心と体を豊かにする食習慣のキーワードは「ナチュール(自然派)」 | Numero TOKYO
Life / Food

心と体を豊かにする食習慣のキーワードは「ナチュール(自然派)」

毎日の食習慣に加えたら、心も体もちょっと豊かになれるアイデアのキーワードは「ナチュール(=自然派)」。余計なものを加えずに、大地の実りをダイレクトに味わえ、プラス環境にも配慮したものづくりの産物であるヴァン・ナチュール(自然派ワイン)と原種に近い麦からつくられるパンに注目。選択肢にナチュールを加えませんか?(「ヌメロ・トウキョウ」2017年11月号

Advisor 鈴木純子/アタッシェ・ドゥ・プレス 感性で「おいしい!」を体感する パン&ヴァン・ナチュール

DMA-2_painnature_1
DMA-2_painnature_1
topic 1 グルテンフリーに次ぐ注目の古代麦とは? 「古代麦を使ったパンを作るパン職人と、それを選択する人が現在パリでは少しずつ増えてきています。昔からの原種は、品種改良を経てグルテンの粘りが強い現代の小麦とは違い、消化がしやすいと言われています。たとえばスペルト小麦は、最もポピュラーな古代麦のひとつです。主にカンパーニュの原材料として使われることが多いですね。日本でもそういった動きがあり、いま大人気の日本のベーカリーでも、小麦畑を直接訪ねオリジナルである原材料を追求するパン職人が増えてきています。小麦を見つめることで、その味は土からダイレクトにつながっているということが実感できます。環境にも 畑の実りをそのままテーブルの上で味わうという、より循環型のライフスタイルを楽しめると思います。もし選択肢があるとしたら、作り手の思いが込められた自然の恵みを選んでみては?」
DMA-2_painnature_2
DMA-2_painnature_2
フランス在住17年目のブーランジェ、稲垣信也氏による古代麦を使ったパン。ピレネー山脈近郊の畑の小麦を使った、プティ・エポートル(オングラン)のパン(写真上)。パン・ド・カンパーニュは、生地の中にひまわりの種や麻の種、胡麻などが混ざっている(写真下)。

DMA-p136Food1
DMA-p136Food1

topic 2
しみ込む味わいを堪能

「世界でも有数のヴァン・ナチュール大国である日本。市場に登場したのは最近のことではありませんが、まだまだ当たり前のものとはなっていないように感じます。アルコールを変に感じさせず、身体にすっと浸透していく感じは、余計なものを加えずその土地の葡萄と酵母を使い、自然に発酵したものならではだと思います。意外と思われるかもしれませんが、ヴァン・ナチュールはだしの旨みを生かした日本食とよく合うんです。わたしたちが昔から愛用する発酵食の旨みがヴァン・ナチュールのもつそれと近いからではないでしょうか。フランスの生産者にも『うちのワインに一番合うのは日本食だ』と言い切る人も。土作りから始まり、できるだけ自然にぶどうを育て生まれるヴァン・ナチュールは、作り手の意思と個性が感じられます。赤だから、白だからいう括りや、ぶどうの品種が何だからという知識で味わうのではなく、だし文化で育った繊細な味覚を持つ私たちの五感に深い満足感を与えてくれるワインに出合ってほしいですね」

Ça c’est bon(サ・セ・ボン)
木材の輸出の仕事からワイン造りへ。友人達の協力を得て初めて出来上がったワイン。友達に試飲してもらったところ「美味しいじゃん。サセボン!」ということでワイン名に。ピュアでじんわり旨みがしみるワイン。

造り手/ローラン・ルブレ
生産地/フランス ロワール地方 トゥーレーヌ地区 サヴィニー・アン・ヴェロン
品種/ガメイ
株式会社W
URL/winc.asia

食習慣を変えました!
Michiruさん/メイクアップアーティスト
1週間で1升の寝かせ玄米を
主食に、深い満足感を

「仕事柄外食も多いので、家で食べる食事は野菜と玄米を中心にした粗食にしています。もう何年も食べているのが“寝かせ玄米”。専用ジャーで炊きあがった玄米を保温器に移して数日間寝かせるのですが、その間に玄米の糠の部分に多く含まれている酵素が働き栄養価が高まるんです。玄米に含まれるミネラルやビタミン類も酵素の働きによって消化吸収が良くなり、食感にもモチモチとした変化が出てすごく美味しい。一度に一升を炊いて、夫婦2人で1週間で食べ切る感じです。保存食にもなるので、忙しい方にもおすすめですね」

DMA-3_daidokoropharmacy_2 のコピー
DMA-3_daidokoropharmacy_2 のコピー

坪田宗幸さん/漢方スタイリスト(薬膳養生指導師)、出版社勤務
毎日の献立に、
体を整える食材をチョイ足し!

「一時期体調を崩してから、食から見直そうと薬膳の勉強を始めたんです。薬膳って特殊な食材を使うことをイメージするかも知れませんが、身近に売っている食材に含まれる効果効能を、日々の体調に合わせて献立に組み込むというもの。そもそもの薬膳とは、意識して食べるということ。食材には体を温めるもの、体を冷やすものなどいろいろあります。最近体が火照ると感じたら、涼性の食材を意識して取り入れればいいし、また香りの良い香草は気の巡りを良くしてくれる食材なので、ストレスの多い人には特におすすめ食材です。身構えずにプラスワンの食材をチョイ足しすることで日々の体調をポジティブに変えてくれます」

DMA-3_daidokoropharmacy_1
DMA-3_daidokoropharmacy_1

DMA-3_daidokoropharmacy_3 のコピー
DMA-3_daidokoropharmacy_3 のコピー

インスタグラム(@daidokoropharmacy)では、食材の説明プラス献立例などを紹介。30代後半の自身を「おじさん」と呼びながら、日々の体調について触れる独特の節回しがクスッと笑えてしまう。

Direction:Sayumi Gunji Edit:Etsuko Soeda, Sayaka Ito Text:Etsuko Soeda, Yuko Homma

Profile

鈴木純子(Junko Suzuki) アタッシェ・ドゥ・プレス。フリーのPRとして、ミラノの老舗 ジェラテリア マルゲラや海外リゾートSix Senses Resortsなどライフスタイル全般をカバー。造り手の意思が感じられるワインやフードが好物。レストラン/ワイン生産者巡りをすることがライフワークで、現在パリにも拠点を持つ。老舗出汁メーカーのブランド、やいづ善八の立ち上げに奔走中。Instagram @suzujun_ark

Magazine

DECEMBER 2024 N°182

2024.10.28 発売

Gift of Giving

ギフトの悦び

オンライン書店で購入する