ごとあおる。実際、現実のこの世においても古の船乗りは航海中にラムを携行したとか。
Photo:Kenji Mimura Text:Nao Kadokami Edit:Saki Shibata