8人の日本人アーティストたちが描く “東京ポップ” | Numero TOKYO
Art / Post

8人の日本人アーティストたちが描く “東京ポップ”

世界有数のポップカルチャーの都、東京。 でも一体、“東京のポップ”とは何だろう? その疑問を、8人のアーティストにぶつけてみた。 それぞれが考える、東京ポップのヴィジョンとは。

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Ohmura Yukino 大村雪乃

『SHIBUYA Scramble』

「今にも行き交う人々の声が聞こえてきそうな 都会の繁華街。眠らない街の魅力がここに」

漆黒の夜空を背景に、きらきらと瞬く都市の光。その光の粒子すべてが、文房具としてお馴染みの“丸シール”でできていたとしたら…?誰もが「あっ!」と驚く作風で注目を集める大村雪乃。そのココロは、都会の夜景をあえて安価な文房具シールで再現し、金銭価値における矛盾と大量消費社会の違和感を表現すること。今回選んだのは、無数のシールで織りなす渋谷ハチ公前交差点の夜。享楽的な東京ポップの残影に、あなたは何を思う?

大村雪乃(Yukino Ohmura)
1988年、中国・吉林省生まれ。2012年「Tokyo Midtown Award 2012」にてオー ディエンス賞を受賞し、メディアなどで注目を集める。日本橋木屋 本店izutukiスペース(東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1F)で個展を開催。

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Kenichiro Mizuno 水野健一郎

『imperfect condition』

「あらゆる文脈のカラフルなゴミが渾然一体となり、やがてダークマターが誕生する」

どこか懐かしく、でも初めて見るような、こんがらがった感じ…。東京ポップというお題を受けて、記憶と次元の割れ目から召喚したイメージを描き出してくれた水野健一郎。その活動コンセプトは「既視感と未視感の狭間に存在する超時空感を求めて、原風景であるテレビアニメの世界観を脳内で再構築し、多様な手法でアウトプットすること」。大量消費の大衆社会からポップアートが生まれて半世紀以上、東京はポップな“夢の島”だった!

水野健一郎(Kenichiro Mizuno)
1967年、岐阜県生まれ。ドローイング、ペインティング、アニメーションなど多様な作品制作に加え、映像チーム「超常現象」、美術ユニット「最高記念室」としても活動。個展『MICROFICTION2018』を6月3日までCALM&PUNKGALLERY(東京都港区西麻布1-15-15浅井ビル1F)にて開催。

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fumiko imano

『右目の恋 ― love on the right eye』

「あたしの中の東京ポップであるアラーキーへのオマージュ」(抜粋)

今年1月に発表されたロエベのコレクタブルブック『Publication#17』に起用されたfumiko imano。東京の巨匠である、天才アラーキーへのオマージュ作品とエピソードを届けてくれた。「たまたまハートのサングラスが引き出しの中で壊れてて片目がなくなっててかけてみたらあたしの中の東京ポップである巨匠の荒木経惟さんがかけてた“左目の恋”のサングラスを彷彿させられたのでオマージュでポラロイドを撮ってサインをしました」

イマノフミコ(Fumiko Imano)
1974年生まれ。幼少期をブラジルで過ごし、学生時代などをロンドン、パリで経験し帰国。セルフポートレートを中心に作品を制作し、双子に扮した作品集『We Oui !』(Little Big Man Books)で世界的な評価を得る。楽曲アルバム『hiruma no chocho』(QQQQQQQQQ)がiTunesで配信中。

「Loewe」 イマノフミコとのタッグ再び!最新ルックブック発表

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© 2017 MADSAKI / Kaikai Kiki Co., Ltd.

MADSAKI

『Mirror』

「東京での私小説的な日常風景を描いている」

NYでバイクメッセンジャーやストリートアーティストとして活動し、帰国後はスプレーでピカソやウォーホルらの名画をコピーするなど、社会の固定観念に反骨精神を持ち、表現し続けてきたMADSAKI。その作風が、村上隆の「嫁さんを描けば?」という言葉で一変した。この瞬間が永遠であってほしいと願い、描き出される赤裸々な私生活。スプレーで吹き付けられる、ささやかで儚い家族の一コマ。無常なる東京ポップな風景を選んでくれた。

マサキ(Madsaki)
1974年、大阪府生まれ。パーソンズ美術大学卒業。ストリートアート集団「バーンストーマーズ」の活動を経て帰国。2012年からスプレーアートを始め、往年の名画や安倍晋三首相らの肖像を描く。2017年、KaikaiKikiGalleryで開催された個展で妻を描いたシリーズを発表した。

