明日から1つでも！ 地球のためにできること #01「脱プラスチック」
本当の“いい暮らし”は地球にとっても優しくあってこそ。最近では「SDGs」など、持続可能な社会を目指すためのトピックスが世界のスタンダードとして謳われているけれど、実際に私たちの生活にどのように取り入れていったらいいのだろう。最前線で環境や社会問題に取り組む3人が、明日からでも生活に取り入れることのできるアイデアを提案。1つからでもぜひ取り入れて。第一回は、身近なことから始められる「脱プラスチック」。（『ヌメロ・トウキョウ（Numero TOKYO）』2020年3月号掲載）
ナビゲーターはこの３人
末吉里花（すえよし・りか）
一般社団法人エシカル協会代表理事。日本ユネスコ国内委員会広報大使。慶應義塾大学卒業。『世界ふしぎ発見！』のミステリーハンターを経て、近年はフェアトレードやエシカルを中心に活動。自治体や企業、教育機関で講演を行う。東京都消費生活対策審議会委員。日本エシカル推進協議会理事。日本サステナブル・ラベル協会理事。NPO法人FTSN（Fair Trade Students Network) 関東顧問。「People Tree」アンバサダー。
鎌田安里紗（かまだ・ありさ）
モデル、エシカルファッションプランナー。「Little Life Lab」主宰。高校在学中に雑誌『 Ranzuki』でモデルデビュー。慶應義塾大学卒業し、現在は同大学大学院政策・メディア研究科に在籍。エシカルファッションの情報発信、フェアトレード製品の企画やスタディツアーなどを行う。環境省「森里川海プロジェクト」アンバサダー。「People Tree」アンバサダー。慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師。
梶原拓朗（かじわら・たくろう）
「Fridays For Future Tokyo（以下FFFT）」オーガナイザー。国際基督教大学１年生。気候変動という課題に対して、自分と同世代、さらに若い世代が「未来」のために闘っている姿を知り共感。2019年5月にFFFTに参加し、「グローバル気候マーチ」を主催。J-WAVEや新聞、雑誌などのメディアでの発信も行う。今後はFFFTから退き、環境問題へのあらたな活動を開始。
NO！ レジ袋
「いりません」と伝えよう
レジ袋は国内で年間約450億枚も使用されている。「マイバッグを持参してレジ袋を断ること。カフェで出てくるストローも、使わないならそのまま置いて帰らずにきちんと断って。なぜいらないのかを伝えることも大切です。環境のために使わないとお店の方に伝えることで、それがお店側が環境を考え、変わるきっかけになるかもしれません」（末吉）
毎日の持ち物リスト
お財布に鍵にマイボトル
国内のペットボトル出荷本数は、約244億本（2018年）※。リサイクルも大切だけど、まずは使用頻度を減らすこと。「家庭では水道水をブリタで浄水、外出するときはマイボトルを持参しています。必要なときだけペットボトルを買えば本数は抑えられるはず。リバーズのボトルは軽量でデザインもシンプル。洗いやすくて便利。コーヒーをテイクアウトするときも使えます」（鎌田）
※PETボトルリサイクル推進協議会HPより
デンタルケアも脱プラスチック！
プラスチックが多いデンタルケア用品。「僕が使っているのは、歯科医の指導・監督のもと製造された、スウェーデン生まれの『ハンブル ブラッシュ』。ブラシ部分にはリサイクル可能な繊維ナイロン６、持ち手部分は竹材なので、燃やしても有害物質が放出されません。歯ブラシが１本売れるごとに製造コスト同額、または歯ブラシ１本をパートナーのNGO団体に寄付されます」（梶原）。歯みがき粉もタブレットにすれば、脱プラスチックに。
シャンプーだってボトルレスにできる！
シャンプーを固形化して、プラスチックボトルを使わないことで注目されているシャンプーバー。「お気に入りはエティーク。動物実験なしでカーボンニュートラル、生分解性にこだわったパッケージで環境に配慮しているだけじゃなくて、使い心地がいい。私はコンディショナーバーも一緒に使っています」（末吉）
ティーバッグは危険!? マイクロプラスチック大量放出
一般的なティーバッグにはプラスチックが使われているものが多い。なんとそこから116億個のマイクロプラスチック（ティーバッグ1袋あたり）が流出しているという研究結果が。お茶は茶漉しなどを使って楽しむのが良さそう。
毎日使うフライパンにはヘルシー素材を
フッ素樹脂加工のフライパンに施されているコーティングは熱可塑性プラスチックが多く、健康に害を及ぼす可能性があるという※。「私は砂由来のヘルシーな素材でコーティングされたグリーンパンが好きで愛用しています。」（末吉）
※『プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命』シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ／著 服部雄一郎／訳 より
ラップだって使い捨てない！
プラスチックラップの代わりに注目されているのが、水で洗って繰り返し使えるミツロウラップ。「熱と酸に弱くケアが必要なので、包む物によってミツロウラップと普通のラップと併用して、使い捨てを減らしてみて」（鎌田）
洗濯で流出する
マイクロプラスチックを食い止めろ！
洗濯はマイクロプラスチック汚染の大きな原因。そこでアウトドアブランドのパタゴニアでは、衣類を保護すると同時に洗濯によって抜け落ちるマイクロプラスチックの流出を防ぐウォッシングバッグを発売。「フリースなどのウェアは化学繊維が多いですが、洗濯するとマイクロプラスチックが川に流出して環境汚染の原因となり、魚が食べてしまうという問題もあります」（梶原）。パタゴニアは環境問題に取り組むリーディングカンパニーとして、生産過程でもフェアトレードや環境への配慮を徹底し、服を修理、リユース、リサイクルするプロジェクト「WORN WEARR️」も行っている。
月経カップの併用でプラゴミ大幅減
実はほとんどの生理用ナプキンがプラスチック製。環境負荷が高いことから、世界的に生理用ナプキンを見直す運動「#EndPeriodPlastic」が盛り上がっている。そこで注目されるのが月経カップ。「私は『メルーナ』を使っています。生理中も快適で取り扱いも簡単。多い日は、オーガニックコットンを使ったナプキンを併用すれば安心です」（鎌田）。また、NY発の吸水機能性サニタリーショーツ「THINX（シンクス）」も日本上陸。こちらも月経カップとの併用がおすすめ。
Illustrations：Nao Sakamoto Text：Miho Matsuda Edit：Sayaka Ito, Mariko Kimbara