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Kazuyuki Ando 安東和之

『信号にも並ぶのかよ』

「東京ではよく行列が見られるが、あるとき行列がで きていて、見てみるとただの信号待ちの列で驚いた」

何やら見覚えがあるような、帽子をかぶった人の姿。目を凝らして見てみると……赤は「行列」、黒は「はやねはやおき」という無数のハンコでできていた!そんな「スーパーハンコアート」の創始者・安東和之。小誌2017年9月号で放送作家の倉本美津留が、自ら提唱する面白アート「アーホ!」なアーティストとして太鼓判を押した異端の才能。この作り下ろし作品を目にしたが最後、判で押したような東京の日常が一転、ポップまみれに見えるかも!?

安東和之(Kazuyuki Ando)
1978年、大分県生まれ。主な活動として、印鑑を使った「スーパーハンコアート」、指サックに描く「指サック似顔絵」などを展開。『アーホ!』など多数のテレビ出演で注目を集める。2月には新宿眼科画廊で8年ぶりに個展を開催したばかり。最新情報はInstagram、Twitterまで。
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Izumi Miyazaki 宮崎いず美

『上澄み』

「東京のポップな部分、 ほんの上澄みの部分だけ味わっていたい」

地球上で日々、星の数ものセルフィーがアップされる現在。しかし、宮崎いず美のそれはインパクトが違う。東京郊外のありふれた日常を舞台に、無表情なおかっぱ頭とともに写し出される、シュールを極めたセルフポートレート。米『タイム』誌や仏『リベラシオン』紙も注目するアート写真の超新星は、東京のポップをどう表現する?撮り下ろしの回答はご覧のとおり。ポップでキッチュでどこかシニカル、東京は表と裏で回ってる。

宮崎いず美(Izumi Miyazaki)
1994年、山梨県生まれ。武蔵野美術大学映像学科在学中より自身を被写体としたシュールレアリスティックな写真をTumblr上で発表し、以後、世界中から注目を集める。4月14日(土)〜5月13日(日)「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2018」に出展(p.234参照)。

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SAIKO OTAKE

『東京採集』

「知らぬ間に繁殖していく。知らぬ間に侵食してくる。信じられるのは私の直感」

訪れた先々で採集したイメージを、濃く深い色彩の写真と、黒一色のドローイングという対照的な作風で表現する大竹彩子。ロンドンでアートを学び、故郷の愛媛で暮らす彼女に描画を依頼。東京でのフィールドワークの成果を届けてくれた。瞳のない女性、ヤシの木に拳銃、医学的図象……同じくアーティストである父とまったく異なる波長で採集された、東京ポップな集合無意識。虫籠の中でうごめく想念たちを、じっくり観察してみよう。

大竹彩子(Saiko Otake)
1988年、愛媛県生まれ。ドローイングと写真の作品を発表し、国内外で個展やグループ展に参加。写真によるZINEのシリーズ『NIPPON』『SOMEWHERE』『SWI-SS』『STARSTAR』『7OR8』『INANDOUT』の計6冊が発売中。2018年7月13日(金)〜8月10日(金)まで、gallery ART UNLIMITEDにて個展『KINMEGINME(金眼銀眼)』開催予定。

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Ken Kagami 加賀美健

『ジャンボスイカ』

「僕の中でPOPは無駄にサイズが大きいイメージ。 みんなが使っている『Suica』を大きくしてみました」

こ、これは…!巨大化して革財布から思い切り飛び出てしまった、JR東日本のICカード「Suica」。作り下ろしてくれたのは、バナナや巨大イチゴが刺さったキャラクター『ミルクマン』や「泣き寝入り」「セーターをイン」と書かれたステッカーなど、底抜けすぎる危険な作風で人気爆発の加賀美健。このずば抜けた出オチ感に、東京っぽさを感じてしまうのは何故だろう?ナンセンス感あふれる“東京ポップ”の最終兵器、やっぱり召喚しちゃいました。

加賀美健(Ken Kagami)
1974年、東京都生まれ。美術史や時事的なテーマを題材にした彫刻やドローイングを多く手がけ、日常の出来事をジョークやコメディの発想に乗せた作風で脚光を浴びる。YaecaやHAREをはじめ、ファッションブランドとのコラボレーションでも人気を集めている。

Edit : Keita Fukasawa, Sayaka Ito Text : Keita Fukasawa

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